狩猟マンガで野生動物を学ぼう! 「マタギ」の矢口高雄が描く「羆風、爪王」

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狩猟マンガで野生動物を学ぼう! 「マタギ」の矢口高雄が描く「羆風、爪王」

連載企画:ジビエ入門

狩猟マンガで野生動物を学ぼう! 「マタギ」の矢口高雄が描く「羆風、爪王」

最終更新日:2018年12月11日

マンガ家・矢口高雄さんの「マタギ」が異例のベストセラーとなり、復刻版シリーズの第2弾・第3弾として「野性伝説 羆風(ひぐまかぜ)」と「野性伝説 爪王(つめおう)」が発刊されました。狩猟マンガは私たちに野生動物の習性を教えてくれます。人と獣の距離が近くなってしまった今、過去の名作から動物について学び直す重要性が高まっています。迫力あふれる2作品を一緒に見ていきましょう。

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死者6人を出した史上最悪の獣害

狩猟マンガ
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(c)山と溪谷社

「野性伝説 羆風(ひぐまかぜ)」

今から100年ほど前の1915(大正4)年、北海道・苫前村(とままえむら)で起こった「三毛別羆(さんけべつひぐま)事件」をご存じでしょうか。クマによる獣害では日本史上最悪の被害者数を出し、死者6人(うち1人が妊婦であったため、胎児を含めると7人)、負傷者3人となりました。この事件を動物文学の第一人者である戸川幸夫さんが綿密に取材し小説化。それを矢口さんがマンガ化したものが文庫本で復刻されました。

作中で描かれるのは、人間とヒグマが繰り広げる壮絶な闘いです。矢口さんが表現する“ヒグマの心の声”、“ヒグマから見た自然界のルール”に、誰しもがクマの生態を見せつけられるでしょう。

事件が起きたのは12月。「野性伝説 羆風」に登場する「袈裟掛け羆(けさがけひぐま)」は、冬眠しそこねた「穴持たず」の巨大なヒグマでした。「穴持たず」のヒグマは、冬の間もエサを探し続けるのです。

ヒグマは自分のなわばりの食物は自分のものだと思っています。そこに開拓民が侵入するとどうなるのか……。被害のはじまりは、開拓民が軒下に干したトウモロコシでした。一度トウモロコシを食い荒らしたヒグマはそのおいしさに味を占め、またトウモロコシを食べようと何度も民家に来てしまいます。そして、家のなかで過ごしていた女性や子供が犠牲となりました。

事件がこれほどの大惨事に発展したのは、人為的な原因が重なったからではないか、猟師の対応や足跡の追跡なども不十分だったのではないか、という見方が強いようです。二度とこのような事件を起こさないためにも、多くの人に読んでほしい一冊です。

野性伝説 羆風・飴色角と三本指
著者:戸川 幸夫(作)、矢口 高雄(画) 
発行:山と溪谷社

鷹匠(たかじょう)を通して知る野生動物の行動

狩猟マンガ
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(c)山と溪谷社

「野性伝説 爪王(つめおう)」

「野性伝説 爪王」も作家・戸川幸夫さんの小説を矢口さんがマンガ化した作品です。小説は、実在した山形県の鷹匠がモデルになっています。

鷹匠とは、タカを扱って動物を狩る人のことを言います。タカを飼い、訓練し、ウサギや鳥などをタカにとらえさせるのです。猛禽(もうきん)類を使った“鷹狩り”は世界中で行われてきました。鉄砲が誕生する以前の時代から食肉を得るための手段として、また貴族や将軍の娯楽としても好まれてきたそうです。

作品の序盤で、主人公の鷹匠が野生のタカを捕まえ、慣らす場面には心を打たれます。鋭いタカの爪が腕に食い込んでもなお、信頼関係を築くためにタカと正面から向き合うのです。

鷹匠の目線を通した野生動物たちの有りようは、私たちにとっても勉強になることばかりです。山ウサギは雪と同化するために冬は毛色が白くなり見つけにくくなりますが、わずかに黒ずんだ耳の先端を探すこと。雨が降ると巣穴からはい出す習性のあるタヌキは雨の日に狩ること。腕の良い鷹匠ほど知識に秀でているのかもしれません。

ある日、鷹匠は村長からキツネ退治を頼まれます。家畜のニワトリなどをズル賢いキツネに荒らされ、鉄砲撃ちでも仕留めることができず、村人たちは困っていました。鷹匠は一度は闘いに敗れ、タカは大きな傷を負います。何度も訓練を重ねて再びキツネに臨む鷹匠とタカ……。果たしてキツネを仕留めることができたのでしょうか? 鷹匠とタカの絆に胸が熱くなる名作品です。

野性伝説 爪王/北へ帰る
著者:戸川 幸夫(作)、矢口 高雄(画)
発行:山と溪谷社

最後に ~獣の性質を知ろう~

農家さんが鳥獣対策を行う際には、対象となる動物の習性を知る必要があります。動物たちのエサに対する執着心を軽く見てはいけません。好物があれば獣は寄ってきてしまいます。畑に野菜クズを放置すると狙われてしまうかもしれません。「野性伝説 羆風」を読めば、トウモロコシがヒグマをおびき寄せてしまったと気付くでしょう。

ところで「クマに遭ったら死んだふりをする」というのは迷信です。危険ですから絶対にやめてください。マンガや本を読み、しっかりと野生動物について学びましょう!

 
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