マイナビ農業TOP > 農業経営 > [新連載]サラリーマンってどう働いてるの?〜農業一筋だった人のためのタイムマシン学習〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#01】

[新連載]サラリーマンってどう働いてるの?〜農業一筋だった人のためのタイムマシン学習〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#01】

[新連載]サラリーマンってどう働いてるの?〜農業一筋だった人のためのタイムマシン学習〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#01】

“東大卒・農家の右腕”として農家の経営改善を推進してきた、農業関連のコンサルティングを行う佐川友彦(さがわ・ともひこ)さん。経営改善を続ける中で、業界外の知見が農業の現場で役に立つことに気づきます。今回から始まるこの連載では、「農業経営の裾野を広げる、業界外の知恵」という視点で、お気に入りのビジネス書を紹介してもらいます。農業経営者の皆さんの悩みを解決する本がきっと見つかるはずです。

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サラリーマンの働き方、仕事術を知ることのメリット

みなさんこんにちは。阿部梨園マネージャー、FARMSIDE works(ファームサイドワークス)代表の佐川と申します。阿部梨園では農家の右腕として経営改善の旗を振り、そのノウハウを無料公開して農家の経営改善を推進する「阿部梨園の知恵袋」プロジェクトを発起しました。FARMSIDE worksとして個人事業も展開し、コンサルティングや講演活動を行っています。

今回から書評の連載をさせていただくことになりました。コンセプトは「農業経営の裾野を広げる、業界外の知恵」です。メガネを外すように、農業や農家に対するこれまでのイメージを横に置いてみてください。ビジネスの世界はおどろくほど広く、日進月歩です。「農業は農業、ヨソはヨソ」と思われるかもしれませんが、外部からの知恵を取り入れれば、業務や経営が一段と楽になります。本連載がみなさんの新しい気づきにつながり、現場における課題解決の一助になれば幸いです。

私は農業未経験で前職の外資系メーカーから阿部梨園に参画しましたが、外の世界から農業に持ち込める経営改善ノウハウは無数にありました。前職で経験した社内制度や業務管理、組織づくりのコツなどは、大いに役立っています。皆さんも、一般企業にはあるのに自家の経営にはないものを探してみてください。そこにヒントがあります。

初回は「サラリーマンってどう働いてるの?」です。学校を卒業してそのまま就農された方など、会社勤めの経験がない方の中には、会社がどのように運営されているか、サラリーマンがどのように働いているか、見当もつかないという方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆さんのお役に立てそうな本を2冊紹介します。経営改善のヒントになるばかりでなく、企業勤務経験のある従業員や、取引先のことをより深く理解できるようにもなります。ぜひ参考にしてみてください。

「会社の教科書」で、サラリーマン1年目を追体験しよう

新卒で企業に入社すると、新人研修があります。会社のことや社会人マナー、業務に必要な基礎知識などについて教育を受けます。研修が終わって部署に配属されると、数年のあいだはみっちり、仕事のイロハについて上司や先輩から学びます。

農業者と接していると、このサラリーマン経験がないことを引け目に感じていらっしゃる方が多いことに気付かされます。今さら人に聞けないという話なのですが、それなら自力で学ぶしかありません。そんなサラリーマン1~2年目を追体験するのにもってこいなのが本書です。

この本を通してまず学んでいただきたいことは、ビジネスマナーを始めとする会社(社会)のルールです。あいさつ、つきあい、身だしなみから、敬語やメール、来客応対まで網羅されていますので、自信がないところから読んでみてください。名刺交換や電話応対ひとつとっても、わからずに怖気(おじけ)づいてしまうと、損をするのは本人です。小さな工夫や配慮が仕事の価値を高めてくれるということは、本書のまえがきにも書いてあるとおりです。

また、自分に合った働き方を見つけるのも、社会人1~2年目の大切な通過儀礼であり、本書から学んでいただきたいことです。スケジュール管理、ミスや失敗への対応、整理整頓など、我流でいい加減になってしまいがちなことばかりです。

他にも、お金の使い方などプライベートに関わることや、キャリアアップや転職・退職についても触れられています。どうでしょうか。サラリーマンになった想像をしてみて、今の自分に足りないものを探してみてください。

著者:matsu
出版:フォレスト出版

「あなたが上司から求められているシンプルな50のこと」で、上司部下の極意を学ぼう

農園などでも、従業員やパートさんとの関係に悩むことはあるのではないでしょうか。日々の業務コミュニケーションから中長期的なキャリア形成まで、それぞれの個性や事情も考慮に入れると、考えるべきことは尽きません。会社ではどのように、経営者と従業員、上司と部下、先輩と後輩で良好な関係を築いているのでしょうか。そんな上下関係の神髄がまとまっているのが本書で、上司が部下に期待していることが数多く紹介されています。挙げられているトピックは例えば以下のようなものです。

  • 聞かれる前に状況を知らせてほしい
  • 目を見て語尾までハッキリ話してほしい
  • 一度で済むようにしてほしい
  • ただ伝えるだけでなく、自分の意見を加えてほしい
  • 現状に満足せず、もっと欲を出してほしい

従業員や部下を持ったことがあるなら、誰しもうなずいてしまう言葉ですよね。こんな調子で、言葉にしたくてもなかなかできなかったことが50も書いてあります。読んでみたら、まずは自省してみてください。自分でもできていないことに心当たりがあるはずです。次に、従業員や部下、後輩に大切にしてもらいたいことは何か、改めて考えてみてください。何を意識してほしいか話し合えば、相互理解で仕事もスムーズになります。特にこだわりたいものは、農園の行動規範や心得として明文化してもいいかもしれません。

本書は4章に分かれています。「報連相(1章)」→「大人力(2章)」→「仕事力(3章)」→「成長力(4章)」の流れに沿って、信頼関係の構築からはじまり、気の利いた仕事のできる社員になり、みずから成長して事業を牽引(けんいん)するエースになります。本書を社内で回し読みしてみてください。お互いの認識の違いに気づくことができれば、改善はもう目の前です。

ちなみに本書には姉妹書があって、その名も「あなたが部下から求められているシリアスな50のこと」です。こちらもオススメです。

著者:濱田秀彦
出版:実務教育出版

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