キャベツの栽培方法
まずはキャベツの一般的な栽培方法について紹介します。キャベツは、育苗期に虫からの食害などを受けやすい作物なので、苗は特に注意して育てましょう。種は、ビニール製のポット1鉢に対し2粒くらいずつ、お互いを離してまきます。種に5ミリほどの土をかぶせたらたっぷりと水やりをしましょう。3〜5日で発芽するので、その後、1つ目の本葉が開いたら、元気のいい苗を残し、他の苗は間引きをします。
ポットで苗を育てている間に、苗を定植させる畑に肥料をまき、よく耕しておきます。苗の本葉が4枚くらいになったら畑に定植しますが、この際、深く植えすぎないように注意しましょう。定植後の追肥は品種や栽培時期によって異なりますが、夏まき冬どりの場合は、キャベツの外側の葉が大きくなってきた時と、葉が丸まるようになってきた時の2回です。秋まき春どりの場合は2~3月に1回やります。追肥の時には、キャベツの列と列の間(畝間)の土を耕し、根元に土を寄せておきましょう。
中身が詰まり、球が硬くなったら収穫のサインです。夏まき冬どりのキャベツは比較的長い間畑でそのままにしておけますが、「春キャベツ」として出荷される秋まき春どりのキャベツは、収穫が遅れると球が割れることもあるため、素早く収穫するのがおすすめです。
キャベツの葉が美しく巻かない原因は?
キャベツといえば、何枚もの葉が重なり結球した形が印象的ですが、栽培方法や環境によっては、うまく葉が巻かなかったり、とても小さいキャベツになってしまったりします。その原因の一つに、種まきの時期が挙げられます。品種によって差がありますが、キャベツの結球に適した温度は13〜20℃で、7℃以下の低温や、28℃以上の高温だと、結球の進みが鈍ってしまいます。品種の特徴や、栽培をする気象・土壌の条件を踏まえて、結球期に葉が巻く適切な気温になるよう、種まきや定植の時期を決めることが美しいキャベツを作るポイントです。
また、害虫にも注意が必要。例えば、結球する前に株の中心部を害虫に食べられてしまうと、葉が巻かない、1株に小さな玉が何個もできてしまうなどの被害につながるので、注意をしましょう。
キャベツの栽培暦から見る栽培時期と栽培期間
キャベツの栽培暦(栽培カレンダー)は、品種や地域の気候によって異なります。ここでは、キャベツの生産量全国上位である愛知県の例を見てみましょう。
夏まき冬どり
夏まき冬どり栽培は、7月下旬〜8月中旬に種まきを行い、8月下旬〜9月上旬に植え付け、10〜11月以降に収穫します。夏まきには、収穫までの期間が短く、耐病性と耐暑性を持ち育てやすい「おきな」などの品種がおすすめです。
秋まき春どり
秋まき春どり栽培の場合は、9月中旬~10月下旬に種まき、10月中旬〜11月上旬に植え付け、翌年5〜6月に収穫を行います。秋まきには、葉が柔らかくておいしい「金系201号」や「金春」などの品種が適しています。害虫の発生が少なく、比較的栽培がしやすい秋まきですが、種をまく時期が早過ぎると、“とう立ち(花をつける茎が伸びること)”をして収穫できないことがあるので、注意しましょう。
キャベツ栽培の天敵、害虫の対策方法
キャベツはヨトウムシ、アオムシ、コナガなどの害虫被害を受けやすい野菜です。これらの害虫は、前述したようにキャベツの葉が結球しない原因を引き起こし、生育中の食害は、収量や品質を低下させてしまいます。
害虫対策方法の一つとして、防虫ネットや、高温時の温度低下にも役立つ寒冷紗を使った被覆が挙げられます。しかし、これらは土の中に潜む害虫には対処することができないため、定植時に殺虫剤を使用することも有効です。また、見つけ次第割り箸で取り除くなど、細かな駆除も心がけましょう。
この記事を参考に、皆さんもおいしくきれいなキャベツを作ってみてはいかがでしょうか?
監修:農研機構 野菜花き研究部門 小原隆由