ギシギシってどんな雑草?
ギシギシはタデ科の多年草です。その特徴的な名前の由来は諸説ありますが、茎をこすり合わせるとギシギシという音がすることから名付けられたのではと言われています。
ギシギシは暖かくなるとともにぐんぐん成長し、種類にもよりますが40~120センチほどの背丈になります。5〜8月ごろに花を咲かせ、その後実をつけてたくさんの種を落とします。そのあとは根に栄養分を蓄え、小さな葉をロゼット状(※)に広げた状態で越冬します。
※ロゼット状:茎をほとんど伸ばさす葉を地面にべたっとつけて円盤状に広がる状態。
姿形が似ている雑草でスイバというものがあります。茎が酸っぱく、子供の頃に道端のスイバの茎をかじった覚えがあります。見た目はギシギシと似ていますが、こちらはギシギシよりも背が低く、葉の付け根が矢じりのように尖っているのが特徴です。
ギシギシの驚異の繁殖力
ギシギシは繁殖力が旺盛で、畑の害悪雑草として有名です。まずは種子数が多く、1株あたり1万粒もの種を落とすと言われています。また種子寿命もとても長く、20年以上土壌中に埋まっていても地表に出てくるとまた発芽するという報告もあるようです。その年にギシギシのタネがその畑に落ちないようにしていても、昔落ちたタネが、耕すことで地表に上がってくることでまた発芽するということもあるためとても厄介です。
またギシギシは地上部分を刈り取っても、根の上部が残っているとまたそこから芽を出してきます。トラクターなどで耕すとその根が畑中に広がり、余計にギシギシが増えてしまうということもあるので要注意です。
ギシギシにも天敵がいた!
繁殖力の旺盛なギシギシですが、その天敵となる虫が、「コガタルリハムシ」というハムシの仲間です。このコガタルリハムシは暖かくなってギシギシが成長しだした頃にやってきて、ギシギシの葉をどんどん食べていき、そのまま枯らしてしまうこともあります。そのため「除草昆虫」としての研究が行われていますが、まだ実用化には至っていないようです。自然に任せてコガタルリハムシが食べてくれたらラッキー!というスタンスが良いかもしれません。
ギシギシはどんな土壌で育つ?
地力 | 特徴 | 生えやすい雑草 | 適した野菜 |
---|---|---|---|
レベル4 | ほとんどの野菜が育つ | ハコベ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなど | ナス、ピーマン、キャベツ、ハクサイ、タマネギなど |
レベル3 | 肥料を入れることで、大体の野菜の栽培が可能 | スベリヒユ、カラスノエンドウ、ノボロギク、ツユクサなど | ミニトマト、キュウリ、ニンジン、ダイコンなど |
レベル2 | 栄養の絶対量が少ない | ギシギシ、スギナ、ハハコグサ、シロツメクサなど | サツマイモ、ダイズ、エダマメ、ジャガイモなど |
レベル1 | 土が硬く痩せている | セイタカアワダチソウ、ヨモギ、チガヤなど | ヒエ、アワ、タカキビなど |
上の図は地力(ちりょく)=「その土地が植物を育む力」を便宜的に4段階に分け、そのレベルごとに生えやすい雑草を表したものです。地力の最大値をレベル4とすると、ギシギシが生える地力はレベル2に該当します。つまりギシギシがたくさん生えている畑は、地力がまだ低いだろうと見当をつけることができます。ギシギシやその他のレベル2に当たる雑草の割合が高い畑では、サツマイモや大豆などの地力が低い土地でも育ちやすい野菜を育てながら、少しずつ土づくりを行なっていきましょう。
この診断方法についてや地力レベルについての詳細は、「雑草で診断!その土で野菜は育つのか?【畑は小さな大自然vol.7】」の記事をご覧ください。ただしこの診断方法は学術的に確立されたものではありませんので、あくまでも目安程度にしてください。
ギシギシ対策はどうする?
ギシギシはその根の上部が残っているとまた生えてきてしまうため、深めに根を掘って取り除く必要があります。少数なら、一つ一つ鍬などで掘り起こしていけば対処できます。しかし数が多い畑の場合、根本的に減らしていくためには、地力のレベルそのものを上げていき、より地力レベルの高い場所で育つ雑草が生えやすい土壌にしていくことが大切になります。
ギシギシの生えにくい土壌にするには?
ギシギシが生えやすい土壌であるレベル2の段階から、レベル3へ上げていくためのポイントは以下の2つだと考えています。
①土を中和する
②有機質・腐植質を増やす
土を中和する
ギシギシが生える場所は、土が酸性に傾いていることが多いと言われています。もちろん例外もありますので、ギシギシが多い畑でしたらまずは酸度計などでpHを測ってみましょう。酸性に傾いている土壌を中和する資材としては、家庭用であれば貝の殻などから作られる有機石灰や木を燃やした灰などが失敗が少なく使いやすいです。
有機質を増やす
レベル2の段階では豊かな土壌の元となる有機質が少ない状態です。有機質とは、生物の死骸や排泄物などが微生物などの働きによって分解されてできたものです。牛糞や馬糞などをベースに作られた動物性堆肥や、落ち葉・雑草などから作られる植物性堆肥などに多く含まれています。特に植物性堆肥には腐植と呼ばれる土の中で栄養素のタンクのような働きをする物質が多く含まれているので、これをベースとして使うと地力が早く上がりやすいです。
ギシギシが野菜づくりの役に立つ時もある?
ギシギシはただ邪魔な雑草というイメージが強いですが、最近では野菜と組み合わせることで有用な効果を発揮するコンパニオンプランツとしても期待されているようです。特にジャガイモと組み合わせることで、害虫のテントウムシダマシの天敵を呼び寄せたり、疫病・そうか病を抑える効果もあるそうです。実際にどの天敵が来るのかまでは調べても分かりませんでしたので、うちの畑で観察してみようと思います。
時間をかけて付き合っていこう
ギシギシはその繁殖力の強さから、根絶しようとしてもなかなかうまくいきません。時間をかけて土づくりをしながら、コンパニオンプランツとして活用したりして楽しんでみましょう。
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