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酉の日とは? 〜農と暦の豆知識〜

連載企画:農と暦の豆知識

酉の日とは? 〜農と暦の豆知識〜

毎年11月の「酉(とり)の日」に行われる特別な行事があります。それは、関東の晩秋の風物詩である「酉の市」。酉の市は、江戸時代に始まり、現在では“商売繁盛”を願うお祭りとしてのイメージがすっかり定着していますが、一説によれば、もとは秋の収穫祭が始まりで、農作物や農業道具が売られていた“農業市”が形を変えて継承されたものだともいわれています。酉の日に行われる酉の市とは、どんなお祭りなのでしょうか。

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十二支を当てはめた“酉の日”とは?

農業

酉の日とは、その名からもわかるように、十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)の「酉」にあたる日のことをいいます。年にも十二支があるように、日付にも毎日それぞれ十二支が割り当てられており、いずれも12日おきにめぐってきます。そのため、十二支の日は年により日付が異なるのが通常で、今年2018年11月の酉の日は1日、13日、25日となっています。11月で一番初めの酉の日は「一の酉」、2番目は「二の酉」と呼ばれ、今年のように11月のうちに酉の日が3度ある年、つまり「三の酉」がある年は火事が多いという古くからの迷信もあります。これはニワトリの赤いとさかが火事を連想させるためだとも、空気が乾燥しがちな11月に火事が起こらないよう警鐘を鳴らすためだともいわれていますが、そのルーツは定かではありません。

酉の市の名物“縁起熊手”

東京都台東区浅草・鷲神社

「酉のまち」「お酉様」などとも呼ばれる酉の市。花又村の鷲(おおとり)大明神(現在の東京都足立区・花畑大鷲神社)は、酉の市の発祥の地といわれています。この酉の市はもともと、秋の収穫物や農具が並んだ近郊農村の農業市であり、これが次第に規模の大きな祭りへと姿を変えていったと伝わっています。

現在では、鷲大明神と同じく酉の市起源発祥の地といわれる東京・浅草の鷲神社や、関東各所にある大鳥神社など、各地で盛んに開催される酉の市。当日は、神社の境内や路上に多くの露店が並びます。酉の市といえば、商売繁盛や開運招福を願ってたくさんの“縁起熊手”(飾り熊手とも呼ばれます)が売られることで有名です。露店に並ぶ大小さまざまな熊手には、宝船、米俵、千両箱、福面、大黒、鶴亀、打ち出の小づちなどのきらびやかな飾りがこれでもかというほどついており、一度買い始めたら、毎年大きな熊手に買い替えていくのがよいとされています。

しかし、なぜ熊手が売られているのでしょうか。酉の市の前身ともされる農具市では実用品として売られていた熊手は、「お金や客をかき集める」「福を取り(酉)こむ」といった語呂から、次第に縁起物として商売人に買い求められるようになったともいわれています。売り手と客が買い値をめぐる商談を繰り広げる様子や、熊手が売れると「それでは皆さんお手を拝借」「家内安全、商売繁盛!」などの威勢のいい掛け声に合わせ、そろって手締めを打つ様子は、酉の市ならではの活気あふれる光景です。

酉の市には大きな“芋”も

酉の市で売られている芋・八頭

浅草・鷲神社の酉の市には、八頭(やつがしら)と呼ばれる芋も並び、こちらも酉の市の名物として毎年多くの参詣客に買い求められています。八頭は里芋の中でも高級とされる一品種です。古来より頭の芋(とうのいも)とも呼ばれ、“人の頭に立って出世する”とされる他、たくさんの子芋をつけて「多産」「豊産」を連想させることから、「子孫繁栄」の縁起物として人々に喜ばれています。

さまざまな縁起物と人々の願いであふれる現在の酉の市ですが、かつての秋のささやかな農業市に端を発するのであれば、なんだか面白いですよね。酉の日は、そんな歴史の流れに私たち一人一人が思いをはせる日であってもよいのかもしれません。

 
参考
「三省堂年中行事事典」
著者:田中宣一、宮田登(編)
出版:三省堂

「日本の年中行事 6 11月・12月」
著者:深光富士男(著)、竹内誠(監修)
出版:学研プラス

「みんなが知りたい!「四季の行事」がわかる本」
著者:ニコ・ワークス
出版:メイツ出版

「新版 日本の年中行事」
著者:弓削悟
出版:金園社

 
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