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静岡のイチゴ狩り農園に行ってみた!【親子で楽しむ食体験#01】

静岡のイチゴ狩り農園に行ってみた!【親子で楽しむ食体験#01】

子供が生まれて親になると、耳にする機会が多くなる「食育」。私たちが生きる上での基本として、さまざまな経験から食に関する知識を深め、選択する力を高めて、健全な食生活を実現できる人間を育てるという取り組みです。その語源は古く、明治時代にまでさかのぼるといいます。愛されフルーツの代表格イチゴの収穫体験や、農業に触れることで得られる食育の効果とは? 個性的な環境で実る石垣イチゴの栽培方法や魅力を交えながら紹介します。

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ヘレン・ケラーも愛した“生けるルビー”

イチゴ狩り農園

2019年3月2日、静岡県静岡市・久能山(くのうざん)東照宮に近いいちご海岸通り沿いにある「ストロベリーフィールド」(清水区)に親子三世代で行ってきました。

イチゴ狩り農園

この看板が目印

イチゴ狩り農園

イチゴ狩りの受付はこちらで

この久能地域は、駿河湾に面した傾斜面に作物を作るため熱心に研究を重ねた「石垣イチゴ」の発祥地。明治後期、東京から取り寄せて平地に植えていたイチゴのつるが、偶然積んであった石垣の間に入り根を伸ばし結実したことがきっかけともいわれます。初代当主の萩原清作(はぎわら・せいさく)さんは、山や川・海岸から玉石を収集し、妻のさくさんとともに苦労しながら石垣を作って苗を植え、桶に入れた井戸水を日に2~3回担いでまき育てました。

動力ポンプが完成して現在のコンクリート板を導入したのが、1925(大正14)年。以来、作業の軽減と技術の進歩でイチゴの栽培は発展し一大産地に。

イチゴ狩り農園

コンクリート板で作られた石垣

イチゴ狩り農園

切り込み部分に苗を植えて育てます

1937(昭和12)年には、ヘレン・ケラーも来園。みずみずしく熟れたイチゴを「生けるルビーだ。山の頂まで真っ赤に実った5月の太陽がさんさんと降り注いでいる。何という素晴らしい絵なんだろう」と、称えたそう。

イチゴ狩り農園

売店に展示されている農園の歴史を語る資料の数々

現在の4代目当主は、全国に先駆けて創設され昨年50周年を迎えた「静岡県 農業経営士(※)」に認定されている萩原康央(はぎわら・やすひろ)さん。地域農業の振興に努めながら、スタッフと力を合わせて伝統と改新の調和した農業スタイルを構築。広々とした青空と光り輝く大海原を望む、冬でも春のように暖かいビニールハウスで今日も赤い実を育んでいます。

※ 地域農業者の目標像となり、指導的役割を果たしている農業者。静岡県が農業の担い手育成のために認定し、活動支援を行っている。

イチゴ狩り農園

萩原康央さん

イチゴ狩り農園

親子&三世代で楽しむ、収穫体験の魅力

石垣イチゴができるまで

ストロベリーフィールドで石垣イチゴ狩りが楽しめるのは、12月末から5月。それと並行して、2月には次のシーズンに向けて親株となる苗を用意。6~7月にスタッフが「じろうさん」と呼ぶ子苗を育成。じろうさんは、親株からたくさん出てきたランナー(つる)に付く子株のうち親株から数えて2つ目以降の、病気などを受け継ぐ心配の少ない子株です。9~10月には約5万株を手作業で石垣に定植、シーズンが終わると残らず抜き取ります。

イチゴ狩り農園

以前は地方から人材も集まりましたが、今は5~6人の地元スタッフが戦力。毎年、石垣を組み直して肥料をやり、ビニールを掛けて、暑い時期には日に数回の水やりも。その努力に応えるように、11月中頃から赤い大きな実がなるのです。

イチゴ狩り農園

期待の珍品種・よつぼしを実食

育てているのは、静岡県の代表品種で人気が高い「章姫(あきひめ)」など5~6種類。他にも積極的に新種に挑戦しています。

イチゴ狩り農園

今すぐ食べたい! 完熟のよつぼし

この日、私たちが味わったのは2年前から扱っているという「よつぼし」。日本で2番目、実用品種としては初となる「種子繁殖型」のイチゴです。前述のように親株から伸びた“ランナー”で子苗を増やす従来の栽培方法とは違い、種から育てます。これにより、親株の管理が不要なうえに病害虫の親子間伝染が回避できるメリットも。増殖効率も抜群で、優れた種苗を効率よく得ることができるイチゴ産業界のニューフェイスです。

イチゴ狩り農園

実際に食べてみると、大人の手のひらに乗せても驚くほどのビッグサイズなのにしっかり甘いのが印象的。形も香りも良く、中心まで赤くて “甘味・酸味・風味が揃って美味”と、よつぼし級のおいしさが名前の由来になっているのも納得でした。

イチゴ狩り農園

中心まで赤くてしっかり甘い

子供に五感で旬を学ばせる醍醐味

イチゴ狩りと言えば、滞在時間を限って数種類を同時に楽しませる農園もありますが、ここは訪問ごとに1種類を時間無制限で味わうスタイル。お客さんが楽しんだビニールハウスには1週間経ってから次のお客さんを招くなど、その時に最もおいしいイチゴでもてなす姿勢を大切にしています。

イチゴ狩り農園

さんさんと太陽を浴びたイチゴが実るビニールハウスは、入口から甘い香りが……。石垣の遠赤外線効果も、しっかり熟れるための秘策です。そんな豊かな空間を家族だけで貸し切り、旬のフルーツに満たされるなんて、たまらなく贅沢。

イチゴ狩り農園

スーパーマーケットに並ぶパックに入った食べごろもいいけれど、植物図鑑で見たイチゴの花や花托(かたく)・種が色付く様子を間近で見て、触れて、味わえるのは農園ならでは。「先の方が甘いね」とか「実を持ち上げるだけでポロッと取れるよ」など、かけがえのない実体験は幼い息子の記憶にも鮮明に残ったようです。

イチゴ狩り農園

イチゴ狩り農園

石垣イチゴとストロベリーフィールドのこれから

イチゴ狩り農園

店内のミニカフェでは、とれたてイチゴをふんだんに使った「いちごパフェ」(950円)が大人気。

イチゴ狩り農園

他にも、イチゴの直売や手作りジャム・小物などのお土産も販売していますが、やはり一番人気はリピーターが大半を占める「収穫体験」です。

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お菓子から雑貨まで、イチゴ尽くしの売店

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石垣イチゴを使った「手作りイチゴジャム」(300グラム 600円)

「これからも真摯(しんし)に石垣イチゴの栽培に取り組んでいきたい」と、萩原さん。あなたも、駿河湾に面した温暖な気候で育まれた春の味を体験してみませんか?

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ストロベリーフィールド

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