四国地方の特徴は？
山々が連なる四国山地
四国地方の気候は一年を通して比較的暖かい点が特徴。高く険しい山々が連なる四国山地が中央を横断し、その北側を瀬戸内側、南側を太平洋側と分けることができます。瀬戸内側は降水量が少なく、太平洋側は台風の通り道となりやすいことなどから年間降水量が多いのが特徴です。
瀬戸内側では水稲や柑橘（かんきつ）類、露地野菜などが多く栽培されており、太平洋側では水稲の早期栽培や施設野菜の栽培などが盛んです。大消費地となる京阪神が近いという好条件の立地に加え、近畿や中国地方につながる橋や高速道路網のおかげで、国内の食糧供給の大きな支えとなっています。
香川県、愛媛県の農業は？
愛媛県の段々畑
では、各県の状況を見ていきましょう。降水量が少なく川も少ない香川県では、古くから水不足に悩まされてきた歴史があり、多くのため池を作って農業用水などに利用してきました。このような工夫によって香川県では稲作が発達。粒ぞろいが良く、米本来の食感が楽しめる県のオリジナル米「おいでまい」も誕生しています。また、全国都道府県のうち最も面積の小さい香川県ですが、温暖な気候を生かしてさまざまな野菜の生産も盛ん。中でも、レタスの産地として知られており、冬レタスの収穫量は約1万1500トンを超え、全国でも上位。少ない農薬で生産した「らりるれレタス」やミネラル成分を多く含む「ミネラルレタス」などのブランド作物を手掛けています。
愛媛県は、年間を通して温暖で晴れの日が多い気候や、栄養分が多く水はけがよい土壌などの条件から、ミカンなど柑橘類の栽培に適した地です。海岸線に沿った傾斜地には、石垣に覆われた段々畑が広がっています。愛媛県のミカンの収穫量は、和歌山県に次いで全国2位。ミカンの他にも、伊予柑（いよかん）、デコポンの名で知られる不知火（しらぬい）など、さまざまな柑橘類を生産しています。また、キウイフルーツの収穫量は全国の20％以上を占め日本一。県内全域で栽培されていますが、西条市、伊予市、大洲市、砥部町などが主な産地です。
徳島県、高知県はどんな農業？
高知県の名産品「土佐文旦」
徳島県では、温暖な気候を生かし、吉野川沿いの平野でサツマイモの生産が行われています。中でも有名なブランド「なると金時」は、鳴門市、北島町、松茂町、徳島市などの北東部が主産地となっています。水はけがよく、海水のミネラルをたっぷりと含んだ砂地で栽培されたなると金時は、上品な甘さが人気。また、秋の味覚を彩るスダチの生産地としても有名で、その収穫量は日本一（2015年調べ）。果汁を使ったお酒「すだち酎」などの加工食品の出荷にも力を入れています。一方、花きでは洋ラン類やチューリップなどの栽培が盛んです。
高知県は太平洋の沖合を流れる暖流「黒潮」の影響で、年間を通じて温かい気候のため、気温が低くなる冬から春の間も、ハウスでナスやキュウリなどの夏野菜を育てる“促成栽培”に取り組むことができます。ほかにも施設栽培のニラやミョウガ、露地栽培のショウガなどでも全国有数の産地です。水稲の作付面積は減少傾向ですが、気候を生かした早期栽培の割合は増えてきています。また、柑橘類の生産も盛んで「土佐文旦（ブンタン）」は特産品として有名。文旦は江戸時代ごろに日本に入ってきた果物で、高知県ではミカンに代わって栽培できる果樹として昭和50年代以降に増えていきました。グレープフルーツに似た見た目と、上品な甘さが特徴です。
四国地方は、暖かな気候を生かしてさまざまなブランド農作物の栽培に取り組んでいます。食後のデザートに出てくる柑橘類や、寒い時期に食べるナスはもしかしたら四国産かもしれませんね。
※ 収穫量はいずれも2017年、農林水産省調べ。
参考
地域の農業：中国四国農政局
レタス：讃岐の食（香川県）
愛媛みかんのはなし（PDF）：愛媛県
徳島県の農業：農の宝島!!とくしま（徳島県）
高知県農林水産業の概要：中国四国農政局
