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ニンジン栽培の基礎知識! 品種と栽培の注意点とは【プランターで手軽にできる】

連載企画:プランターで育てる野菜の栽培方法

ニンジン栽培の基礎知識! 品種と栽培の注意点とは【プランターで手軽にできる】

彩り鮮やかでさまざまな料理に活用できるニンジンは、栽培も簡単なため家庭菜園でも人気の高い野菜のひとつです。中でも、サイズの小さいミニニンジンは育てやすく、プランターでの栽培にも向いています。
ここでは、プランターでのニンジン栽培のポイントやおすすめの品種、栽培する上で気を付けたいことについてご紹介します。

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知っておきたいニンジンの基礎知識

ニンジンは、アフガニスタン周辺を原産地としたセリ科の植物で、ヨーロッパに伝わったといわれる長さ15~20センチの「西洋種(短根種)」と、シルクロードを経て中国に伝わったといわれる長さ60~70センチの「東洋種(長根種)」があります。現在、主に販売されているのは、三寸ニンジンや五寸ニンジンと呼ばれる西洋種ですが、お正月のおせちに使われる金時ニンジンなどは東洋種に含まれ、一部の地域で栽培されています。

知っておきたいニンジンの基礎知識

ニンジン

ニンジンは緑黄色野菜のひとつで、βカロテンやビタミンB2、食物繊維など多くの栄養素を含んでいます。中でもβカロテンは、英語表記の「キャロット」が語源になっているといわれるほど、ニンジンの代表的な栄養素です。βカロテンには、皮膚や粘膜を健康的に保つ抗酸化作用や、体内に取り入れると、抵抗力を強める働きをするビタミンAに変わる性質があります。皮の周りに多く含まれているので、皮を薄くむいて食べると効率的に栄養を摂取できます。油と一緒に調理することでカロテンの吸収率が上がるので、炒めたり揚げたりする調理法がおすすめです。

栽培しやすい時期は?

ニンジンは、春まき・初夏まき・夏まき・晩夏まきと数回にわたって栽培されます。涼しい気候を好みますが、幼苗期は暑さに強い性質を持つため、初心者は7月中旬~8月下旬に種をまき、11月上旬~12月下旬に収穫する夏まきがおすすめです。

プランター栽培におすすめのミニニンジン

ニンジン

プランター栽培を行うときには、ミニニンジンや三寸ニンジンのような小さいニンジンが育てやすくおすすめです。ニンジンは深く根をはるため、20リットル程度の中型から25リットル以上の大型で、十分な深さのあるプランターを用意しましょう。
ここでは、特にプランター栽培に向いているミニニンジンの中から、「ベビーキャロット」と「平安三寸」についてご紹介します。

ベビーキャロット
太さ2センチ、長さ10センチ程度のベビーキャロットは、ウィンナーソーセージに似た形をしています。収穫までの期間が70日から80日と短い極早生種で、やわらかく甘みがあるため、生食に向いています。

平安三寸
長さ10センチ程度で、ベビーキャロットより太く丸みのある形の平安三寸は、85日から90日ほどで収穫可能な極早生種です。滑らかでつやがあり、色がきれいで味が良いのが特徴です。

栽培する上で気を付けておきたいこと

ニンジン

比較的栽培が簡単なニンジンですが、栽培する上でどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。肥料不足や害虫被害など、ニンジンの栽培において気を付けておきたいことを紹介します。

1.間引きと肥料が重要

間引きが遅れると、ニンジンの根が十分に育ちません。間引く間隔は品種のサイズにもよりますが、本葉1~2枚の頃は1~3センチ、本葉3~4枚の頃に2~4センチ、本葉5~6枚の頃の最終株間が6~12センチになるようにしましょう。間引きの際には、何度か追肥をする必要があります。1回目の間引きの際には、土1リットルあたり1グラム、もしくは20~25リットルサイズのプランターあたり10g程度を株元にまき、軽く土をかけます。また、2回目の間引き以降は、2週間に1度、1回目と同量を施肥します。
肥料不足は根の発育不良の原因となるため、肥料切れを起こさないよう注意しましょう。

2.害虫被害は殺虫剤や対抗植物で防止

発芽後の幼苗期の根元を食べてしまうネキリムシのほか、葉を食べてしまうキアゲハの幼虫やキンウワバの幼虫は見つけたら捕殺するか、殺虫剤をあらかじめ散布しておきましょう。ネコブセンチュウが発生したことのある土で栽培する場合にも連作障害を避けるため、あらかじめ消毒しておくのがおすすめです。マリーゴールドなど線虫を減らす働きのある対抗植物を一緒に植えておくのも、ネコブセンチュウ対策に有効です。

3.病気被害にも注意が必要

ニンジンは、さまざまな病気被害に遭う可能性があります。葉の表面に白い粉をふりかけたようなカビが生えるうどんこ病や、葉や茎に黒褐色の斑点ができる黒葉枯病、根にシミができて白カビを誘発する乾腐病など、さまざまな病気に注意する必要があります。症状を初期に見つけられるように、生育過程をしっかりチェックしておきましょう。

4.水やりと除草はこまめに行う

ニンジンは発芽しにくい野菜なので、植え付け後はたっぷりと水をやりましょう。特に、発芽までは土が乾燥しないようにすることが大切です。発芽後の水やりは、回数や時間を決めるのではなく、土の表面が乾いたときにたっぷりと水やりを行います。根腐れの原因になってしまうため、土の表面が乾くまで水やりは必要ありません。
また、初期成長の段階には、雑草に負けてニンジンが溶けてしまわないように、除草もしっかりと行いましょう。

収穫時期に注意して栽培過程を楽しもう

ニンジン

ニンジンの基礎知識や栽培するためのポイントをご紹介してきました。初めてのニンジンの栽培で失敗しないためにも、まずは適切な時期に栽培をスタートさせることが大切です。また、収穫が遅れると裂根の原因にもなるため、収穫遅れのないようにしましょう。水やりや病虫害に注意しながら、プランター栽培を楽しんでください。

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