食品ロス量、前年比3万トン減少
2016年度に発生した食品ロス量は約643万トンと推計され、前年度より3万トン減少したと、2019年5月に農水省が発表しました。
食品ロスとは、食品由来の廃棄物などのうち可食部と考えられる部分のことで、食品製造業、卸売業、小売業、外食産業といった食品関連事業者から発生する「事業系食品ロス量」と、食べ残しなど一般家庭から発生する「家庭系食品ロス」に分けて算出しています。
「事業系食品ロス量」は、2015年の352万トンから5万トン少ない352万トン、「家庭系食品ロス」の総量は、2015年より2万トン増の291万トンでした。
脱「3分の1ルール」 小売の納品期限緩和など、商慣習の見直しを
日本でも、家庭系の食品ロスについては、循環型社会形成推進基本計画において、2030年までに2000年度から半減させるという目標が設定されています。
食品ロスを減らす施策の一つに、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業者の納品期限を緩和するなどの「商習慣の見直し」があります。
業界の商慣習の一つに、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する、という慣例があります。「3分の1ルール」と呼ばれ、このルールののもとでは、賞味期間の3分の1に当たる日数以内に小売店へ納品できなかったものは、賞味期限までに多くの日数が残っているのにもかかわらず、行き場がなくなって廃棄される可能性が高まります。例えば、賞味期間が3カ月間の商品なら、製造後1カ月以内に納品しないといけません。
このような厳しい納品期限を緩和することが、食品ロスの削減に直結すると期待できます。商習慣を見直すため、農水省が製造業・卸売業・小売業の話し合いの場の設置支援を行い、2011年頃から大手コンビニエンスストアやスーパーマーケットチェーンなどが、賞味期間が180日以上の菓子や飲料を中心に、期限の緩和を行いました。
農水省は今後、購入後に比較的早く消費される傾向があるカップ麺の期限緩和を推奨したり、複数の小売事業者が物流センターを共有している場合は、業者間で協力して緩和の効果を検証する実証実験を行ったりすることで、さらなる食品ロス削減を進めるとしています。
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イラスト=鈴木ゆう(マイナビ農業編集部)
【関連リンク】
食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について