メロンの地這(じばい)栽培
アールス系を除いて、メロンは地這いで栽培するのが一般的です。手を掛けてやった分だけ、ネットが美しく甘くておいしいメロンが収穫できますので、ポイントを絞って栽培方法を解説します。
畑の準備
メロンの茎葉は、雨にうたれたり、畑の土がついたりすると、病気にかかりやすくなります。マルチを敷いて、トンネルなどで雨よけをしましょう。
整枝
子づる2本を伸ばし、孫づるの1節目に実をつけ、1株4果の収穫を目指して枝を仕立てます。整枝は、取り除く枝が伸びすぎる前に行うのがポイントです。親づるを摘芯後、子づるはそろった2本を残してほかを取り除きます。この2本を伸ばしながら、10節までの孫づるを早めに取り除きます。次に、11〜15節の孫づるは2葉を残して摘芯し、交配に備え、子づるは25節で摘芯します。16節以降の孫づるは先端に近い3本を残して取り除き、整枝は完了です。
着果後の管理
交配後、雌花の子房部分が鶏卵大に膨らんできたら摘果を行いましょう。1株当たり4個になるよう、余分な果実を孫づるごと落とすことで、肥大や品質が向上します。その際、やや縦長で形のきれいなものを残すのがポイントです。摘果後は株を健康に保つべく、かん水や病害の防除に専念します。ただし、果実の表面がひび割れ始めてから、ネットが全体にまわるまでは、しおれない程度にかん水を控えましょう。過剰な水は粗いネットの原因となるためです。6月中の交配だと、交配後53日ほどで収穫期を迎えます。
メロンの収穫
交配後15日目ごろ、果実がひび割れする前にメロンマットを敷いて「玉直し」をします(下図参照)。これによりネットの均一な発生が促進されます。
収穫期は品種や作型によって異なります(開花後50~60日程度)。必ず試し割りをして、糖度の上昇を確認するだけでなく、肉質も考慮したうえで適熟果収穫に努めましょう。
マクワの栽培
メロンに準じますが、茎葉が丈夫でネットの発生もないため、栽培のハードルはぐっと下がります。放任でも栽培できますが、管理することで増収と品質向上が望めます。1株から10〜15果の収穫を目指します。
整枝のポイント
定植後、親づるが元気に伸び始めるまでは、ホットキャップなどで保護しますが、その後の雨よけは通常不要です。子づる3〜4本仕立てとし、4節までは孫づるをかき、10節で摘芯します。各孫づるは4〜5節で摘芯し孫づるに咲く雌花に交配します。子づる1本当たり、そろって着果した3〜4果になるよう摘果しましょう。交配後、35〜40日が収穫の目安です。
よくある失敗Q&A
Q. ネットが出ないのですが、どうすればいいでしょうか。
A. 一般的に、着果後10~12日後から果実は硬化期に入り、ネット形成が始まります。その際、高温多湿すぎるとネットは出にくくなります。もしも、着果促進のためにトンネルを閉めていたなら、開けて換気を促しましょう。
ブリーダーのおすすめ! 春種ワークショップ
直売所これが定番品
「レノン」は食べられる果肉部分が厚いため、お客さんに喜ばれる定番品種です。ぜひ、カットした果実を店頭に並べてアピールしてみてください。ひと目でほかとの違いが分かるので、リピーターの獲得も望めます。また、店もち性にもすぐれています。
栽培面では、つる伸びと果実の肥大がよいため、早まきにも対応できます。やや強勢でも、着果しやすく、非常に栽培しやすい点も定番たるゆえんです。
売上アップはこの品種
定番のネットメロンやマクワウリに加えて、少し変わったミニメロンはいかがでしょうか?
「かわい~ナ」は、小さくても、メロン特有のよい香りをしっかりともつミニメロンです。例えば、半分に切って種子部をくりぬいたところに、アイスクリームを詰めるなど、食べ方を新規提案することで、お客さんの購買意欲も高まるでしょう。
250~300グラムのかわいい果実が、あまり手をかけずにどんどんなるので、空いた時間や畑を使って栽培し、売り上げアップをねらいましょう。
「レノン」の長期出荷を目指す
肉厚で市場性の高い「レノン」をより長く店頭に並べたいと考えている方に提案です。「レノンハート」は低温肥大性にすぐれ、「レノン」よりもさらに早まきが可能になります。
そして、「レノンウエーブ」は耐暑性にすぐれるため、遅い作型におすすめです。
両品種とも、えそ斑点病の耐病性がプラスされたことで、ス入りのリスクが減り、より安心して栽培、出荷できるようになりました。
執筆:タキイ研究農場 岡田 淳(おかだ・じゅん)
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