苗には二つの種類がある
苗には、種から育てられた「実生苗(みしょうなえ)※」と、病気に強い品種に接ぎ木をした「接木苗」の二種類があります。
苗を選ぶときにはどちらが好ましいのでしょうか。それぞれの特徴を見ていきましょう。
※実生苗…種子から育った苗を実生苗や自根苗といいます。
安価で初心者向きの「自根苗」
野菜の種から育てた苗を「実生苗」といいます。実生苗は、接木苗よりも安価ですが、耐病性や成長速度は接木苗よりも劣るというデメリットがあります。
毎年、同じ場所に植えることで病気になってしまう連鎖障害を防ぐために、栽培場所を毎年変えることができるという人は実生苗でも問題はありません。
自根苗より高価だが病気に強い「接木苗」
病気などに強い品種に接ぎ木した苗のことを「接木苗」といいます。現在は品種改良が進み、害虫や病気に強い品種の接木苗も販売されています。こういった苗を選ぶことで、野菜づくりにおけるさまざまな管理の手間を軽減することが可能となりました。価格は自根苗と比べて3~5倍で販売されていますが、収穫期間が長く、結果的に収穫量が増える可能性があるという点もメリットです。
苗選びで覚えておきたいこと
苗を見極める際には、茎や葉の色や生育状態などを確認する必要があります。ここでは、良い苗を選ぶためのポイントを紹介します。
良い苗は茎が太く、色が濃い
苗の良し悪しに見た目の大きさは関係ありません。葉が多く密集しているものは、根がしっかりしていて光合成もしっかりできる、良く成長する苗の証拠です。また、しっかりと根を張れることが成長していくためには重要なので、株元にぐらつきがないかを確認しましょう。良い苗の特徴としては、主に次のようなことが挙げられます。
良い苗の特徴
・茎が太く、まっすぐ伸びている
・葉に厚みがある
・葉の色が濃い
・葉が密集している
・野菜が地面にふれている株元が安定しており、ぐらついていない
悪い苗は葉が黄色く、虫がついている
根詰まりを起こしている苗は、植え付けの時期を逃してしまった物です。ポットの中で根が絡まっていたり底から茶色い根が飛び出していたりする苗は避けるようにしましょう。悪い苗の特徴としては、主に次のようなことがあげられます。
悪い苗の特徴
・茎が細い
・ポットの中で根詰まりを起こしている
・葉に斑点がある
・アブラムシがついている
・葉の色が薄く、黄色い
・根が黄褐色である
苗は植え付けの直前に購入しよう
苗は、作物の種類や収穫の時期に応じて植え付けの時期が異なるため、植え付け時期に購入するのが良いでしょう。
夏野菜はナスやトマトなど種類も豊富で、3月下旬頃から苗が販売されるので、5月に植え付けるのがベストです。多湿は病気の原因にもなりますので、梅雨の前に植え付けを行いましょう。キャベツは、年に3度植え付けのタイミングがあります。育てる土地の寒暖によって変わりますが、春まき栽培は4~5月、夏まき栽培は7月下旬~9月初旬、秋まき栽培は11月~12月頃に苗植えを行います。暑さに弱いため、初心者は夏まきもしくは秋まきが育てやすいでしょう。
また、いちごの苗は9月頃から販売され始めるので、9月下旬~10月下旬に植え付けるのが望ましく、翌年5月に収穫を行います。いちごは、深く植えると成長が遅くなるため、浅く植えるのがポイントです。
種から育てたほうが良い作物もある
多くの作物は苗と種の両方が販売されています。ですが、発芽して苗まで育てる期間に一番手間がかかるため、初心者は苗から育てたほうが栽培は簡単です。しかし、品種によって根が腐りやすい植物は、種から育てたほうが良い場合もあります。
種から育てたほうが良い作物は、主に以下のようなものがあります。
種から育てたほうが良い作物
・大根
・ニンジン
・ホウレンソウ
・白菜
・枝豆 など
良い苗を見極めて野菜づくりにチャレンジ
野菜づくりは、苗の選び方が大切だということを紹介しました。野菜づくりを始める時期によって、適した作物が変わります。
夏野菜やいちごなどは、育てやすく家庭菜園にも向いているので、良い苗を選ぶためのポイントをしっかりと理解して、野菜づくりを始めてみてはいかがでしょうか。