コンパニオンプランツとは
コンパニオンプランツ(共栄作物、共存作物)とは、一緒に植えることで良い影響を及ぼしあう植物のことをいいます。その多くは科学的に立証されているというより、経験則で相性が良いとされている組み合わせのよう。
例えば、トマトとバジルの組み合わせなどはよく知られていて、ウチの菜園でも春夏シーズンに導入を考えていました。ただ、トマトの植え付け後しばらくしてバジルを買ったために植えるスペースがなかったという、非常に複雑でよんどころない事情があって断念しました。
コンパニオンプランツで期待される効果
「コンパニオンプランツ コンテナで作る家庭菜園」(木嶋利男著、マイナビ出版)などによると、コンパニオンプランツには次のような様々な効果が期待できると言います。
⑴害虫を減らす
害虫の天敵を呼び寄せる植物(バンカープランツ)や、害虫が嫌って避ける香りの植物などを一緒に植えることで害虫を減らす方法があります。
例えば、害虫であるアブラムシを捕食するテントウムシを呼び寄せる植物に、クローバーやソラマメなどがあります。また、レタスやシュンギクなどのキク科の香りや味は、アブラナ科(ミズナ、ブロッコリーなど)を好むモンシロチョウ、ヨトウガ、コナガなどを寄せ付けない忌避効果があるとされます。
⑵病気を予防する
長ネギやニラなどネギ属の根に共生する微生物が、抗生物質の一種を作り出し病原菌を抑える働きがあるそう。
例えば、スイカやキュウリなど根を浅く張るウリ科には長ネギ、トマトやナスなど深く根を伸ばすナス科の野菜にはニラが相性が良いとされています。
⑶生育を促進する
異なる種類の野菜を近くで育てると、根が助け合って伸びることで吸水が良くなったり、微生物の働きで養分の吸収が良くなったりすることがあるそう。マメ科の野菜を植えると土が豊かになって生育が良くなるとも言われています。
⑷空間の有効活用
狭い家庭菜園で空間を有効利用できると考えられています。株元に日陰で育つ野菜やハーブなどを植えるのです。
例えば、背丈の大きいナス、トウモロコシ、サトイモなどの株元で日陰を好むミツバ、ショウガ、パセリなどを栽培します。
主なコンパニオンプランツの種類と期待される効果については以下の通りです。
作物 | コンパニオンプランツ | 期待される効果 |
イチゴ | ペチュニア | 生育促進 |
インゲンマメ | ルッコラ | 生育促進、病虫害予防 |
オクラ | パセリ | 生育促進 |
カボチャ | 長ネギ | 病害予防 |
キュウリ | 長ネギ | 病害予防 |
コマツナ | シュンギク | 害虫予防 |
サトイモ | ダイコン | 生育促進 |
シシトウ | ニラ | 病害予防 |
スイカ | 長ネギ | 病害予防 |
ダイコン | ニンジン | 害虫忌避 |
チンゲンサイ | サニーレタス | 害虫忌避 |
トウモロコシ | ラッカセイ | 害虫忌避 |
トマト | ニラ | 病害予防 |
バジル | 害虫忌避 | |
ナス | ニラ | 病害予防 |
パセリ | 生育促進 | |
ニガウリ | ニラ | 生育促進 |
ピーマン | ニラ | 生育促進 |
ラッカセイ | 生育促進 | |
ブルーベリー | ミント | 生育促進 |
ブロッコリー | サルビア | 害虫忌避 |
レタス | 害虫忌避 | |
ミズナ | レタス | 害虫忌避 |
ラディッシュ | ニンジン | 害虫忌避 |
※「コンパニオンプランツ コンテナでつくる家庭菜園」11ページの表から抜粋して作成
ニンジンとラディッシュの種をまく
コンパニオンプランツについて少し学んだところで、手元にあった種を組み合わせてまいてみることにしました。
まず手にしたのはニンジンです。ニンジンのコンパニオンプランツといえばラディッシュが挙げられます。ラディッシュの種は手元にたくさんあったので好都合です。
今回は2種類のニンジンで一列、ラディッシュのミックスで一列作ることにしました。
ニンジンは事前に土を濡らしてから筋まきすると良いと一般的に言われているよう。これに従い、まずは水をまいて前回同様に突っ張り棒で溝を作ります。
ニンジンの種を出してみるとカラフルな色がついていました。種の大きさは、ごま粒ほどだったラディッシュに比べてもさらに小さく、吹けば飛ぶような軽さです。小さな種をうまくつまんで溝に入れていきます。
今回も2種類のプランターを用意しました。それぞれに購入したばかりの違う培養土を入れて2つに同じ配列で種をまきました。土をかぶせて再び水をかけて、この日の作業は終了です。
タイプの違う種は混植できるのか
3日後、ラディッシュの芽が出てきました。ニンジンの方はまだです。
このときになって、それぞれの種に性質の違いがあることに気がつきました。
【畑は小さな大自然vol.13】にもある通り、種には発芽時に光を必要とする好光性種子と、逆に光を嫌う嫌光性種子があります。そして調べてみると、ニンジンは好光性種子、ラディッシュは嫌光性種子に分類されるよう。この2種類の種を同じようにまいてはいけなかったのではないでしょうか。
改めていろいろ調べてみると、ニンジンを植える際には薄く土をかぶせるのが一般的であるよう。しかし、実際はラディッシュの種をまいた勢いのまま1〜2センチ土をかぶせてしまっています。
ハッとして急にオロオロし始めるも、もはや後の祭り。とりあえず、ラディッシュの芽はすでに出ているので、ベランダの日なたの一等席にプランターを移動させ、ニンジンの種に光が届くことを期待します。
葉物野菜で鍋畑を作る
後日、今度はミズナ、シュンギク、コマツナの種をまくことにしました。
ミズナとコマツナはアブラナ科、そしてシュンギクはキク科の野菜なので相性はバッチリ。コンパニオンプランツの効果⑴で挙げた害虫忌避効果が期待できそうです。そして、これらのいずれも光を好む好光性種子。今度こそ「薄く土をかぶせ」て、発芽までは乾燥に注意します。
これも2種類のプランターに同じようにまきました。いずれも「筋まき」です。いまはまだ土しか見えませんが、1ヶ月もすればそれぞれの葉が生い茂っているはず。ちょうど寒くなり始める頃の鍋料理に活躍するのではと、早くもとらぬタヌキのなんとかを発動します。
簡単に混植できる方法があった!
心配したニンジンの方は、その後、6日目にごく小さな芽が出てきました。ひとまず発芽したことにホッと胸をなでおろします。
今回はたまたまうまくいきましたが、そもそも好光性種子と嫌光性種子を一緒にまいてもいいものなのでしょうか?ニワカ勉強で少し種に詳しくなっただけに混乱して、そーやん師匠に疑問をぶつけてみました。
きくち
そーやん
きくち
そーやん
きくち
みなさん、苗ですよ。「N」「A」「E」……苗!
初心者が野菜を育てるなら苗の方が簡単に決まっています。どうしてそのことを忘れていたのでしょう。苗なら発芽までの管理に気を揉む事もなく、即植え付けて完了です。
アドバイスを受けて改めて苗も探してみましたが、一時期出回っていた葉物の苗はすでに品切れ。師匠からは後日、「キャベツや白菜以外の葉物だったら種でも大丈夫ですよ!」という追加フォローをいただきました。
種に比べると目当ての苗が売られている期間は短いようです。プランター栽培は計画的に行わなければいけません。時期は逃さない、一緒に植えるものは同時に準備する、これ常識。例えば、トマトの苗を植えつけた後にバジルを買ってきても、植えるスペースがなくなってしまっている場合があります。そんな無計画なことをやる人はいないと思いますが、念のため。
◆プランターが増えて管理し切れるか心配……。次回はベランダ菜園に向いている土を探す旅。
【参考文献】「コンパニオンプランツ コンテナで作る家庭菜園」』(木嶋利男著、マイナビ出版)
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