スイカは果実?野菜?
スイカは果物なのか野菜なのか、疑問に思ったことがある人は多いのではないでしょうか。実はスイカは、果物や野菜と明確に定義されていない食べ物なのです。
スイカは、実をつけた後に茎と葉も一緒に枯れてしまう草本植物(そうほんしょくぶつ)のため「野菜」に分類されますが、農林水産省では果実や葉を収穫するために育てられ、繰り返し収穫できる永年作物を「果実」と定義しているため、「果実的野菜」に分類しています。
スイカは夏の果物のイメージがありますが、毎年5月中旬頃から収穫が始まっています。小玉スイカ、大玉スイカの順で収穫され、6月中旬から7月にかけて収穫のピークを迎えます。
スイカのカロリー
スイカをおやつ代わりに食べるかたは多いかもしれません。甘い果物のためカロリーも高いと思われがちですが、8分の1カット(約225グラム)では83キロカロリー(※1)で、ご飯1杯分で例えると3分の1程度しかありません(※2)。また、成分の約90%が水分なので、夏場の水分補給になって満足感もあります。
※1 文部科学省:の食品成分データベースより引用しています。
※2 農林水産省:ご飯のカロリーの量はどのくらいあるのですか。
スイカの主な栄養素は?
スイカは、ミネラルやビタミンなど、体にとって必要な栄養素が豊富な食品です。スイカの果肉の90パーセントは水分ですが、さまざまな栄養素が含まれています。
ここでは、スイカに含まれる主な栄養素と、その効果について見ていきましょう。
カリウム
ミネラルの一種であるカリウムが含まれていいます。体内の水分を排出させ、熱を逃がす働きがあるといわれているため、熱中症予防に欠かせない栄養素といえるでしょう。
ビタミン
スイカにはさまざまなビタミンが含まれており、ビタミンAやビタミンCは健康や美容の維持を保ち、ビタミンB1は疲れたときに良い働きをするといわれています。
ビタミンB6は水に溶けるビタミンの一つで、肌を健康的に保つ働きが有るとされています。
β-カロテン
トマト1個(100グラム)の中には0.54ミリグラムですが、スイカには0.83ミリグラムのβ-カロテンが含まれています。β-カロテンは、血流を改善する働きがあるといわれています。
シトルリン
スイカの皮には、シトルリンというアミノ酸が含まれています。シトルリンには老廃物を排出する働きがあるといわれており、利尿作用による体調改善などが期待できます。また、シトルリンは血流を良くする働きがあるとされており、頭皮環境の改善にも良いといわれています。
美味しいスイカの見分け方は?
甘くて美味しいスイカを見分ける際には見た目と音が重要になります。具体的なチェックポイントは次の4つです。
スイカの縞模様がはっきりしている
スイカは、縞模様の黒い部分が濃くて、境目がはっきりしているものほど新鮮で糖度が高くなっています。
また、美味しいスイカを見分けるためには触ってみることも大切です。スイカの黒い模様は線ではなくデコボコになっています。この盛り上がり具合が大きいほど濃厚な甘みを帯びたスイカとなっています。
スイカのおへその部分が大きい
甘くて食べ頃のスイカは、おしりのくぼみ部分であるおへそからも見分けることが可能です。穴が小さいものは完熟前で甘みが少なく、熟せば熟すほどおへその穴は大きくなります。
ただし、熟しすぎると食感が悪くなるうえに日持ちもしません。適度に熟したスイカを見分ける際には、おへその大きさが5円玉程度のスイカをおすすめします。
ツルの付け根がくぼんで周りが盛り上がっている
ツルの付け根がくぼみ、周りが付け根より盛り上がっていれば食べ頃のサインです。
熟していないスイカはツルの付け根の凹凸がありません。また、ツルの色が色あせておらず、緑色のものほど新鮮な証拠です。
ボンボンと軽い音がする
スイカは叩いたときの音で美味しさを判断することも可能です。
完熟したスイカは水分が多く、身が詰まっているため叩くと「ボンボン」と軽い音が鳴ります。対して未熟なものは「ポンポン」「パンパン」と高い音が、熟しすぎたものは「ボタボタ」と低い音がします。
スイカの旬な時期は?
スイカは夏を代表する果物で、一般的に5~8月に旬を迎えます。市場に出回る量は6~8月にかけてがもっとも多く、秋から春にかけての時期はほとんど出回りません。
なお、全国的には5~8月が旬とされていますが、産地により収穫時期が異なるため、地域により旬の時期も様々です。
日本一のスイカの名産地である熊本県では、「肥後漫遊」「だんらん」など様々な種類のスイカが栽培されており、4月~5月が旬となっています。
また、スイカの生産量2位を誇る千葉県では、5月中旬~7月中旬に旬を迎えます。
そして、スイカの生産量3位である山形県では、夏真っ盛りの7月後半~8月後半がスイカの旬の時期となっています。
それ以外にも注目したいのが沖縄県のスイカです。沖縄県のスイカは旬の時期が非常に長く、秋以外のほとんどの時期にスイカが収穫できるという特徴があります。
スイカの美味しい食べ方は?
スイカを美味しく食べるためには保存の温度と切り方にポイントがあります。スイカは冷やしすぎると糖度が下がってしまうため、8~10度の温度で保存しましょう。
冷えた状態のスイカを食べたい場合は、食べる1~2時間前くらいに冷蔵庫へ移すと美味しく食べられます。
または冷水にさらすという方法もおすすめです。
カットする際はスイカの中心部分を意識しましょう。スイカの甘みがたっぷりと含まれているのはこの中心部分です。
そのため、中心部分を均等に切り分けることで、どのピーズを選んでも満足度の高いスイカを食べることが可能になります。
スイカは収穫時が一番甘く美味しいとされる食べ物です。日にちを置いた方が追熟して美味しくなると思われがちですが、実際はツルを切った時点で成長が止まり、劣化が始まります。
そのため、甘く熟したスイカを見分けた後は新鮮なうちに食べることが大切です。
味を劣化させずに楽しむためには保存状態も重要になります。
カットされていないスイカは8度以下で糖度が下がるため、8~10度の風通しの良い冷暗所に保存しましょう。カットしたスイカを保存する場合は、ラップで包んで乾燥を防ぎ、温度の高い野菜室に保存してください。
なお、カットすると糖度が下がるスピードが早くなるため、早めに使い切ってください。そのまま食べることに飽きてきたら、フルーツポンチやシャーベット、ゼリー、スムージーなどのアレンジがおすすめです。
スイカは家庭菜園できる?
メロンと同様、一般的に高級なイメージがあるスイカですが、実は管理が少ないため初心者でも家庭菜園で育てることが可能です。
栽培に適した気温は25~30度です。
1株で最低100×300cm程度の広いスペースを確保しましょう。プランターで栽培する場合は小玉スイカを選び、空中栽培などの方法を選ぶことをおすすめします。
育苗は3月初旬~4月、植え付けは5月初旬、収穫は7月下旬~8月下旬が栽培の目安です。
初心者の方など、種から苗を育てることに不安がある場合は苗を購入して植え付けからスタートすると良いでしょう。
苗は4月中旬~5月中旬ごろに売り出されます。植え付けが終わり、ツルが伸びてきたらワラを敷きます。
敷きワラには、土の乾燥や雑草、病気などを防ぐ効果があります。
受粉は、雄花を雌花にこすりつけて人工授粉することで着果の成功率が上がります。
大玉スイカの場合は受粉から約40~50日、小玉スイカの場合は約35~40日で収穫することができます。葉やツルが枯れてきたら収穫可能の目安です。
家庭菜園には、縞王、ゴールドマダーボール、タヒチ、FRマダーボールなどの品種がおすすめです。
スイカがダイエットや夏バテ対策に期待できる
スイカがどんな食べ物なのか、カロリーや栄養素にも注目して紹介してきました。
汗をたくさんかく夏場は、熱中症のリスクが高まります。スイカと塩分を合わせてとることで、夏バテ予防や疲労回復が期待できるでしょう。
また、カロリーや糖質も低いため、夏のおやつや間食にもおすすめです。ただし、食べすぎは体を冷やしてしまうこともあるため、適量を楽しみましょう。