栗の紹介
栗で食べられるのは、種の部分です。食べ頃の栗を茹でて皮をむくと、ホクホクとした食感と甘みを味わうことができます。調理に手間はかかりますが、秋ならではの“旬の味覚”として人々から親しまれています。
日本産の栗は、野生の「柴栗(シバグリ)」が改良された品種です。主に栽培されている品種は「銀寄(ぎんよせ)」や「利平(りへい)」などがあり、天津甘栗のような中国産の栗やヨーロッパ産のものと比べると虫害に強いと言われています。
日本における栗の歴史は長く、青森県の縄文時代の三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)から、たくさんの栗が出土しています。また、栗は茶道における菓子としても扱われていた記録があり、古くから親しまれてきた伝統的な食物であることがわかります。
栗は8~11月にかけて出回りますが、中でも9~10月が最も旬な時期と言えるでしょう。
栗の生産が盛んな都道府県
都道府県別に栗の生産量を見てみると、最も生産量が多いのは茨城県です。次いで熊本県、愛媛県となっています(※)。
※農林水産省 平成29年産都道府県別くりの結果樹面積・10a当たり収量・収穫量・出荷量
栗の鮮度の見分け方
栗を選ぶ際は、どんな状態のものが鮮度も良く、おいしいのか気になる方もいると思います。ものによっては甘さがなく、渋みが強い場合もあり注意しなくてはなりません。
新鮮な栗を見極めるポイントとしては、次のようなことが挙げられます。
皮に光沢・ツヤがあるか
栗の大部分である茶色い「鬼皮」に光沢があるものがおすすめです。
表面がしなびていないか
表面がツルツルしている、シワのようになっていないものを選びましょう。
ずっしりと重みがあるか
持ってみて、重みが感じられるものがおいしい栗と言われています。
栗の尻の部分が白く、大きいか
底の皮の部分がきれいな白色で、大きいものがオススメです。表面にツヤ・ハリがあって重く、下の白い部分が大きいものが鮮度の良い栗と言えるでしょう。
栗の保存方法
栗は保存方法にも注意しましょう。適切な保存をしなかった場合は、水が出てしまったり、虫が発生する原因となってしまいます。
まず、栗は1~2%の塩水に半日漬けておきましょう。水をよく切り、乾燥させたあと、5℃以下で保存します。冷蔵ではなく冷凍の方がおすすめです。自然解凍では水っぽさが出てしまうため、調理の際はそのまま使用すると良いでしょう。
栗のむき方のコツ
栗は、茹でた後の皮むきに苦労しがちです。出来るだけ手軽に皮をむいて食べたいという方も多いのではないでしょうか。ここでは、皮をむきやすくするためのアドバイスを紹介します。
「ぽろたん」という品種の栗の場合は、しばらく水に漬けておくか、沸騰したお湯で茹でた後冷めないうちに皮むきをすることでむきやすくなります。茹ですぎも禁物です。2~3分を目安に茹でましょう。
栗の表面を覆っている硬い皮「鬼皮」をむく場合は、栗の底に横から包丁を入れ、はがすようにむいていきます。鬼皮をむいた後に現れる渋皮は、水に一晩漬けておくことで、むきやすくなります。
生の栗から水が出ていて、色や味も良くない場合
生の栗は、冷凍保存されることがあります。栗から水が出ていて色や味が良くない場合は、冷凍方法が正しくなかったか、解凍の際に食味が失われてしまったという理由が考えられます。色や味は気になるかもしれませんが、加熱して食べれば問題ないでしょう。
茹でた後の保存について
カビの部分を取れば食べても大丈夫、と思う方もいるかもしれません。ですが、有害なカビもあるため注意してください。栗は冷蔵・冷凍保存できますが、長く放置しておくと腐敗も進みます。出来るだけ早めに食べるようにしましょう。
栗の選び方や保存方法、調理のコツなどについて説明しました。調理に少し手間のかかる栗ですが、鮮度の良いものを選び、適切に保存・調理することで、栗ならではの甘みや食感を楽しむことができます。
皮むきが大変なイメージがあるという方も、ここで紹介した内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)
※この記事は、農林水産省のデータをもとに構成されたもので2018年11月現在の情報となります。