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うずら卵 キャラ弁で大活躍! 本場・豊橋の伝道者が語るその魅力

うずら卵 キャラ弁で大活躍! 本場・豊橋の伝道者が語るその魅力

かわいいキャラ弁づくりに欠かせない食材として、また納豆やそばの栄養価を高め、味や彩りを加える添え物として、重宝されるうずら卵。その全国のシェアの約70%を占めるのが愛知県、うち大部分が豊橋市で産出されています。
「鶏の卵のミニ版」とは違う、うずら卵ならではの魅力や使い方について、日本一の生産地である豊橋市の流通・販売のプロから伺いました。

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うずら卵の新しい価値の創出

全体にまんべんなく模様があるのが良い卵

うずら卵は嗜好品?

あなたはこの1週間で何個うずら卵を食べましたか?
おそらくゼロと答える人が多いのではないでしょうか。最後に食べたのはいつだったか思い出せますか?
こんな質問を投げかけるのは、日本で唯一のうずら専門農協「豊橋養鶉(ようじゅん)農業協同組合」の営業部課長・葛山貴之(かつらやま・たかゆき)さんです。
葛山さんによれば、今の時代、うずら卵は鶏の卵と違って日用食品ではなく、いわば嗜好(しこう)品。その嗜好品としての最大のニーズが「キャラ弁・デコ弁」です。

今や「キャラ弁・デコ弁」の大スター

うずら卵の売上が跳ね上がるのは、学校や幼稚園の運動会・遠足、ひな祭り・ハロウィーンなどの楽しいイベントシーズン。スーパーマーケットでウインナーやナゲットといった弁当用食材と合わせて陳列すると、あっという間に売り切れると言います。
黄身と白身の割合が4:6と、鶏卵(3:7)に比べて黄身が多く、その分、小さくても栄養価が高いのもアピールポイントになっていると葛山さんは話します。

料理関連サイトでも検索数増加

大手レシピサイトなどの料理関連サイトを見ると、キャラ弁用のバリエーション豊かなうずら卵のレシピがずらり。ヒヨコやモグラ、オバケなどに変身させたり、肉で包んでスコッチエッグにしたり、軟らかめにゆでてハート型にするといった技も紹介されています。
親のクリエイティブ心を刺激し、子供が喜ぶ食材として、うずら卵の新しいイメージが育ちつつあるようです。

豊橋養鶉産業の中心部の活動

GPセンター:選別された卵が送られる

豊橋養鶉農業協同組合は豊橋市内の養鶉産業の中心的存在です。生産農家をサポートするとともに、GPセンター、水煮加工工場、堆肥(たいひ)工場、ふ化場などを経営しています。

革新的なGPセンター(卵の選別包装施設)

GPセンター:機械と人の目でチェックし選別する

最新の設備を整えたGPセンター(グレーディング・パッキングセンター=選別包装施設)は生産農家から集荷する卵を処理し、市場に出荷します。
集荷した卵は空調管理された貯卵室で、まずオゾン殺菌。1個の重さの標準は9.5から12.5グラムで、独特のまだら模様が殻全体にまんべんなく広がっているのが良質な卵です。小さすぎたり大きすぎたりするもの、模様がひどく偏っているもの(産卵時にストレスを感じるとそうなります)などをスタッフが目視で最初に取り除きます。
選別された卵はラインに乗って洗浄され、次亜塩素殺菌・紫外線殺菌され、自動パック詰め機でパッキングされます。

サイズを生かし、現代の嗜好に合わせた加工品も

豊橋養鶉農業協同組合では加工も行う。写真は水煮加工の一工程

また、同組合は一口サイズの食べやすさを生かして、現代人の嗜好に合った加工品の開発にも力を入れています。味付け卵やくん製などは、手軽に食べられる子供のおやつ、お酒のおつまみ、付け合わせ総菜として、スーパーやコンビニでも販売され、特に地元では人気商品になっています。

うずらのふんは高品質堆肥

堆肥センターは環境保全型循環農業システムの確立をめざして1997年に建設されました。
うずらは高たんぱく・高カロリーの餌を食べているため、そのふんを発酵させたものは肥効が高く、少量で効果を発揮するのが特徴。果樹類の甘みを増すといわれ、メロンやナシといった高級果物の栽培によく使われるなど、地域の農業の発展にも貢献しています。
その他、ゴルフ場や野球場のグリーン(芝)の育成などにも利用され、近年は海外にも「クエイル有機(クエイル:Quail=うずらの英語名)」の名で輸出されています。

どうして豊橋がうずらの名産地なのか?

大正時代、一大生産地に

野鳥のうずらが家禽化されたのは江戸時代。採卵用として飼育されはじめたのは明治中期と言われています。
豊橋周辺で飼われるようになったのは1921年頃から。温暖な気候に加えて、もともと養鶏が盛んで飼料メーカーやふん尿処理施設もあるなど、家畜を飼いやすい環境だったことが、その要因と言われています。

戦後復興期に成長したうずら産業

戦中の餌不足などによって豊橋のうずら農家はいったん壊滅状態になりましたが、戦後まもなくある業者が東京・大阪・名古屋の3大都市にうずら卵を売って経済的に大成功したそうです。それがきっかけになって参入者が相次ぎ、再び生産が始まり、戦後の復興とともにうずら産業が大きく成長。そしてこの時、豊橋で自然交配させた雛が全国に広がったと言われています。

タンスの中でも飼える?

小さなうずらは、当時「タンスの中でも飼える」などとも言われ、鶏と違ってコストがかからず、誰でも自宅で手軽に、いわば内職感覚で始められたようです。
現在と違って情報が少ない戦後復興期・高度経済成長時代、豊橋市近辺の限られた地域で生産・流通・販売のノウハウが伝わり地場産業に発展したのではないかというのが葛山さんの分析です。

皇族もお気に召した豊橋名産

鶉舎(じゅんしゃ)の様子(写真提供:豊橋養鶉農業協同組合)

豊橋市では2017年までに9回「うずうず祭り」を開催しており、うずら卵を地域の名産品としてアピールしています。
また数年前には、ある皇族が同市を訪問した際に市の担当者がお土産としてお渡ししたところ、たいそうお気に召して、その後たびたび注文が入るようになったとのこと。
そんな逸話やキャラ弁ブームを追い風に、今後の需要拡大をめざして、主生産地・豊橋はうずらに関する多彩な情報発信を行っています。

豊橋養鶉農業協同組合

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