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耕作放棄地とクリーンエネルギー。ふたつの課題への立ち向かい方

耕作放棄地とクリーンエネルギー。ふたつの課題への立ち向かい方

耕作放棄地の増加と、クリーンエネルギーの創出。このふたつの課題に立ち向かっている企業が、千葉エコ・エネルギー株式会社です。どのようにこの課題に立ち向かっているのか、そしてその解決策とはなんなのか。同社の取締役・岡田篤(おかだ・あつし)さんにお話を伺いました。

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ソーラーシェアリングとは何か

──現在、マイナビ農業クラマルで、クラウドファンディングに挑戦されていますね。

はい、もともとマイナビ農業に会員登録していたことがきっかけでクラマルの存在を知りました。今手掛けているソーラーシェアリングをさらに広めるきっかけになればとクラウドファンディングを始めました。

ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光発電パネルを設置し、農作物の生産と太陽光発電の両方を同じ土地で行う仕組みです。2013年4月頃から広まり始め、千葉エコ・エネルギー株式会社もその先駆けとして取り組んできました。

──太陽光発電パネルが上にあって、農作物の生産効率は落ちないのでしょうか?

まず、設置した太陽光発電パネル同士は間をあけて設置してあり、一定量の光が入るようになっています。作物によって必要な太陽光の割合は違うため、栽培する作物に合わせた設計をしています。例えばニンニクを育てる場合は50%の太陽光が、お米や大豆を育てる場合は70%の太陽光が落ちるように設置します。

──なるほど。太陽光の量が50%で足りたとしても、100%のほうがさらに良いということはないのでしょうか?

太陽光を遮ることはデメリットだと考えられがちですが、メリットにもなりうると考えています。例えば、日の光が強すぎると、光合成を行いやすい反面強すぎる光で日焼けしてしまったり枯れてしまうこともあるんです。今年の夏は晴れた日が続き高温でしたよね。知り合いの農家の方から作物が枯れてしまったという話を聞く一方で、ソーラーシェアリングを行っていた耕作地は大きな被害を受けることがありませんでした。もちろん、冷夏などではより悪く働いてしまうこともありますが、ある程度の影が落ちていることは悪いことだけではないと考えています。

──農業にもちゃんとメリットがあるのですね。ソーラーシェアリングは、今後どのようにクリーンエネルギーの創出と耕作放棄地の減少をかなえていくのでしょうか。

耕作放棄地を耕作地に戻すためには、伸び放題になっている草の除去や土壌の改善が必要ですが、それらにはかなりの費用がかかります。太陽光発電パネルによって作った電気を売ることで、その費用もまかなえて農業以外の安定収入を得られれば、耕作放棄地を減らすことにつながると考えています。

──太陽光発電パネルの売電収入が損益分岐点(※1)を迎えるまでには、およそどのくらいかかるのでしょうか?

およそ10年ほどで売電収入が投資額を上回るので、そこが損益分岐点となります。今は20年間(※2)、電気の買取金額が一定とされているので途中で価格が変動することはありません。なので、設置から10年で投資回収をして、以降は発電した分だけ利益として獲得することができるのです。心配なのは台風や地震などで壊れてしまうリスクだと思いますが、私たちはそうならないような設計をすると同時に保険をかけるようにしています。

※1 損益分岐点:売上高と費用の額がちょうど等しくなり、損益がゼロになる分岐点。売上高がこの点以下だと損失となり、それ以上になると利益となります。
※2 規模により期間は変わります。

向かって左から専務取締役の萩原領(はぎわら・りょう)さん、代表取締役の馬上丈司(まがみ・たけし)さん、取締役の岡田篤さん

──今後どのようなことを目指していかれるんですか?

私たちが目指しているのは、ソーラーシェアリングを導入した農地を増やしていくことです。これは私たちが増やすだけではなく、農業に携わっている多くの方にも一緒に増やしていってほしいと考えています。
千葉エコ・エネルギーが描く未来は、クリーンエネルギーと農業が共存する世界。彼らの挑戦は、マイナビ農業クラマルで支援することができます。
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