メロンの基本栽培方法
メロンは温度管理とともに水分管理も必要で、難易度の高い作物の1つです。メロンの栽培は、日当たり・通気性・排水の良さがカギ。成長段階によって必要な水分量が異なり、温度管理も必要なため、天候の影響を緩和するようにマルチやキャップ、トンネルを利用するといいでしょう。ホットキャップは雨水除けにもなります。
種は育苗箱に種をまき、発芽までは地温28~30℃で管理します。発芽後は徐々に温度を下げて、鉢上げ前には22℃程度にしましょう。
子葉が出てきたら、ポット(9~12cm)に鉢上げします。鉢上げ直後は地温を25℃に維持して根付きを促進し、本葉が出てきた後は18℃で管理します。
定植は本葉が3~4枚ごろ(約30~35日)に行います。植え替え時期が遅れないように注意しましょう。育苗に使用する土は、市販の園芸用培土が病害対策の点でお勧めです。
<定植>
定植を成功させるために、植え替え1~2週間前には肥料を施しておきます。メロンの根は湿度に弱いので、15cmくらいの高畝を作り、黒いポリマルチを設置しましょう。ポリマルチは土が適度に湿っている状態(手で軽く土を握ると固まる程度)で張りましょう。地温を上げ、雑草を防止する効果があります。
定植はよく晴れた日の午前中に行うとよいでしょう。定植するときは、メロンの株間を60~80cmほど空け、株それぞれにホットキャップをかけます。ホットキャップから、つる先が出てくるようになったら、キャップは取ってください。ホットキャップはホームセンターなどで入手できます。
種から育てずに、苗を買って定植してもいいでしょう。
<仕立て>
定植後に新しい葉がつき、親づるの本葉5枚が開いたら摘芯します。摘心とは茎から出てきた新しい芽を摘む作業です。子づる(側枝)は、4~5本出てきた段階で、元気なもの2本を残して他は取り除きます。子づるは、一定方向に伸ばし、20枚ほど葉がついた段階で摘芯し、子づるの7枚目の葉までについた孫づるもすべて除去します。小づるの8~11枚目の葉の間に出た孫づるを着果枝(実を付けさせる枝)にします。着果枝は葉2枚目で摘芯しましょう。
<交配>
メロンには雌花と雄花があります。雌花は側枝の第1節目に、雄花は主に主枝につきます。確実に着果させるために、人工交配をしましょう。
交配は曇雨天の日を避け、最低夜温は15℃以上を確保します。朝8~9時の間に、当日開花した雄花から雄しべを取って、雌花の雌しべにつけます。天気が悪い日が続くと花粉が出ていないこともあります。雄しべからきちんと花粉が出ていることを確認しましょう。人工交配した後24時間は最低気温20℃以上を保つのが理想的です。
<結実と摘果>
6個ほど結実させ、そのうち形がきれいな楕円形のもの4個を残して摘果します。1苗で4個のメロンを収穫することを目指しましょう。受粉後7~10日ごろ、タマゴサイズの頃に余分な実を摘んでしまいます(摘果)。この時、残っている花弁も取り除きましょう。
<収穫>
収穫に適した時期は品種などによって異なりますが、実がついている節の葉が枯れ始めます。完熟に近づくと葉全体が黄色くなります。マクワ型メロンは、開花して40日ほど経ち、香りが出始めた頃が収穫時期です。温室メロンやネット系メロンは、開花後55日前後が収穫適期です。
プリンスメロンは、おしりの部分の硬さが無くなり、香りが強くなる頃が食べごろです。ネット系のアンデスメロンなどは、おしりの部分がやわらかくなってきたら食べごろです。また、ネットメロンは、収穫した後に1週間前後の期間を置くと、追熟して食べごろになります。
メロンの栽培時期はいつ?
露地栽培を行う場合、暖地では3~4月がまき時で、定植は、ノーネット系は4月中、ネット系は4月中旬から5月上旬です。直まき、または定植するには、最低気温14℃、に加えて最低地温16℃以上が好ましいです。定植後は、昼間は25~28℃、夜間は18~20℃がメロンの生育に適した温度です。
栽培時期を変えれば、冷涼な北海道でも暖地に入る鹿児島や沖縄でもメロン栽培は可能です。暖地では、気温に合わせて中間地よりも前倒しで栽培をすること、また暑さに強い品種を選ぶとよいでしょう。
メロン栽培に必要な肥料と追肥の方法
定植1か月前に1平方メートル当たり堆肥200gを施しておきます。また、地面は良く耕しておきましょう。定植2週間前に、窒素成分で15g、リン酸20g、カリ15gを施し、改めてよく耕します。元肥が多いと葉は良くできますが、病害虫の発生も増え、果実の質は落ちるので、あげすぎは控えます。
畑で栽培する場合、追肥は必要ありませんが、プランター栽培の場合、結実10日目ごろに、1株に対して軽く1握りの肥料を、株の周辺にまきます。それ以降は生育状況を見ながら追肥を行いますが、交配後20日以降は糖度を上げるため、追肥を控えてください。
水やりのタイミング、水やりの量と糖度の関係は?
成長段階によって必要な水分量は変わります。実を大きくしたい時は水を多くやり、収穫間近になると水をやる量を減らして糖分を上げます。
メロンは排水をよくしないと弱ってしまいますので、気を付けて水をやりましょう。水やりはできるだけ午前中に行います。定植してから十分に根付くまでは十分に、根付いたら乾燥しすぎない程度に水をやります。そうすることで、実がなり、根が深く張るように促します。
実ができた(着果した)ら、10日目までは多めに水をやって実を大きくし、着果後11~18日ごろまでは水をやる量を控えます。それが過ぎたら再度水を多めにやりますが、着果後30日ごろを過ぎたら徐々に水をやる量を減らしましょう。
メロンはプランターでも栽培できる?
家庭用の栽培品種を選べば、栽培は可能です。
20リットル以上の鉢に苗は1本にして、日当たりの良いところで育てます。防風・雨除けのために覆いをかぶせますが、排水・通気性の良さも確保できるように注意します。
プランターの底にゴロ土を入れると排水がよくなります。土も、近年はプランター専用の土が売られていますので、それを利用するとよいでしょう。また、苗が育ってきたら支柱を立てて、つるを誘引します。結実は1苗1~2個ほどを目安にするのがお勧めです。
【取材・写真協力】茨城県農業総合センター/水野浩
【監修】農研機構 野菜花き研究部門 杉山充啓