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ベランダ菜園を始める前にチェックしたいこと【脱枯れ専のベランダ畑】

連載企画:脱枯れ専のベランダ畑

ベランダ菜園を始める前にチェックしたいこと【脱枯れ専のベランダ畑】

野菜を自分で育ててみたい。そうは思っても畑を借りるのは少しハードルが高いし、そもそも植物は枯らしてしまうばかりの“枯れ専”だった……。そんな出発点から2人の子持ちライターがベランダ菜園を始めて2年目の春。1年の栽培を経てついに脱・枯れ専を宣言したものの、いまだ“栽培上手”とは言えません。野菜を枯らしたり、うまく実らせたりした経験を振り返ると、野菜が育つ環境を整えることの大事さも実感。新しい1年を始めるにあたり、改めてベランダの環境について考えました。

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ベランダ菜園で確認したいポイントは?

自分で野菜を育ててみたい。それだけなら、何も畑などを借りて通い続けなくても、ベランダに置いたプランターで充分に可能です。

ただし、ベランダでは構造や方角、季節などによって日当たりや風通しなどの条件がかなり変わります。そこで、新しいシーズンを始めるにあたって改めて気になってきたのが我が家のベランダ環境。これからベランダ菜園を始める方は、これを一例にぜひベランダ環境をチェックしてみてください!

日当たり

「方角」……ベストは東から南向き
1年目に最も心を砕いたのは日当たりの確保だったかもしれません。野菜を育てるのにベストな方角は、午前中から日が当たる東から南向き。しかし、西向きや北向きでもできないわけではありません。栽培に時間はかかるかもしれませんが、高さを出すことで日当たりを増やす工夫をしたり、レタスやコマツナ、サトイモなど半日くらいの日当たりでよく育つと言われる野菜を選ぶのもいいかもしれません。

我が家のベランダは南向きなので方角的には良いのですが、難しい点もありました。それは、コンクリート壁があることです。

「手すり」……手すりが格子か壁か
ベランダの手すり部分が格子の場合、下の方まで日が差し込むのですが、厚い壁になっていると、その部分が影になってしまいます。これが見るたびに悔しい。ベランダ菜園の日当たりを重視する人は、格子状かガラスの柵の物件を探すと良いかもしれません。

コンクリート壁は影ができてしまうのが惜しい

高さを出せば日が届くのではないかと考えて試しに台を置いてみました。すると、確かに日が当たるようになのですが、今度はその後ろ部分が影に。日当たりのスペースを広げるためには、うまく階段状に配置する必要があります。ただし、ウチのように小さい子どもがいる場合は、台の設置は慎重に考えなければなりません。

影になっているところに台を置いてみた

「季節」……夏は狭く冬は広い
太陽の高さが変わるため、季節によって日が差す範囲が変わります。我が家の場合、秋から冬にかけての日の低いシーズンはベランダの大部分に日が差していたのですが、これからどんどんその範囲が狭くなっていき、夏の日が高いときには塀の上の一部にのみ強い直射日光が差すようになる。

直射日光が絶対に必要というわけではないものの、出来るだけ日当たりに近いところに置く工夫が必要かもしれません。

7月のベランダ。日が差しているのは塀の上の一部

「時間帯」……午前と午後で日陰になる場所が違う
時間帯によっても日が差す範囲が変わります。南に向いた場合、午前は左斜め方向から日が差すのでベランダの左端が日陰、午後は右斜め方向から日が差すので右端が日陰。正午ごろは太陽が正面に来るものの高い位置になるので、手前の影の部分が広がります。

一日の日当たり状況を観察したところ、春頃は、午前中には床部分の半分以上に日が当たるものの、正午ごろには半分以下にその範囲が狭まり、午後2時過ぎには早くも弱々しい光がぼんやり当たるのみに。

3月下旬の午前10時過ぎ

3月下旬の正午過ぎ

3月下旬の午後2時過ぎ

太陽の動きに合わせてプランターを移動させられれば理想的ですが、1日の間に何度も動かすのは現実的ではありません。自宅で過ごす休日などにマメに日当たりをチェックして、季節ごとに日当たりが最大限続く場所を見極めるといいかも。

風通し

片面が壁(室内部分)になるベランダでは風通しが悪くなりやすいのも難しいところ。日当たりと同様、手すりが壁か格子かによっても変わってきます。

その点でも我が家のベランダの場合、厚い塀の上がベストポジションになるのですが、よく見るとこの塀、内側に向けて少し傾斜がある。ミニトマトなどの高さが出る野菜は転倒の危険性があるので置けません。

厚い塀の上は内側に向かって多少の傾斜がある

また、ある程度の大きさのプランターであれば大丈夫ですが、1リットルくらいの小さい鉢は強風に煽られて手前に落下していたこともありました。

そのほか、エアコンの室外機の前に置くと排気で株が痛んだり、土が乾燥しすぎたりするのでよくないとされています。

ベランダならではの危険性にも注意

避難ハッチ・避難隔壁

これはベランダならではの難点ですが、避難ハッチの上も置けない場所になります。また、避難隔壁がある場合には、避難経路をプランターで塞がないようにしなければなりません。手すりの外側に吊るすのも落下の危険があるのでNG。

避難ハッチと室外機の前はプランターを置けないデッドスペースになる

水漏れ注意

また、ベランダの床は防水対策をきちんとしていない場合があるので、水漏れにも要注意。私は年末の大掃除であまりの汚れ具合に愕然として以来、受け皿を使っていますが、これはこれでプランター下部の土がジメジメしそうなので間に何かを挟むなど工夫が必要かなと考えています。

また、排水溝に枯葉や土が詰まっているのを放置したせいで水漏れトラブルが発生することもあるようなので、プランターから出るゴミはマメに掃除をしておきたいですね。

直置きを避ける

コンクリートに直にプランターを置くのは、床面の熱さや冷たさが直接伝わってしまうのであまりよくないよう。我が家ではウッドパネルを敷いています。
その他に、人工芝なども最近は水はけのよいものがあるようです。

管理規約を読む

これらのことを踏まえ、ベランダ菜園を始めるときには、最初に管理規約には目を通しておいたほうがいいです。一般的にマンションのベランダは「共用部分」。そもそもプランターなどの物を置いていいのか、パネルを敷いていいのかなどはよく読んで確認する必要があります。

窓を開ければそこは畑!

こうして見ると、ベランダ菜園には注意すべきところがたくさんあります。昨年の栽培中には、「畑なら日当たりがいいのに」「畑ならもっと広く使えるのに」などと考えたこともありました。

けれど、制約があるということは工夫のしがいがあるということでもあります。また、ベランダ菜園の場合、窓を開ければそこは畑! 室内から少し覗き込むだけでも野菜の様子を確認でき、毎日の隙間時間に世話ができるというメリットもあります。メリットを生かしつつ、あれこれ工夫してオリジナリティー溢れるベランダ菜園を作るのも楽しみのひとつではないでしょうか。
 

◆次回は、「サカタのタネ」に聞く種の選び方や保管方法。
 

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