農家から直接売り場へ。市場の影響を受けず農産物の価格が安定
山間部と都市部の交流拠点として建設された『マロンの里交流館』は、2017年に大規模なリニューアルを行いました。
大きくイメージチェンジしたのが内装。天井や壁に木材をふんだんに使い、木のぬくもりが漂う明るい空間に生まれ変わりました。
そんな館内の目玉施設が、地元でとれた新鮮な農作物の直売所。
冬から春は白菜や大根、キノコやタケノコ、昨年から市を上げて特産化を進めているキクイモ、夏から秋はイチジクや栗、館内で精米したお米など、季節によってさまざまな商品が並びます。
「この直売所の良さは、地元の旬の野菜をいつも安定した価格で提供できること。週に3回、登録農家約150軒の中の20軒くらいを回って野菜を集荷し、店頭に並べています。畑からとってきた野菜がそのまま商品になるから、市場価格の影響を受けない。お客さんに大好評ですよ」と館長の中川晴雄さんは笑顔で話してくれました。
生産者のアイデアが詰まった各種加工食品も人気
直売所で買えるのは、地元の新鮮な食材だけではありません。
一角には、特産のイチジクや栗を使ったジャム、キクイモのお菓子やブレンド茶、農業生産法人『大竹特産ゆめ倶楽部』が開発した『生七味』や『広島かきみそラー油』など、思わず手に取りたくなる加工品が数多く並んでいます。
「6次産業(農業や水産業などの1次産業が食品加工・流通販売まで事業の幅を広げ、産業活性化を図る取り組み)の商品づくりは、大竹市も推進しています。交流館には調理実習室が完備されているので、試作品づくりなどにぜひ活用してもらいたい。近い将来、ここでしか買えないヒット商品が誕生すれば嬉しいです」と中川館長。
また、栗谷町産のお米や野菜を使った料理は、併設の『レストランみくら』で味わうことができます。
このエリアは山間部ならではの名水が自慢。美味しい水で炊いたご飯や、素朴な野菜の天ぷらは絶品です。
「第1土曜日はマロンの里に行こう!」の定着を目指す
『マロンの里交流館』では、月に1回中川館長を中心とした会議を開いています。その名も『マロンの里を元気にする協議会』。JAの職員や生産者など約10人のメンバーが集合し、交流館を拠点とした地域活性化のアイデアを交換。
そして、2018年11月から始めたのが『毎月やります! 〇〇放題』。これは、同年2月から毎月第一土曜日に開催している朝市の時に、協議会のメンバーが地元食材で作った料理をふるまうイベントで、これまでに『ホイル焼き食べ放題』『豚汁飲み放題』『新春! お茶飲み放題』などを実施。食べ&飲み放題だけでなく詰め放題なども企画しています。
朝市は、朝とれたばかりの地元野菜のほか、漁協も参加して新鮮な魚も販売。
『〇〇放題』で朝市がもっと盛り上がり、たくさんの人が毎月第一土曜日をマロンの里で過ごしてくれることを目標にしています。
その他、同館では春と秋に2日間の『マロンの里まつり』も開催。農家や漁協の出店に加えて、神楽やフラダンスのステージ、餅まきなどが催され、地域に根付いた恒例イベントとして多くの来館者で賑わいます。
農業の活性化を栗谷町全体の活性化につなげたい
日本の農業従事者は高齢化が進んでおり、栗谷町も例外ではありません。
しかし、「この町の農家の方はみんな元気ですよ。まだまだやる気がみなぎっています」と中川館長は話します。だからこそ、「もっと生産者をサポートしていきたい」というのが館長の思い。例えば、出荷分以外に野菜の余剰が出た場合は、無駄にせず給食センターに納入できることを助言したり、新たに農作物や商品を置きたい人に対しては、窓口となって親身に相談に応じたりしています。
つい先日も「手作り味噌を販売してほしい」という依頼があって、さっそく直売コーナーに並べたばかりだそう。
農業の活性化を通して栗谷町全体に元気を呼び込めるように、その中心施設として『マロンの里交流館』が上手に機能するよう、中川館長と協議会メンバーは今後も多様なアプローチを続けていきます。
◆マロンの里交流館ホームページ
所在地:739-0646 広島県大竹市栗谷町大栗林195-12
TEL:0827-55-0055
FAX:0827-55-0056
◆大竹市のホームページ