播種・育苗
中間地の露地栽培では、4月下旬に12センチポットに播種(はしゅ)し、発芽適温の25℃を維持できる育苗保温器で発芽させます。発芽したら地温と気温を徐々に下げ、かん水を控えめにして節間の短い苗を目指します。
畑の準備・定植
元肥として、10平方メートル当たり成分量で窒素100グラム、リン酸180グラム、カリ100グラム分の肥料と、10平方メートル当たり苦土石灰1キロ、堆肥(たいひ)20キロをよく混ぜこみ畝を作ります。本葉が3枚展開したころに株間70センチで定植し、しおれないようこまめにかん水します。
摘芯・整枝
本葉4~5枚を残して摘芯し、伸びてきた側芽を2本残して子づる2本仕立てにします。着果節は株元より10節前後とし、そこまでの側芽は除去します。
追肥
果実がこぶし大になったら10平方メートル当たり窒素30グラムの追肥と、うどんこ病の薬剤防除を実施します。
収穫
受粉後45日が収穫適期で、果梗(かこう)部のひび割れのコルク化が、縦方向だけでなく横方向にも進んだ状態を目安とします。収穫後、1週間を目安に風通しがよく直射日光や雨の当たらない場所で風乾することで、でんぷんの糖化が進み食べごろとなります。風乾後の貯蔵は、涼しく湿気のたまらない場所が最適です。
露地抑制栽培
夏に播種して冬至のころに出荷できる露地抑制栽培もおすすめです。
播種
中間地なら7月下旬に播種し、11~12月上旬に収穫する作型です。初霜が栽培制限要因となるので、平年値から初霜日を推定し、そこから少なくとも3カ月半さかのぼった日に播種します。初期生育が旺盛になりすぎないよう元肥は施しません。7月下旬にタネを一晩吸水させて株間40センチで直播し、地表面が乾かないようこまめにかん水します。
その後の管理
親づる1本仕立てにし、15節以降に着生してくる雌花に受粉させ、確実に着果させます。草勢を落ち着かせるため、果実がこぶし大になるまで側芽を除去し続け、果実肥大を促進します。果実の成熟は気温が低いとゆっくり進むので、受粉後60日経ってから収穫します。
高品質な果実を収穫するには
果実は収穫間際まで、でんぷんなどの内容物が蓄積し続けます。収穫までうどんこ病の防除を徹底すると共に、草勢を維持し葉を枯らさないことが高品質生産のカギです。
追肥を遅らせず確実に行い、場合によっては葉面散布や液肥で栄養補給し、草勢の低下を食い止めます。また、「ラッキーソルゴー」などの緑肥を利用した、有機質の豊富な土づくりも草勢維持に有効です。
栽培Q&A
Q. 収穫後、なるべく長く貯蔵するには?
A. 4つのポイントがあります。
- 葉を収穫日までもたせて、果実の日焼けを防ぐ。
- 果実表面が乾いている晴れの日に収穫する。
- 風乾を確実に行う。
- 10℃程度の気温で湿気がこもらない場所で保管する。
タキイで現在発売されている品種のなかでは、「夢味(ゆめみ)」が最も貯蔵性にすぐれます。
ブリーダーのおすすめ! 春種ワークショップ
直売所これが定番品種
甘みが強く、うまみ成分も多くておいしい「えびす」の能力を引き出して、リピーターを獲得しましょう。
「えびす」を作るPOINT
ポイントはズバリ3つ。1. 追肥、2. 適期収穫、3. 風乾(キュアリング)です。追肥をすると、着果後の果実肥大がよくなるばかりか、草勢が維持されて果実の食味もよくなります。着果して果実がこぶし大となるタイミングで、1株にひと握りほど(窒素成分で10平方メートル当たり30グラムが目安)の速効性肥料を、つるが伸びてきている地面に散布するとよいでしょう。収穫は、果梗部のひび割れが縦だけでなく横方向にも入る、交配後45日経ってから行います。
さらに、「えびす」本来の甘みを引き出すため、収穫後、1週間から10日ほど風乾します。
売上アップはこの品種
食べきりサイズのミニカボチャは直売所で人気ですが、ミニながら大玉種並に収量が上がる「ほっこり姫」はいかがでしょうか。肉厚で食べ応えがあり、濃厚な味わいも楽しめます。
「ほっこり姫」を作るPOINT
1. 元肥の窒素量を10平方メートル当たり80~100グラム程度に抑えること
2. 6節目以降の雌花には手交配して確実に連続着果させること
3. 1番果がピンポン玉大の時に必ず窒素成分で10平方メートル当たり30グラムの追肥をすること
夏に涼しくそうめんカボチャ
ゆでると果実がそうめん状になるそうめんカボチャ「金糸瓜(きんしうり)」。三杯酢などにつけてさっぱりとした食感を楽しむ。食感が生きる「きんぴら」にもおすすめです。
「金糸瓜」を作るPOINT
栽培は容易ですが、
- 果実が卵大の時に追肥をすること(窒素成分で10平方メートル当たり30グラム)
- 一般的なカボチャと種類が異なるので、手交配する時は「金糸瓜」の花粉を用いること
- 収穫は交配1カ月以降、果皮色が黄色になってから行うこと
がポイントです。
執筆:タキイ長野研究農場 阪口敬太郎(さかぐち・けいたろう)
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