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農家が教える柿の栽培方法 多収のための剪定方法や病害虫対策とは?

農家が教える柿の栽培方法 多収のための剪定方法や病害虫対策とは?

最終更新日:2018年10月16日

全くの初心者ではないけれど柿をもっとおいしくしたい! たくさん採りたい! という園芸中級者への橋渡しとして、また、これから柿を育てようと考えている初心者にもわかりやすいように、その生態を解説したいと思います。それぞれの作業をその時期にしなければならない理由まで理解することができ、「じゃあ今年の条件は○○だから××してみよう!」と考えるようになると、あなたの園芸人生は一気にクリエイティブな領域に突入します。

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柿は数ある果樹の中でも、特に家庭で育てる果樹(家庭果樹)として適した作目と言われています。
「モモクリ三年カキ八年」とはいいますが、実際に現代の栽培品種を植えて、結実を迎えるまでに8年を要することはめったにありえません。ですが、初めて実がなるまでにかかる年月は他の果樹に比べ遅い部類に属します。
早く食べられることのメリットが大きい家庭果樹栽培において、それでも柿が選ばれ続けている最も大きな理由は、なんと言っても「結実率の高さ」でしょう。
品種による差はあれど、1本だけでも随分と結実してくれます。
え? 今年は柿がなっていないですか? なっていても全部落ちてしまいますか?
それらの原因も全てこの記事を読んで解決しましょう。

農業

柿の一年間の成長を表したグラフになります。なんとなく眺めておいてください。
いつ、何の作業をすればおいしい果実がたくさんなるのか、なぜその時期にしなければならないのかを理解すれば、失敗の原因もおのずと分かってきますし、果樹園芸がより奥深さを増していきます。

柿の「栽培暦」を見ながら、それぞれの時期の作業について確認していきましょう。

柿の栽培暦

12~2月の作業【休眠期】

落葉して木が活動を停止している期間を「休眠期」といいます。品種や地域によっては11月頃から休眠期に入りますが、木が休んでいるこの時期にしかできない重要な作業が多くあります。葉が落ちてから3月に発芽開始するまでの間に、必ず終わらせるようにしましょう。

植え付け

新しい柿を植え付ける作業も、この休眠期に行います。
これから数十年にわたる柿とのお付き合いのはじまりです。

植穴を50センチ四方ほど掘ります。
掘った土に、有機肥料、堆肥(たいひ:腐葉土や牛ふんなど)、苦土石灰(くどせっかい)を混合して、半分は埋め戻しておきます。鉢植えの場合は調整された培養土をそのまま使用しましょう。
苗の根をできる限り広げて植え付け、土をしっかりと埋め戻します。深植えにならないように注意し、倒れないよう支柱に結んでおきましょう。
土と根が密着するように、たっぷりと水やりをしてください。

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元肥

果樹栽培では極力、化成肥料を使用しないようにしましょう。化成肥料を使用する場合は、細かな計算と土壌分析、厳密な施肥時期の見極めが必要になってきます。最低でも有機化成、もしくは完全有機肥料でじんわりとした肥効を期待しましょう。
有機肥料8-8-8(数字は窒素・リン酸・カリウムの割合を表します)の肥料を使う場合は、およそ6キロ/1樹です。肥料成分が8-8-8より大きいものは量を減らし、数字の小さいものは量を増やしましょう(主に頭の数字である窒素成分で計算します)。

剪定(せんてい)

果樹栽培で最も重要かつ経験が必要で、プロの栽培においても答えが出ない難しい作業ですが、それゆえに奥深くて面白い作業です。
家庭果樹の場合は、あまり難しく考えすぎずに、枝が混み過ぎて光が当たらなくなる部分を無くす作業だと捉えてください。柿の葉は大きいため、すぐに葉影になる枝が出てきます。葉に光が当たらない部分は来年枯れてしまいます。毎年それを繰り返していくと、低いところは枝がなくなり、高い位置だけに実がなって収穫できない、カラスのエサ生産用の柿の木になってしまいます。

ここでは柿の剪定において、他の果樹とは違い気を付けなければならない大切なことを説明します。

農業

柿の枝の写真です。
現在ある枝から翌春、新梢(しんしょう:今年新たに伸びた枝のこと)が伸び、その新梢に花がつきます。柿の場合は、枝の先端の2~4芽しか花を持っていません。
その下の芽は全て花を持たず、葉しかつけません。なので、この大切な数芽を切り落としてしまっては、翌年は花も実もつけないことになるのです。
「造園屋さんに剪定を頼んだら、柿が全く実をつけなくなった」という相談がよくありますが、造園屋さんは木の形を整えるのが仕事で、先端を全部切り揃えることが多いためにそういったことが起こってしまうのです。
あえて切ることで実の数を調整する人もいますが、家庭果樹では先端はいじらずに、混みあった枝を根元から抜いて透かす剪定を心掛けましょう。

3~7月の作業【開花・結実期、新梢伸長期】

新梢が芽吹いてから、開花、着果、枝の伸長と植物体内ではこの時期目まぐるしい変化が起きています。

摘蕾(てきらい)・摘果

花が咲く前のつぼみを落とす作業を「摘蕾」、なった実を落とす作業を「摘果」といいます。
果実の大きさや甘さは、葉が生み出す光合成の力によって生まれます。同じ葉の数の枝に4つの実をならせるより、1つの実をならせた方がより大きく、甘い果実になります。
最終的には1果実につき15枚の葉、目安としては枝1本に1果実が理想です。
また、栽培暦にあるように、同じ果実の肥大でも、前半(5~7月)は細胞分裂により細胞自体の数を決定し、後半(8~11月)は決定した数の細胞を膨らませていきます。
つまり、摘果が早ければ早いほど、枝に残した実の細胞の数そのものが増えるので、より良い実を期待できますし、遅ければ遅いほど、その後いくら肥大してもそもそもの細胞の数が少ないために、肥大効果が薄いのです。

上は摘果が遅れ細胞の数自体が少ない場合、下は摘果を早めに行い細胞の数自体が多い場合

生理落果

柿栽培の相談で最も多いのが、「実が落ちる」落果に関してです。摘果どころか落ちてしまって困るという声が非常に多いです。
落果の主な原因は以下にあります。

肥料が多すぎる・木が若すぎる:植物全般の特性として、木が大きくなろうとする力が強いときは、花や実を落とす傾向があります。肥料が多すぎる場合や、若木のうちは、落果しやすくなります。近くに畑や花壇はありませんか? その肥料を吸っているかもしれません。
日照不足・干ばつ:梅雨時期の6~7月に生理落果(自然に落果すること)が多く見られませんか? 曇天続きで日照が不足すると、どうしても生理落果が起きやすくなります。剪定をあまりしていなくて日陰だらけになっていれば、やはり同様の結果を招きます。
病害虫:主にカキノヘタムシガ(通称ヘタムシ)とカメムシの食害によって落果します。これらの害虫を防除するには、6月の農薬散布が最も効果的です。

家庭果樹の場合、これら落果の可能性を考慮して、6月下旬まで待ってから摘果に入るのもひとつの手です。

夏肥(なつごえ)

早期生理落果の危険性は、6月下旬にはぐっと下がります。間違っても夏肥の時期をこれより早めることはしないようにしましょう。7月上旬が適期です。
7月中旬~8月中旬の盛夏期の約ひと月に、柿は樹体内で来年の花芽を分化しています。この時期に実がたくさんついていたり、肥料や水が足りていなかったりすると、来年の花や実の数を極端に減らして樹勢回復につとめる「隔年結果」という現象につながります。
逆に実が全然ついていなかったり、葉ばかり茂って生理落果が多かったりする場合は、この時期の施肥は見送ってください。更に状況が悪化してしまいます。
施肥量は有機肥料8-8-8の場合で、およそ2キロ/1樹程度です。

8~11月の作業【果実肥大期~収穫】

ここまでくれば柿栽培においてやるべきことは、せっかく残った柿の実を守ることだけです。

病害虫防除

この時期の主な仕事は病害虫防除になります。特に近年爆発的な発生が見られるカメムシには非常に困らされます。
主な病気には落葉病や炭疽(たんそ)病があります。
最も重要な散布時期は6月。次いで8月下旬になります。ヘタムシやカメムシの飛来時期でもあり、病害虫が侵入しやすく雨の多い時期です。
この2回の薬剤散布だけは欠かさないようにすると、ぐっと収穫量が増加します。

秋肥(あきごえ)

9月上旬頃の秋肥は、生理落果の心配はあまりありません。
この時期からは特にカリウムの補給をすることで玉の肥大がよくなります。
施肥量は、有機肥料8-8-8でおよそ2キロ/1樹となります。

より深く栽培について学んでいただけるよう、少しややこしい内容も臆さず書いてみました。読み物として楽しんでいただければ幸いです。
それぞれの作業に関心と愛を持って接すれば、植物は必ず返してくれます。あなたが丹精込めた分、必ずあなたへとすばらしい秋の味覚を運んでくれるでしょう。

 
画像作成:鶴田祐一郎

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