原産地を知って覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】

マイナビ農業TOP > 就農 > 原産地を知って覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】

就農

原産地を知って覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】

連載企画:畑は小さな大自然

原産地を知って覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】

最終更新日:2019年02月07日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。僕は野菜づくりにとって一番大切なことは、「その野菜が育ちやすい環境を整えること」だと思っています。今私たちが食べている野菜の9割は日本を原産とするものではなく、海外から伝わって来たもの。その原産地や来歴などを知ることで、どんな環境を好むのか、その環境を整えるためにどういった手入れが必要になるかがわかり、手入れも楽になります。今回は家庭菜園でも作りやすいものの、病気などのトラブルになることも多いジャガイモについてご紹介します。

  • twitter
  • facebook
  • LINE

ジャガイモはどこからやってきた?

マチュピチュ遺跡(ペルー)の段々畑。斜面でも効率よく作物が栽培できるように工夫していた

ジャガイモの原産地はアンデス山脈の標高が高い地域で、現在のペルー南部だと言われています。1532年にスペイン人がインカ帝国を征服し、紀元前から長く続いたアンデス文明は幕を閉じます。それまでアンデス文明を支えていた主食がジャガイモでした。
アンデス文明の主食はトウモロコシというイメージを持つ方も多いようですが、実際はジャガイモが主流だったようです。
この地域では、雨量の少ない平野部よりも吹き上げる海風によって雨雲が発生しやすい高原地帯の方で文明が栄えました。ただし農耕に適していたとは言っても、乾季には土が極度に乾燥し、雨季にも傾斜地では土や栄養分が流れ出てしまう、そして極度の酸性土壌ということもあり、肥沃な土地とは言えなかったようです。

インカ帝国の首都であるクスコは標高3500mで、年間平均気温は12度前後。とにかく標高が高くて気温が低い地域でもよく育つジャガイモが重宝されていました。急勾配の土地に段々畑を作り、標高の低い地域ではトウモロコシやトマト、トウガラシなど、標高の高い地域ではジャガイモを中心に作られていたようです。

◆ジャガイモの原産地の特徴
①涼しい(年間平均気温12度前後)
②酸性土壌の痩せ地
③水はけが良く乾燥した土壌

生まれ育った環境から考える育て方のポイント

ジャガイモの生まれ育った環境をいかに自分の畑で再現するか。それを考えるとイメージしやすく育て方の大きなヒントになります。原産地の特徴からジャガイモ栽培のポイントを抑えていきましょう。

ジャガイモは涼しい方が好き

そーやんの住む鹿児島では2月下旬から植え付けが始まる。秋も9月から栽培可能(表は筆者作成)

年間平均気温が12度前後で、20度を超えることがほとんどないと言われるアンデス高地の環境を日本で再現するためには、必然的に栽培時期は春か秋になります。
一般的にジャガイモの生育適温は10度〜25度と言われています。これは日本の温暖な気候で育ちやすいように品種改良されて来た結果でもあります。
最近では夏の気温が特に高くなっていますので、注意が必要です。春作の場合は収穫時期である梅雨(6~7月)、秋作の場合は植え付けの時期(9月ごろ)に腐敗や病害虫の発生リスクが高まります。

酸性土壌を好み、少肥で本来の力を発揮する

ジャガイモの原産地では酸性土壌が多いということからもわかるように、中性やアルカリの土壌を好みません。具体的にはpH5.5〜6.0の弱酸性が良いとされています。
元々生まれ育った環境は痩せ地ということもあり、肥料分の少ない土地の方が本来の生命力を発揮しやすく丈夫な株が育ちます。肥料が多すぎるとかえって葉ばかりが大きくなり、イモは小さくなる”つるぼけ”を起こします。栄養が過剰な状態ですと、危機感(ストレス)を感じないため生物として子孫を残そうという働きが弱まるのです。
またこの状態ですと軟弱な株になりやすく、抵抗力が弱まるため病気にもかかりやすくなります。ですから、ジャガイモを植える際は即効性のある肥料をたくさんやるのではなく、ベースとなる地力そのものを上げる土づくりをしていきましょう。
少肥だと栄養分を探し求めるために、より時間をかけて遠くまで根を伸ばそうとします。そのため通常より茎や葉が成長するのに時間がかかるのですが、ジャガイモが本来持っているやせ地でも育つ生命力を発揮して、病気にかかりにくい丈夫な株が育ちます。

少ない肥料で育てるコツとして、種イモは通常よりも少し大きめで、できるだけ切らずに植えるのがオススメです。ジャガイモは初期生育の時に土の中の数少ない栄養素を求めて根を広げていきます。肥料の少ない状態だと、その間はほとんど種イモの中の養分だけで成長するため、種芋が小さいと根を広げきれないのです。通常は種イモを切ったりして40~60gの大きさにして植えることが多いですが、80~120gほどの大きさで植えましょう。

【参考記事】
肥料が不要に!? 地力を高める3つのポイント【畑は小さな大自然vol.5】
初心者でも簡単!雑草堆肥で土づくり【畑は小さな大自然vol.8】

水はけがよく乾燥した土壌を好む

ジャガイモはそうか病やセンチュウなどの土壌病害になりやすい

ジャガイモの原産地は斜面が多く、土質的にも乾燥した土壌が多い環境だったようです。そんな環境で生まれ育ったジャガイモは、日本の雨が多く水分が多くなりやすい土壌環境が苦手です。さらに気温も高いため土壌病害虫が発生しやすく、何らかの対策が必要になってきます。特に以下の3点を意識した畑づくりを行いましょう。

①水が溜まらないようにする
水はけの良い畑であれば、特に必要ありませんが、雨が降った後に水が溜まるような畑では注意が必要です。少し畝を高めにしたり、周囲に水が流れる溝を掘るなどして対策をしましょう。

②野菜の組み合わせで土壌病害を防ぐ

キク科のマリーゴールドやレタスをジャガイモの前に植えることで、センチュウ対策を行う

野菜の組み合わせによってはジャガイモが土壌病害虫に犯されるリスクを低くすることができます。具体的にはヒガンバナ科の野菜であるネギやニラには土壌病害の原因菌を殺菌する効果があると言われていて、一緒に植えることでジャガイモの病気が発生しにくくなります。
ジャガイモを植えた後の畑にネギを植えることで、連作障害が出にくくなるとも言われています。またキク科の植物である春菊やマリーゴールドはセンチュウ対策になりますので、ジャガイモを植える予定の畑であらかじめキク科の野菜や花を植えておくという方法もオススメです。

③未熟な堆肥などを土の中に入れない
発酵しきっていない堆肥や野菜クズ、雑草などを土の中に入れると、病気の原因となる雑菌が増えやすくなります。水分が多かったり、臭かったり、分解しきっておらず土に近い状態になっていないものなどはジャガイモを作る際に土に入れないようにしましょう。

原産地を知ってイメージしやすく

今回はジャガイモの原産地とそこから見えてくる育て方のポイントをご紹介しました。単純に「ジャガイモは水はけが良い場所がよくて、酸性土壌を好む」というような覚え方をするよりも、生まれ育った環境のイメージが頭にあれば、どんな場所が好きなんだなというのが覚えやすいですし、そのジャガイモも知れて面白いですよね。

今後も定期的にいろんな野菜の原産地とそこから見えてくる野菜の育て方の特徴についてご紹介していきますので楽しみにしていてください。
 
【関連記事はコチラ】
これで失敗しない! プロに教わる、ジャガイモの育て方~大きく育てるコツを紹介します~【前編】
これで失敗しない! プロに教わる、ジャガイモの育て方~大きく育てるコツを紹介します~【後編】
 
過去の記事はコチラ!【畑は小さな大自然】シリーズ

そーやんがアドバイスする【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】シリーズ一覧はコチラ!

関連キーワード

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE

関連記事

タイアップ企画

カテゴリー一覧