肥料が不要に!? 地力を高める3つのポイント【畑は小さな大自然vol.5】 – マイナビ農業

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肥料が不要に!? 地力を高める3つのポイント【畑は小さな大自然vol.5】

肥料が不要に!? 地力を高める3つのポイント【畑は小さな大自然vol.5】

最終更新日:2018年07月12日

こんにちは、マチナカ自然菜園コンサルタントのそーやんです。前回の記事では「根を抜かずに草刈りをすることで、土が豊かに、生える雑草が柔らかく、草刈りが楽なものに変わる」という話をしました。この土の豊かさのことを一般的に「地力(ちりょく)」と言います。この地力を高めると、生える草が柔らかくなる以外にも、肥料の量を減らせたり、病害虫のリスクを減らせたりなど、様々なメリットがあります。今回はその地力を高めるための3つのポイントをご紹介します。

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地力とは?

「地力」とは、その土地のもつ植物を育てる力のことを言います。肥料が少なくても育つ畑は「地力のある」、肥料をたくさん入れないと育たない畑は「地力がない」というような使い方をします。この地力のある土は、落ち葉や枯れ草、虫の死骸などが積み重なったものが微生物やミミズなどによって分解され、時間をかけて積み重なっていくことで出来上がっていきます。特に落葉樹の多い森だったようなところは長年の落ち葉が積み重なりで、地力のある土になっています。以前掲載した「意外と知らない“土の正体” 土づくりの本質に迫る」の記事でもこの過程を詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

肥料をたくさん入れても地力は育たない

地力のある土地で植物が育ちやすいのは、もちろん栄養が豊富だからです。では肥料などでたくさん栄養を入れれば地力のある畑になるのかというと、決してそうではありません。
僕はこの地力について説明するとき、経済に例えて、次のように説明しています。

「地力のある土地」は経済でいうと、「景気が良い社会」に似ていると言えます。この例えでいうと、栄養はお金になります。景気をよくするためには単純にお金をたくさん増やせば景気がよくなるかというと、そうではありませんよね。その社会の中で人々の密なネットワークがあって、活発な交流が行われ、その中で必要な量のお金が必要なタイミングでスムーズに循環している状態が景気が良い社会と言えます。

つまり地力のある土地では、まず土の中で微生物や植物、虫たちによる豊かな生態系ネットワークが土台にあって、その上で栄養のやりとりが活発に行われている状態を指しています。このネットワークがあるからこそ、地力のある畑では野菜が必要な栄養素を必要なタイミングで効率よく摂取することができるので、肥料をあまり入れなくても野菜が育つのです。

地力が高いことの4つのメリット

畑の地力が上がっていくと、肥料の量を減らせるだけでなく、ほかにも様々なメリットがあります。具体的には以下の4つが考えられます。

① 肥料の必要量を減らせる
② 害虫や病気の大量発生、連作障害を軽減できる
③ 草刈りが楽な柔らかい雑草が増える
④ 野菜の栄養バランスが良くなる

①の肥料が少なくても育つようになる理由は先ほど説明した通りです。最終的にはほとんど肥料を追加しなくても育つようにすることができ、野菜を売るわけではない家庭菜園において、肥料にお金がかからないのはとてもありがたいことです。

②の害虫や病気、連作障害を軽減できるのは意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。もちろん地力が上がっても害虫がいなくなったり、病気や連作障害にならないことはありませんが、それらが大規模に発生するリスクはかなり減らすことができます。なぜならこれらの元々の原因は土の生態系バランスが崩れることにあるため、地力を高めることで自ずと減っていきます。

③の柔らかい雑草が生えてくるというのは、前回の記事で紹介した「植生の遷移」が関係してきますので、詳しくはそちらをご覧ください。

④は地力が高くなることで、土の栄養バランスが整っていくため、そこで育つ野菜の栄養バランスも自然と良くなると言われています。

地力を高める3つのポイント

最後に、実際に畑の地力を高めようとするときに押さえておくべき3つのポイントを整理しておこうと思います。ここでも先ほど紹介したように、いかに“景気”を良くするかという視点で説明していきます。

1)土の中の生態系を豊かにする

景気が良くなるためにはコミュニティ内の人々の関係性が大切であるように、土の中でも植物や微生物、虫たちの関係性やネットワークが大切になります。つまり微生物や虫、植物たちの数量を増やし、適切な関係性が築かれるように工夫します。関係性とはつまり食物連鎖のような殺し合いの関係もそうですし、互いに助け合うような共生関係もあります。自然の中ではこういった複雑な関係性の中で、何か一つの栄養素や生き物が突出して増えないように、バランスを取りながら、少しずつ生態系全体が豊かになるような力が働いています。

2)適切な栄養素の量を確保する

土の生き物たちの数を増やしても、実際にその中でやり取りされる最低限の栄養素、つまり経済でいうお金の量がある程度なければうまく循環していきません。窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムといったような代表的な栄養素の他に、ミネラル(微量要素)と言われる60種類近くの栄養素がバランスよく土の中に含まれている必要があります。

3)野菜と相性の良い微生物を増やす

畑の目的は野菜を育てることなので、土の生き物を増やす時も、野菜と相性の良い生き物を増やす必要があります。特にエンドファイト(内生菌)と呼ばれる、野菜と共生関係を築き、生育を助ける微生物が増えていくような環境が作ることがポイントとなります。
以上、3つのポイントを押さえることで、地力の高い畑を作ることができます。

次回はこの3つのポイントを押さえた上で、地力を高めるためのより具体的な方法をご紹介したいと思います。お楽しみに!

 

過去の記事はコチラ! 【畑は小さな大自然】シリーズ

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