生まれ故郷で覚える野菜づくりのコツ〜トマト編〜【畑は小さな大自然vol.38】

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生まれ故郷で覚える野菜づくりのコツ〜トマト編〜【畑は小さな大自然vol.38】

連載企画:畑は小さな大自然

生まれ故郷で覚える野菜づくりのコツ〜トマト編〜【畑は小さな大自然vol.38】
最終更新日:2019年05月30日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。夏野菜の代表格といえばトマトですが、実は日本の高温多湿な夏は大の苦手だって知っていましたか? トマトのそんな性質の秘密は生まれ故郷にあります。トマトといえばイタリアやヨーロッパのイメージが強いですが、生まれはそこではありません。生まれ故郷の環境を知ると、より病気になりにくく、おいしいトマトを作ることができます。今年のトマト栽培はぜひ生まれ故郷をイメージしながらトライしてみましょう!

トマトの生まれ故郷はどんなところ?


標高2400mのところにあるペルーのマチュピチュ遺跡。
トマトはこの少し下の標高1000mから2000m付近を中心に栽培していたと言われる

トマトの原産地は南米アンデス山脈の高地だと言われており、今でも野生種が存在しています。
そこからメキシコに伝わり、現在の栽培種に近い形のものが生まれたのではないかと言われています。
ちなみに以前にご紹介したジャガイモも同じくアンデス山脈の高地出身でした。

参考記事
生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】
生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】
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この地帯は赤道に近い地域なので日射が強く、降水量も少ないためとても乾燥しており、土地が痩せているのが特徴です。
 
原産地に近いペルーのマチュピチュは標高2400メートルで、最も気温が高い季節でも最高気温が21℃台です。四季の変化に気温差もさほどなく、年間を通して平均気温は15℃くらいで安定していますが、昼夜の寒暖差が大きく、一日の中で10〜15度の気温差があります。

山の中腹ですので傾斜があり、砂や岩が中心の土壌のため水はけが良く、植物にとっては水分を確保するのがとても難しい環境です。トマトはこんな環境の中でどうやって水分を確保したかというとそれは朝露からのようです。この地域は昼夜の寒暖差が大きく、朝露が降ります。トマトは全身に生えている細かい毛でその朝露をキャッチしながら大きくなり、広がった先で茎からさらに根を出して、水分を求めて横に広がっていきます。トマトといえば上に伸ばして栽培するイメージがありますが、本来は地を這うように横に広がっていく植物なのです。

トマトの原種のイメージ(筆者作成)

トマトの生まれ故郷の特徴

①砂質で痩せ地
②降水量が少なく乾燥している
③冷涼で一日の気温差が大きい

生まれ故郷からみるトマト栽培のコツ

トマトの生まれ故郷の様子をご紹介しましたが、この場所のような環境を日本で栽培する時に再現していくことで、トマトは本来の力を発揮しやすくなります。どのように生まれ故郷の環境を再現すれば良いか確認していきましょう。

①砂質で痩せ地

痩せ地出身のトマトは肥料過多だと、生理障害や病気を起こしやすい

トマトの生まれ故郷は砂や岩が中心のとても水はけが良い土壌です。そのため水はけの悪い土壌をトマトは好まず、そのような場所で栽培すると病気になりやすくなります。雨が溜まるような畑では20cmほどの高畝にして栽培しましょう。また粘土質の強い土質の場合は、籾殻くん炭やバーミキュライト、腐葉土などを混ぜ込むことで、水はけの良い土質に少しずつ変えていきましょう。
また痩せ地出身ということもあり、肥料分が少ない土壌の方が本来の生命力を発揮しやすく、病気にもなりにくいです。土づくりは肥料分の多いものよりも、有機堆肥や腐葉土、雑草堆肥などの土質そのものを改善することを意識して行うと良いでしょう。肥料分が多い場合は、葉の色が濃くなり生育は旺盛になりますが、葉が縮れたり、花はつくけど実はつかないというような症状が出やすくなります。

②降水量が少なく乾燥している

雨に当たらないようにすることで、降水量の少ない生まれ故郷の気候を再現する

トマトの生まれ故郷はとても降水量が少なく、乾燥している環境でした。日本でトマトを栽培する場合、梅雨の時期にかかってしまい、湿度が高くなるため注意が必要です。
また、水分を吸う力が強いため、水分を吸いすぎて実が割れてしまいますし、雨に慣れていないため雨に当たることで弱る性質があります。そのためトマト農家などは雨の当たらないハウス内で栽培することがほぼ必須になっています。家庭菜園でもトマトを栽培する場合は、雨よけのビニールを張るとより育ちやすくなります。
それ以外にはバジルなどの土の水分を吸う力の強い野菜と一緒に植えることで、トマトに過剰な水分がいかないようにするといった方法もあります。

家庭菜園で作りやすいのは大玉トマトよりはミニトマト。雨に強く、実割れもしにくいので、おすすめです。 
また本来は地を這うように広がる植物ですが、日本でそれをしてしまうと風通しが悪くなり、病気の原因となります。風通しをよくするために支柱を立て、不要な枝を剪定していきましょう。

③冷涼で一日の気温差が大きい

寒暖差が大きい方が丈夫でおいしいトマトが育つ

トマトの生まれ故郷は平均15度前後で、最高でも25度の冷涼な気候で、昼夜の気温差が大きいのが特徴でした。一般的にも10度〜30度が生育適温であり、昼夜で10度以上の寒暖差が望ましいとされています。トマトというと夏のイメージが強いですが、暑すぎるのは苦手なため、春や秋の比較的涼しくて昼夜の寒暖差が大きい時期が得意なのです。そのため気温が高くなりすぎる夏本番になる前にできるだけ大きく育てることが大切になります。地温が十分に上がり、霜が降りなくなったら(4月中旬〜5月中旬ごろ)早めに苗を植え付けましょう。

トマトは日本の夏が苦手

トマトは生まれ故郷が乾燥した痩せ地ということで、とても生命力が高く、比較的作りやすい野菜です。しかし、トマトが本来得意な気候は、日本の高温多湿な夏とは真逆な環境ですので、そこに注意して栽培を行うことで、より病気に強くおいしいトマトを作ることができます。ぜひ生まれ故郷のイメージを思い浮かべながら、トマトが過ごしやすそうな環境を用意してみてください。
 
次の記事:失敗しない!苗の選び方・植え方のキホン【畑は小さな大自然vol.39】

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