ウリハムシってどんな虫?
ウリハムシは体長約6〜8ミリの甲虫で、ウリバエと呼ばれることもありますが、ハエよりはテントウムシに似た姿をしています。成虫の状態で浅い土の中で越冬し、暖かくなってウリ科野菜を定植する3月末~5月ごろに這い出て来て、5月から7月にかけて野菜の根元の土などに卵を産み付けます。新成虫が現れるのは8月ごろですので、5月と8月ごろに数が多くなります。
ウリハムシの成虫はキュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、ズッキーニ、ゴーヤなどのウリ科野菜の葉を好んで食べにきます。幼虫も土の中にいて、野菜の根を食べてしまいますので注意が必要です。
よく見るのは上の写真のようなオレンジ色のタイプですが、羽が黒いクロウリハムシというものもいます。クロウリハムシはウリ科野菜だけでなく、キク科やナデシコ科の花卉類の葉や花なども食べるようです。

クロウリハムシ
ウリハムシの食べ方の特徴

ぐるっと回って傷をつけてから、中を食べる
ウリハムシが食べたあとの葉には円形の穴があちこちに開いていたり、円形の傷がつけられているのが特徴です。たまに葉だけでなく、実の方にこの円形の傷が残っていることもあります。なぜこんな食べ跡になるかというと、ウリハムシは食べる前に、ぐるりと回りながら葉に円形の傷を作り、そのあとにその中を食べるからです。これはトレンチ行動と呼ばれるもので、ウリ科野菜が虫への対策として生成している化学物資を遮断するためではないかと言われています。
ウリハムシの天敵は?
ウリハムシの天敵についての情報は今のところほとんどないようです。本当に天敵がいないのかも知れませんし、まだ誰も見つけていないのかも知れません。
ウリハムシの対策は?

苗を植え付けたばかりの時がウリハムシの被害に遭いやすい
ウリハムシの被害が特に見られるのは、苗がまだ小さい時期です。苗が小さいうちは、葉の面積も小さいため、ウリハムシに食べられた時のダメージも深刻です。まだウリハムシに抵抗する力が弱いこともあるでしょう。
しかしある程度大きく育てることができれば、そのあとは多少食べられても生育に問題にはなりません。目安としては例えばキュウリですと、背丈が60cm以上で、葉や茎が太く、色が黄色っぽくなっていなければ、十分大きく育ったと見て良いでしょう。
小さい苗の時期にしっかり守ってあげることを意識して対策していきます。具体的な対策の方法を紹介していきます。
行灯(あんどん)を設置する

ウリハムシが来ていたので慌てて設置。簡単に入ってこれそうだが、なぜかこれだけしておけば大体被害に遭わない
苗の四方をビニールなどで囲み、横からの虫の侵入を防ぐ方法を農業では「行灯(あんどん)」と呼んでいます。このビニールの高さが40cmほどあれば、上からウリハムシが侵入してくることはほとんどありません。防虫ネットよりも設置や片付けが簡単で、上方向に伸びて邪魔にならないためオススメです。うちの畑ではこれさえしっかり設置しておけば、ほとんどウリハムシの被害に遭うことはありません。
光を反射するもので防ぐ
キラキラと光るものを嫌うと言われているので、銀色のビニールマルチやキラキラしたテープなど張ることで、ウリハムシが近づくのを防ぐことができます。これは光の反射するところを水面と勘違いして入らないようにしているのではないかと考えられます。
コンパニオンプランツを利用する

苗の根元に一緒に小ネギを植えることで、害虫避けになり、病気対策にもなる
ウリハムシはネギ類の匂いを嫌うと言われているため、ネギと混植することで、ウリハムシを近づきにくくすることが期待できます。
試しにネギの葉っぱをちぎってキュウリの近くに置いてみましたが、効果が見られなかったため、生きているネギから発せられる匂い(化学物質)でしか効果がないのかもしれません。
捕殺する
シンプルにウリハムシを捕まえて取り除く方法です。朝夕は動きが鈍いため、手で捕まえられますが、昼間は丸まって転げ落ちて逃げようとするので、虫網やペットボトル等で作った容器の中に落とすように捕まえると効果的です。
予防策が大事
ウリハムシの対策は、とにかく予防が大事です。特にウリ科野菜が小さいうちに行灯やシルバーマルチなどの予防策をしておくだけで、大抵は苗を守ることができますので、忘れずに対策しておきましょう。
監修:鹿児島大学農学部害虫学研究室教授 津田勝男
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