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知ってる? ビール、発泡酒、第3のビールの違い 〜世界お酒図鑑〜

知ってる? ビール、発泡酒、第3のビールの違い 〜世界お酒図鑑〜

毎日暑いこの季節。キンキンに冷えたビールをグイッと飲むのが至福のひと時……という人もいるのではないでしょうか。夏に限らず、1年を通して飲まれているお酒の一つ、ビール。居酒屋やスーパー、コンビニでもたくさんの種類を見かけますが、原料や製造方法、そしてビール、発泡酒、第3のビールの違いについてご存じでしょうか。「世界お酒図鑑」、今回は、一番身近なお酒の一つ、ビールについての豆知識を紹介します。

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ビールは何からできている?

ビールに使われるビール大麦

ビールの原料は、国や種類によってさまざまですが、日本の酒税法では「麦芽、ホップ、水、その他特定の副原料」と定義されています。

ビール造りに欠かせない発酵のもととなり、黄金、黒、琥珀(こはく)といったビールの豊かな色、香りを決める麦芽。主に、醸造に適した特徴を持つビール大麦(二条大麦)が使われており、北米、ヨーロッパ、オーストラリアのほか、北関東、九州北部、北海道など日本各地でも生産されています。ホップは、ビールの特徴でもあるさわやかな苦みを与えてくれたり、腐敗を防いだり、泡もちをよくする大切なもの。アサ科のつる性植物で、日本では主に東北や北海道で生産されています。

ビールの苦みなどのもととなるホップ

これらの原料を使って、ビールはどのように造られているのでしょうか。基本的な造り方としては、まず大麦に水分を含ませた後、空気を送りながら発芽させます。この発芽のとき働く酵素は、後に大麦の成分を、アルコールのもととなる糖分などに変える働きをします。そのため、発芽はビール造りにおいて大切な工程の一つといえるでしょう。発芽させた麦芽は乾燥させた後に高温で焦がし、温水と混ぜ合わせ、再び酵素を働かせます。これにホップを加え、煮沸したら、ビール酵母を加えて発酵。その後、貯蔵タンクに移し、低温で数十日間熟成させることで、おいしいビールが出来上がります。

「ドイツといえばビール」は法律から!?

お酒

日本でもたくさんの種類が造られ、多くの人から愛されているビールですが、ビール大国といえばやはりドイツ。確かにドイツにはおいしいビールのイメージがありますが、実はその秘密は法律にあるようです……!?

ドイツには「ビール純粋令」という法律が存在します。これは、1516年にバイエルンで制定され、現在も有効な世界最古の食に関する条例といわれています。その内容は、「ビールは麦芽、ホップ、水以外のものを原料としてはいけない」というもの。現在、「ビール純粋令」は従来のものから少しずつ緩和されていますが、ドイツには、昔からのビール純粋令にのっとったビール造りを行う醸造所が多いようです。ドイツの人々のこだわりが、ビールの品質や伝統を支え続けているのかもしれませんね。

ビール、発泡酒、第3のビールの違いとは

農業

ビールと同じく、家庭で楽しまれているのが「発泡酒」。見た目やテイストなど、ビールに似たものが多い発泡酒ですが、ビールとの違いは、酒税法において定められる“原料”にあります。

まず、ビールの主原料は、麦芽、ホップ、水の3つ。そこに、米、トウモロコシなど、特定の副原料を加えることも認められていますが、その場合、副原料は麦芽の重量を超えてはいけない、というルールがあります(果実や香味料など、香り付けや味付けを目的とした副原料は、麦芽重量の5%までの使用に限られます)。

一方、発泡酒は、麦芽または麦を原料の一部とした発泡性のある酒、と酒税法で定められています。具体的に言うと「副原料が麦芽の重量を上回るもの」「麦芽の割合はビールの基準に達しているが、ビールに認められていない原料を使ったもの」「麦芽を使わず麦を使ったもの」などが発泡酒とされます。

つまり、ビールと発泡酒を分ける重要なポイントは、麦芽の割合と、決められた原料以外のものが使われているかどうかによるのです。

では、近年耳にする「第3のビール(新ジャンル)」とは一体どんなものなのでしょうか。第3のビールは、2種類に分けられます。一つは「ホップを使用した発泡酒に麦由来の蒸留酒を混ぜ合わせたもの」、そしてもう一つは「麦や麦芽を使用していないもの」です。例えば、エンドウ豆や、トウモロコシ、大豆を原料として発酵させたものが後者にあたります。おつまみとして食べられそうなものも原料に使われているんですね。

なお、麦芽の割合など、上記の規定は2018年4月の法改正により新たに定められたものです。4月から10月までは旧酒税法による表示の容器も使用可能ですが、10月からは新法に基づく容器への表示が義務付けられるため、すでに発泡酒からビールへと表示を変えた商品も出てきています。2020年10月の法改正では、ビールは7円の値下げ、発泡酒は麦芽比率によって値下げしたもののと据え置きのものに分かれ、第3のビールは約10円の値上げとなりました。(いずれも350ミリリットルあたり)また、2023年には、第3のビールも発泡酒として分類される予定です。法改正により変わっていくビール市場の動向も気になりますね。

なじみがあるいつものお酒でも、原料や新種の動向などを探ってみると、新しいビジネスや販路に生かすヒントを発見できるかもしれません。皆さんも調べてみてはいかがでしょうか?

※ 上記の情報は2018年7月19日現在のものです。
※ 以下の参考資料は製法や原料についての参考としたものです。分類については酒税法の改正により変更されていますので、ご注意ください。

参考
お酒のはなし 特集 ビール(PDF):酒類総合研究所
お酒のはなし 特集 ビールⅡ(PDF):酒類総合研究所
お酒のはなし(PDF) p.4「発泡酒・第3のビール」:酒類総合研究所

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