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捨てられる軽い土を求めて。【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

連載企画:枯れ専かーちゃんのベランダ菜園

捨てられる軽い土を求めて。【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

野菜を自分で育ててみたいけれど畑を借りるのは少しハードルが高い。それならプランターで手間をかけずにプチ自給を叶えてみようと始めたベランダ菜園。秋シーズンが始まって、前回までにラディッシュ、ニンジン、ミズナなど様々な野菜の種をまきました。その度に土やプランターを用意してきたのですが、土が増えるほど、重さへの不満や後処理についての心配が増大。マンション住民に便利な軽くて捨てられる土を探してみました。

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都会のベランダ派が抱く土の悩み

存在の耐えられない重さ

秋シーズンが訪れてからというもの、様々な野菜の種をまく度に資材を求めて家とホームセンターの間を何度も往復してきました。そして、つくづく感じたのです。

重い……。

自家用車を持たない都会派の移動手段といえば、ザ・ママチャリ。土に加えて子どもも乗せていようものなら、持ち帰るだけで汗だくです。さらに、植えつけてから日当たりのいい場所に移動させようにも、持ち上げるのが大変……。

捨てるのもラクじゃない


土はゴミに出せないなんて……

さらに心配になのは、処分方法です。土はゴミに出せません。試しにいくつかの自治体の窓口に問い合わせてみましたが「土はゴミではないので引き取れない」として、有料で回収してくれる業者を紹介されました。東京23区の多くで同じ対応をしているようです。都会では土を買うのも捨てるのも一苦労なのです。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。悩んでインターネットであれこれ探してみたところ、そんなマンション住民の悩みに応える土がいろいろ売られているのを見つけました。早速いつくかを選んで、注文してみました。

軽くてゴミに出せる土5つ

かる〜い培養土

最初に届いたのは「かる〜い培養土」(プロトリーフ)です。

同じタイミングで注文した「ゴールデン粒状培養土」(アイリスオーヤマ)と一緒に届きました。まずゴールデン培養土をダンボールから取り出した後、この「かる〜い培養土」をつかむと思わず「かっる!」と感嘆が漏れるほど軽い。片手で持ち上げられます。

「かる〜い培養土」は持った瞬間に軽さを実感した

公式サイトで調べてみたみたところ、ゴールデン培養土が14リットルで8.25キロなのに対し、かる〜い培養土は12リットルで2.7キロ。10リットル換算すると、それぞれ5.89キロと2.25キロでした。

原材料は、「赤玉土、鹿沼土、ピートモス、腐葉土、バーク堆肥、もみ殻堆肥、もみ殻くん炭」とありました。ゴミに出せて軽い培養土というと、主な原材料はヤシの繊維であることが多いようですが、昔から園芸用土に使われてきた赤玉土や鹿沼土が入っているのが特徴です。

「かる〜い培養土」には一般的な培養土に含まれる赤玉土や鹿沼土なども入っている

捨てられる土

一方、同じメーカーから出ている、その名も「捨てられる土」(プロトリーフ)は、「ココヤシ繊維100%」をうたっています。「ココヤシピート」やヤシの外皮を砕いた「ハスクチップ」など、いずれもヤシから採れるものが原材料。まさに「土の処理に困っている」という消費者の声から生まれた商品だそう。

「捨てられる土」はココヤシ繊維100%でできている

特徴は「菌根菌」を配合していること。菌根菌というのは根の周りに共生する微生物で、植物の栄養吸収や病原体への抵抗力を高めてくれる効果があるといいます。重さは5リットルで1.5キロ。これもとても軽いです。

「菌根菌」を配合しているという

エココソイル

「エココソイル 燃やせるゴミとして捨てられる園芸用土」(プラネット)もココヤシ殻など「天然素材100%」をうたう商品です。原材料はココナッツピートを主体にしていて、黒糖などを原料とする土壌改良剤が配合されています。

「エココソイル」はココナッツピートを主体に、土壌改良剤が配合されているという

袋から取り出してみると、繊維質のものの中にカラフルな粒状のものが混じっていました。取扱会社に尋ねたところ、コーティングされた肥料が入っているそう。メーカー調べの重さは14リットルで4.3キロ。

繊維質のものの中にコーティングされた肥料が入っていた

花と野菜の培養土

ネーミングからして分かりやすいのが「可燃ゴミに出せる 花と野菜の培養土」(自然応用化学)です。「天然植物性有機物」をうたい、バーク堆肥とココファイバーを配合した100%植物原料を使用しているといいます。

「可燃ゴミに出せる花と野菜の培養土」も100%植物原料という

バーク堆肥とは、樹皮を発酵させて作った有機質肥料のことで、土をふわふわにさせる土壌改良剤の一つだそう。ヤシの繊維のみのものに比べて黒っぽい色をしているのは、このせいだと思われます。重さの記載はありませんでしたが、ウチの体重計で大雑把に測ったところ5キロちょうどでした。

バーク堆肥が入っているせいか全体的に黒っぽい色をしている

水でふくらむ野菜の土

最も軽くて、持ち帰るのにかさばらないのが「水でふくらむ野菜の土」(アース製薬)です。これも使用後は燃えるゴミに出せるとのこと。

箱の中にブロック状に圧縮して固められた土が入っている

主な原材料は「ココヤシ」とだけ記載がありました。ココヤシ原料を圧縮したブロック状の4つの土が15センチ四方ほどの箱に入った状態で売られています。給水前のブロックが1.4キロ。これに水を加えると、15リットルで10.4キロ程度の土になるといいます。

試しに水で膨らませてみました。

4つのブロックに分けられると書いてあったが、真ん中の二つはどうしても割れなかった

まず、箱から取り出して一片ごとに割ります。説明書きには、必要な個数のブロックをプランターなどに移し、水をかけると10分程度で膨らむとありました。必要な水の量は「4つのブロックにつき6〜10リットル」ですので、、ブロック1つに2リットルの水を用意しました。

2リットルの水といえばおなじみのペットボトルじょうろ

プランターにブロックの一片を入れて水をかけます。

プランターに入れて上から水をかけるがなかなか染み込まない

なかなか吸水せずに受け皿に水が溜まってしまうので、バケツを用意して、とりあえず1リットルくらいの水をかけて放置しました。

水をかけて10分後

10分後、まだ十分に吸水されずに固まりが残ったままです。少しほぐして水を足しながらさらに30分ほど置き、最終的には手でほぐしながら混ぜました。出来上がりはブロック一個で3.7リットルと書かれていましたが、膨らみきっていなかったのか、3リットルのプランターに入れても少し足りないくらいでした。

3リットルのプランターに入れてみた量

なかなか膨らまないと感じたので、今度はやかんでお湯を沸かして少し冷ましたものをかけてみました。

お湯を沸かして少し冷ましてからかけた

お湯をかけて10分後

すると、10分後にはかなり膨らんできました。沸かしたお湯では少し熱すぎるので、すぐに使いたい時にはぬるま湯を用意しておくとよさそうです。

「培養土」とは言っていないが、コーティングされた肥料らしきものが多少含まれている

「水でふくらむ土」は、元肥入りの「培養土」とはしていませんが、よく見るとコーティング肥料らしきものが多少含まれていました。成長具合を見ながら適宜肥料を足していくのが良さそうです。

商品名 原材料 容量(L) 重さ 10Lあたりの重さ(kg)
かるーい培養土 赤玉土、鹿沼土、ピートモス、腐葉土、バーク堆肥、もみ殻堆肥、もみ殻くん炭 12 2.7 2.25
捨てられる土 ココヤシピート、ハスクチップ 5 1.5 3
エココソイル オールドココナッツピート、ココナッツチップ、炭、ソイルキャッチ 14 4.3 3.07
可燃ゴミに出せる花と野菜の培養土 バーク堆肥、ココファイバー 14 5 3.57
水でふくらむ野菜の土 ココヤシ 15 1.4 0.93

※原材料、効果などについては袋の裏書や公式サイトの表記に準じています。
※④の重さは商品を体重計で計ってみた時のおおよその重量です。
※10リットルあたりの重さは基準の重さから換算した目安の重さです。

培養土としての実力は?

軽くて捨てられる土5つを取り上げました。

同じようにココヤシを主原料としていても、商品によって個性や機能に違いがあるようです。肝心の培養土としての実力はまだ使用中なのでハッキリとは分かりませんが、今後の成長を楽しみに待ちたいと思います。

なお、土を廃棄するときは「捨てられる」という表記がある商品である場合も、お住まいの自治体の規定をご確認の上、処分してください。
 

◆捨てられる土は見つかった。だがプランターは?ということで、次回はプランターを探す旅。

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