グリーンやホワイト、最近では紫色などあり彩り鮮やかで、食卓をカラフルに飾ってくれる「アスパラガス」。初めて栽培する場合には収穫まで2年ほど要しますが、その後は1つの株で複数年収穫を楽しむことができます。そこで今回は、アスパラガスを上手に育てるポイントについて解説します。
アスパラガスの基礎知識
アスパラガスってどんな野菜?
アスパラガスは、和名を「オランダキジカクシ」といいます。一見するとユニークな形をしたアスパラガスですが、実は食用として私たちが食べているのは、アスパラガスの若茎の部分です。茎についている「はかま」と呼ばれる三角形のものが葉で、葉のように見えるものは「偽葉(仮葉)」と呼ばれ、細かく分かれたた枝に当たります。
市販されているアスパラガスにはいくつかの種類があり、「グリーンアスパラガス」のほかに、缶詰などでもおなじみ「ホワイトアスパラガス」、アントシアニンを含み全体が紫色の「紫アスパラガス」、茎が細い品種のアスパラガスをまだ小さなうちに収穫した「ミニアスパラガス」などがあります。
アスパラガスは南ヨーロッパからロシア南部で自生しており、主に冷涼地で栽培されています。日本では北海道が主産地です。野菜としては豊富なタンパク質を含み、グリーンアスパラガスはビタミンA・B1・B2・C・Eや葉酸といった栄養素も含んでおり、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸も豊富です。アスパラギン酸は体のだるさや疲労回復に効果があるとされており、天ぷら、サラダ、炒め物など、どんな料理とも相性が良いアスパラガスは、暑い時期ににぜひ食べたい野菜の一つです。
アスパラガスの栽培
アスパラガスの苗の特徴
アスパラガスは種まきからでも栽培できますが、市販の苗を購入して栽培を始めるのが一般的です。「小苗」といわれる初めて栽培される苗を購入した場合には、収穫は3年目からになります。一方、すでに数年間栽培された「大苗」を購入した場合は、その年から収穫が可能です。
アスパラガスの栽培時期
アスパラガスは3〜4月頃に種まきして苗を作り、収穫は4月末〜6月初旬です。また秋植えの場合には、9~10月頃に苗を植えます。アスパラガスの苗は、1株から最大10年ほど収穫ができるため、畑で育てる場合には、植える場所にも配慮が必要です。
プランターでの栽培方法
アスパラガスは、大きめのプランターを利用すれば自宅のベランダでも栽培することができます。プランター栽培のポイントには、次のような点があります。
プランター選び
アスパラガスを栽培するプランターは、深さが20センチ以上(10号以上)ある深めのものを用意します。1つのプランターには1株だけを植えます。
土作り・肥料
市販の野菜用培養土の利用が便利で、適正酸度はpH6.0~7.0が目安です。土を入れる前には、プランターの底に底石となる軽石を入れておきます。土は3~4センチほど入れたら、プランターの底から水が出るまでたっぷりと水やりをします。水がはけたら固形の化成肥料を入れ、さらに土を5センチほど入れます。苗を植えたら芽の上に4~5センチほど土をかけ、最後にたっぷりと水やりをします。
管 理
植え付け後は、できるだけ日当たりの良い所に置き、水やりは毎日たっぷり欠かさず行います。アスパラガスは肥料を好む植物なので、2週間に1度は化成肥料をプランターのふちに沿ってまくか、液体肥料を施します。成長すると背が高くなるため倒れないように支柱を立て、栄養を奪われないように雑草の処理もこまめに行います。
収 穫
アスパラガスは、20~25センチほどの高さまで成長したら収穫のタイミングです。太さの目安は人差し指ほどの太さになって入れば大丈夫です。
アスパラガスの株分け
アスパラガスは1株で10年くらい収穫が楽しめますが、根の成長の勢いが強いので、根づまりを起こす前に株分けを行います。株分けの時期は収穫期、真夏、真冬を避けますが、最適期は5~6月です。プランターから抜いた株は、古土を1/3ほど落とし、古い根を切り詰めてひと回り大きな容器に植え替えます。1株から分ける数は、2~3程度が目安です。株分け後しばらくは日陰で管理し、その後日光に馴らしながら通常の管理に戻します。
アスパラガスの種類別栽培方法の注意点
グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスはまったく同じ品種です。育て方の違いで色に違いが出るだけです。グリーンアスパラガスは、日の光にたっぷりと当てて栽培します。一方、ホワイトアスパラガスは、日光を遮断する「軟白栽培」という育て方をします。これは遮光シートや土盛りなどで光を遮る工夫をして育てることで、葉緑素を形成させずに白いまま成長させる栽培方法です。これをプランターで行う場合には、発芽したら光を遮断するカップをすっぽり被せて日光を遮断するだけでも大丈夫です。紫アスパラガスは鮮やかな紫色をした品種ですが、栽培方法に違いはありません。また、ゆでると緑色になってしまいます。
畑で育てたいときは
畑で栽培する場合には、越冬のさせ方が鍵となります。アスパラガスは、若茎の収穫を終了させると茎葉の育ちが活発になります。葉を開いて光合成を行い、根に栄養を貯蔵して休眠期に備え、葉の黄化が進むと最も深い休眠期に入ります。この時期に入ったら、地際部から5〜7センチのところを鎌で刈り取り、その場で乾かして処分します。これはアスパラガスを病原菌から守るための処置です。その後、畝の両側に深めの溝を掘り、その中に発酵度が中程度の堆肥や干し草などと油かすを施し、アスパラガスの根株を埋めるように畝上に土を大きく上げ、根株を寒さから防ぎます。そして3月頃になったら、萌芽(ほうが)に支障のない程度に土を取り除き、畝間に落とす「寄せ土戻し」を行い、化成肥料や有機配合肥料などを追肥します。
【関連記事はこちら!】
おいしいアスパラガスの育て方【プランターで手軽にできる】
ゆでて冷凍保存もできる アスパラガスの栄養と保存法【野菜と果物ガイド】
大根の栽培を成功させるポイントとは【プランターで手軽にできる】
>>プランターで育てる野菜の栽培方法をもっと見る