土のリサイクルが必要な理由
2月。春の訪れを目前にして、順次土のリサイクルを行なっています。
適当栽培の分野においてはプロ級を自認しているのですが、いろいろ調べた結果、土のメンテナンスだけはしっかりやっておこうと考えました。その目的は主に次のような3点です。
1、栄養分を補給する
野菜は土に含まれる栄養分を吸収して成長するため、野菜を育てた後の土は含まれる栄養素に偏りがあったり、不足していたりします。例えば、葉物ばかりを育てていた場合は窒素をたくさん使っただろうとか、実物ばかりだとリンが不足しているのではないかと推測できるので、それを補って整えてあげるイメージです。
栽培期間の短い野菜などの場合、そのまま2度目に使用しても普通に育ったりしますが、狭いベランダ空間を最大限活用して野菜を育てようと考えるなら、土の状態も万全にしておきたいところ。特に追肥もいい加減な菜園主にとっては、最初の土の状態は重要です。
2、病原菌などを退治する
一度使った土の中には病気の元になるカビや様々な雑菌、虫の卵などが潜んでいることも。せっかく自分で育てるならできるだけ農薬を使わずに栽培したいので、リスク要因は可能な限り取り除いておきたいものです。
3、水はけ・空気の通りを良くする
使い古しの土は、土の粒子が小さな固まりをつくる“団粒構造”が崩れているなどとよく言われます。要するに、水はけや空気の通りが悪くなってしまうのですが、その状態を改善し野菜が良く育つフカフカの土に戻してあげるといいとされています。
土をリサイクルする方法は?
では、どのように土を再生させるのか。簡単に言うと、①不要なものを取り除いて、②消毒して、③必要な栄養素を補う、という三段階です。ただし、その方法は人によって千差万別。特にどんな栄養素を加えるかはイコール土づくりになるので、こだわる人はとことんこだわる部分です。
例えば、米ぬかや腐葉土、牛フンなどの市販品を加える人もいれば、野菜くずや茶がら、卵の殻など家庭で出る生ゴミからオリジナルの堆肥を自作する人も。
ふうむ、すごい。思わず感心してしまうのですが、内心は空飛ぶクルマを目の当たりにした古代人の気分。完成形に至る道筋がサッパリ分からないのです。どんな栄養素が含まれていて、どんな効果があるのか、ちゃんと理解するには段階を踏んだ勉強が必要。
そんな初心者にとって最も簡単な方法は、市販されている土のリサイクル材を使うことです。実際にやってみました。
“再生”させてみた!
湿った土だと作業しづらいので、リサイクルに先立って少し前から乾燥させておきました。用意したものは、使い古しの土とスコップ、土ふるい、大小のポリ袋、そして園芸シート。「みんなに聞いた『古い土のリサイクル体験談』」(株式会社花ごころ)を参考にして自己流にアレンジしました。
1、不要な根や葉などを取り除く
まず、茎がついたままのものや、大きな根がある場合にはあらかじめ取り除き、土ふるいにかけます。大きなポリ袋の中でふるうと飛び散らず、後の処理も楽になる気がしました。
根っこのかたまりは取り除き、小さな木片のようなものや大きめの粒状の土(赤玉土、鹿沼土など)は土の中に戻します。
2、熱湯や直射日光で消毒する
全体をふるいにかけたら、消毒します。夏場はゴミ袋に入れて日光消毒するだけでいいのですが、冬場は日光だけでは温度が上がり切らないため消毒が不十分だという意見もあるよう。今回はお湯を沸かしてかけてみることにしました。
コーヒーをドリップするように全体にお湯を行き渡らせ、口を縛ってホカホカの状態で一日放置。その後、畑で土を掘り起こして冷気にあてる“寒ざらし”の要領で園芸シートに土を広げ、ときどき土の表面をひっくり返しながら置いておきました。
この期間は1日で済ます人もいれば1ヶ月以上とる人もいるようですが、ベランダに長期間広げておくのは物理的に難しいので、土日に作業する人なら次の土日まで広げておくくらいが現実的かなと思いました。
3、リサイクル材を混ぜる
充分に消毒させたところで、規定の量のリサイクル材を混ぜます。
今回は比べてみるために3種類買い集めてきました。裏面をよく読むと、含まれる栄養素の構成比が違っていたのです。
わかりやすく「チッソ」「リン」「カリウム」の3つの要素に注目すると、一つはチッソの比率が高かったのに対し、一つはカリウムの比率が高い。これまでの栽培経過や今後の栽培予定を鑑みて、どの要素を特に補給したいかによって使い分けることができそうです。これは春以降に使い比べてみたいと思っています。
また、残りの一つはコーヒー豆かすを再利用したものだといい、栄養素の内訳は書かれていませんでしたが、代わりに植物の生育に良い影響を及ぼすとされる「根粒菌」が配合されているとありました。今回はこれを規定に従って15%程度混ぜ込んで作業は終了です。
いつしか“土ふるいハイ”に……
リサイクル材を使ったやり方は、方法としてはとても簡単でした。ただし、土をふるいにかける作業は、やってみるとなかなか大変。ほんの10リットル程度と思っていても、一心不乱にふるい続けるうちにすっかり没入していて、ランナーズハイならぬ“土ふるいハイ”状態に。
陶酔状態に浸りながらも気が付いたのは、「どんな土に改良するか」は「次にどんな野菜をどう育てるか」を考えることなのでした。そう思うと、今年はアレも育てたいしコレも育てたいんだったと、未着手の土の山を前にむくむくとイメージが沸いてきている状態です。
◆これを機に行き当たりバッタリ栽培から見通しを持った栽培にしたい。ということで、次回は栽培計画について。