千葉県君津市の狩猟ビジネス学校で学ぶ、狩猟を産業化するコツって?

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千葉県君津市の狩猟ビジネス学校で学ぶ、狩猟を産業化するコツって?

千葉県君津市の狩猟ビジネス学校で学ぶ、狩猟を産業化するコツって?
最終更新日:2019年03月14日

野生動物による農作物や森林への被害は、農業や林業に携わる人にとって深刻な問題となっています。房総半島の東京湾側ほぼ中央に位置する千葉県君津市も例外ではなく、さらに野生鳥獣を駆除する捕獲従事者(狩猟者)の減少も懸念されています。そこで市と民間企業がタッグを組み、狩猟の知識や技術、ビジネスについて学べる君津市狩猟ビジネス学校(全12回)を開校した事から、その取り組みについてレポートします!

「君津市狩猟ビジネス学校」が開校! その目的とは?

君津市狩猟ビジネス学校は千葉県・君津駅から車で15分の周南(すなみ)公民館で開催されており、2019年1月の今回が10回目の授業になるそうです。君津市経済部農政課の鳥獣対策係長である岡本忠大(おかもと・ただひろ)さんに、開校の目的を伺いました。

岡本さん。学校の幟(のぼり)には、罠猟を描くマンガ「罠ガール」の主人公が

「これから狩猟を志す方や現在狩猟をしている方が、狩猟をどのようにビジネスにつなげていくのかを学べるように、君津市と猟師工房さんがタッグを組んで2018年4月に開校しました。開校の目的は、イノシシやシカといった野生動物を駆除する捕獲従事者が高齢化している事から、新たな狩猟の担い手を育成する事です」
と岡本さん。どのような人が授業を受けているのでしょうか?

「生徒の内訳ですが、千葉市や船橋市といった県内市町村からの生徒と、東京都や神奈川県から通ってくれている生徒が半々です。捕獲事業をはじめ飲食業、レザー産業といった、狩猟そのものや、狩猟から派生するビジネスに興味を持つ生徒が集まる場で、新しい事業が生まれることに期待しています。地方創生交付金を活用して狩猟ビジネス学校を継続し、狩猟者の育成を続けていきたいですね」

この日は、君津市に移住を考えている生徒の相談にのる、と言う岡本さん。開校の背景を踏まえた上で、早速午前の授業内容をレポートします!

「販売レベルのシカ解体」から学ぶ、プロフェッショナルな解体とは

この日の午前は、「猟師工房」で食肉加工を行う西海敏郎(にしうみ・としろう)さんによる、シカ解体のデモンストレーションでした。半身となった雌ジカを解体する西海さんの手元を、皆食い入るように見つめます。中には解体の一部始終を動画撮影する、熱心な生徒もいました。

販売レベルの解体と、猟師が自家消費する為に行う解体には、どんな違いがあるのでしょうか?という生徒からの質問に、西海さんはこのように答えていました。

「猟師が獲物を捕らえた後で行う解体やイベントでは、肉を骨から切り離した後で参加者全員に肉が行き渡るよう、大ざっぱに等分するやり方を取っています。一方、食肉業に関わるプロフェッショナルの解体では、まず肉から骨を取り外し、次にシンタマやランプ、外モモといった食肉として需要がある部位にブロック分けします。販売用にする為には半身からいかに効率良く多くの食肉をとるかが大事なので、食肉工場の技術を取り入れて、解体技術を更に進化させています」

販売レベルまで奇麗に部位分けされたシカ肉

この日は解体に続いて、部位分けされたシカ肉を用いた調理実習が行われました。料理のメニューは指定されていない為、生徒は「どうやったらおいしく食べられるか?」と、想像力を駆使しながらメニューを決めていきます。「軟らかそうな背ロースはローストにしてみよう」「外モモ肉は焼肉に使ってみたい!」「では、残ったお肉はミンチにしてハンバーグに……」と、飲食業を営む生徒が中心となって鹿ローストや鹿ハンバーグなどを調理し、和気あいあいとした雰囲気のランチタイムとなりました。

解体したシカ肉を用いて調理したジビエ料理

皆で力を合わせてシカを調理した後は、おいしくいただきます!

「狩猟の産業化」にあたって必要となる知識って?

午後からは経営コンサルタントである廣瀬大悟(ひろせ・だいご)さんから「狩猟の産業化」についての授業を受けました。農林水産省による野生鳥獣資源利用実態調査を基に、2016年度の農業被害額が約172億円であったことや、2017年度に全国で駆除されたシカ・イノシシ約113万頭(環境省調べ・速報値)のうち約9.2万頭しか利活用されていないことなど、狩猟にまつわる数字が明らかにされます。

そういった数字を踏まえた上で、生徒には自身が考えている狩猟ビジネスの経営プランを作成してグループで発表し合う時間が与えられました。

こちらの書類を使用して、経営プランを策定します

グループで、経営プランについて熱く語り合います

グループ発表の後、廣瀬さんから狩猟ビジネスの収益構造は大きく二つに分かれている、と説明がありました。一つ目は、他がまねできないくらいに捕獲技術を高め、県や市などの公的機関から野生鳥獣の捕獲を請け負うビジネススタイル。二つ目は、捕獲した野生鳥獣の食肉加工や狩猟関連イベントを開催するといった、資源を利活用するビジネススタイルだそうです。

この二つのうち、これから狩猟ビジネスに参入するのであれば資源を利活用するビジネススタイルが良いのではないか、と廣瀬さん。ビジネスを行う地域での認知度を上げて事業の多角化を行い、その地域の中核となるようなビジネスを目指してほしい、といった言葉で授業が締めくくられました。

君津市狩猟ビジネス学校を見学して感じたコト

君津市狩猟ビジネス学校を見学し、狩猟ビジネスも一般のビジネスと同様、何をさしおいても3C(Customer:市場・顧客/Competitor:競合/Company:自社)分析が大事!と感じました。理由として、狩猟関連の需要がない地域や、反対に競合が多い地域では自社の強みを活用できないからです。また、これから狩猟ビジネスに参入し、事業の多角化を行いたい人は、さまざまな知見を持つ講師に出会える君津市狩猟ビジネス学校で、学んでみると良いかもしれないと思いました。
 

君津市狩猟ビジネス学校:君津市

一般社団法人猟協(事業部「猟師工房」)
 

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