必須科目に林業体験! 森林保全やシカの解体実習に取り組む東京都立北園高校
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必須科目に林業体験! 森林保全やシカの解体実習に取り組む東京都立北園高校

必須科目に林業体験! 森林保全やシカの解体実習に取り組む東京都立北園高校
最終更新日:2019年05月20日

東京都板橋区にある東京都立北園高等学校は、大学受験への取り組みが熱心に行われる進学校であるだけではなく、第2外国語教育や長野県で行われる「信州北園プロジェクト」など、特色のある学校教育を実施しています。今回は「信州北園プロジェクト」の一環である「森林保全奉仕合宿」や、より深く森林について学ぶための講演会、シカの解体実習について紹介します。(写真提供:東京都立北園高校)

久保副校長に聞く、森林保全奉仕合宿の取り組み

北園高校のユニークな取り組みである「信州北園プロジェクト」。2010年に始まった当プロジェクトのいきさつを、副校長の久保剛(くぼ・つよし)さんに聞きました。

森林保全奉仕合宿の様子(写真提供:東京都立北園高校)

「2007年度に東京都立の高等学校で、全ての生徒に『奉仕』を履修させるという指針が発表されたことから、教育活動の一貫として『森林保全奉仕合宿』を導入しました。また、プロジェクト発足当時の校長が『信州(長野県)が大好き』であった事から、1年生を対象に行われる新入生セミナーや、夏休みの勉強合宿も長野県で実施しています。北園高校では生徒への環境教育に力を入れており、都市(東京)と地方(信州)の2つの視点から、広い視野で世の中の出来事や人間生活をとらえ、力強くタフに生きる力を養ってもらいたいと考えています」と、久保さん。具体的にどんな奉仕活動をするのでしょうか?

除伐の様子(写真提供:東京都立北園高校)

「2年次の生徒が2泊3日で信州を訪れ、林床整理(林の下草部分の整理)や除伐(植栽した苗木の生育を妨げる木や生育の悪い木などを除去する事)といった作業を行います。また、過去には小学校の通学路にクマなどの野生動物が出現するのを防ぐ緩衝帯(人と野生動物の生活圏を隔てる見通しの良いエリア)の整備や、ニホンジカによる高山植物の食害を阻む為の防護柵の設置を行った年度もありました」(久保さん)

このように都会の生活ではなかなか体験できない、森林の実態について学ぶ体験をカリキュラムに取り入れている北園高校。さらに、合宿に備えて知識や理解を深めるため、あらかじめ学習する機会も設けています。一体どんな内容なのか、紹介していきましょう。

「森林保全奉仕合宿事前講演会」とシカの解体実習

森林や環境について生徒が多面的に理解できるよう、北園高校では講師を招いての講演会や、希望者を対象としたシカの解体実習を行っています。

森林の現状について座学で学ぶ「森林保全合宿事前講演会」

ホールアース自然学校の浅子智昭(あさこ・ともあき)さん

外部から講師として招かれているのは、静岡県富士宮市にある環境教育事業所「ホールアース自然学校」の浅子智昭(あさこ・ともあき)さんです。浅子さんは富士山周辺で里山親子キャンプや樹海洞窟探検などのプログラムを担当する一方で、猟師として野生鳥獣による被害防止目的のための捕獲を行っています。

森林保全奉仕合宿に先立って、浅子さんから富士山麓(さんろく)に生息するシカの生態や、シカが増えた事で農作物や森林にもたらす獣害についての説明がありました。

森林保全奉仕合宿事前講演会の様子(写真提供:東京都立北園高校)

シカの食害にあった樹皮(写真提供:ホールアース自然学校)

また、ホールアース自然学校が運営しているシカ、イノシシの解体処理施設で、駆除した野生動物を衛生基準に沿って解体して食肉として販売したり、ホールアース自然学校の狩猟体験キャンプの食材として使用したりするなど、観光資源として活用する取り組みについても発表がありました。

高校の理科室でシカ解体実習! 生徒の反応は?

さらに森林や里山を荒らす野生動物についての知識を深める目的で、北園高校では希望者を対象にシカの解体実習を行っているとの事で、私も参加しました。参加者は1年生を中心に約30人、浅子さんが用意した雄シカを見るなりわっと周りに集まってきて、中にはシカに向かって手を合わせる生徒もいました。

浅子さんから自己紹介と注意事項の説明があった後、早速シカの解体にとりかかります。浅子さんいわく、解体中に「シカから肉になった」と見た目から受ける印象が変わる瞬間があるそうです。完全に剝皮(皮を除去すること)し、筋肉がむき出しになった状態を見て「皮を剥いだら、もう肉に見えますね」と、生徒たちは感慨深そうにしていました。

剝皮が終わると、面白い事に生徒の興味が二分します。生物の体の構造に興味がある生徒は、シカの眼球に触れ、奥歯のかみ合わせ、顎(あご)の骨が動く構造を注意深く観察していました。

一方、動物が肉になる過程に興味がある生徒は、背ロースやモモ肉といった部位に切り分ける精肉作業に、積極的に参加していました。中には狩猟に興味を持ち、私に狩猟免許の取り方や、マタギとハンターの違いについて質問する生徒がいたのは驚きでした。

精肉作業が終わったところで、浅子さんから「森林や里山に被害をもたらしている野生動物の数を調整し、利活用を真剣に考える時期が来たのではないかと思います。講演会やシカの解体実習、森林保全奉仕合宿などを通して、森林で起こっている事に興味を持ってくれるとうれしいです」と話があり、実習は終了しました。

百聞は一見にしかず? 生徒の反応から見えた、体験することの大切さ

解体実習後、教員から「普段の授業と違って、生徒がキラキラと目を輝かせていたのが印象に残っています。学校の授業やインターネットなどから得られる知識だけではなく、実物を目の前にして体験すると、反応が違いますね」といった感想が聞けました。都市圏で生活している子供たちは、日常的に自然や、森林で起こっている事について知る機会がありません。だからこそ、授業として体験できるのは貴重な機会なのではないかと感じました。
 

東京都立北園高等学校

ホールアース自然学校

 

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