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実録! 20代「Iターン農家」が移住のためにした3つのこと

実録! 20代「Iターン農家」が移住のためにした3つのこと

「心機一転、拠点を移し、新たな地で農業を始めたい」そんな夢を抱いても、いったい農家になるにはどんな手順を踏めばいいのか、具体的には想像しづらいもの。そこで、4年前に東京から宮崎に「Iターン」をし、イチゴ農家になったダンナを嫁が取材しました。そこで見えてきたのが「師匠探し」「家探し」「畑探し」の3つのポイント。この記事ではダンナの事例を交えながら、移住から就農までのリアルな道のりを細かく見ていきます。

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1. 師匠を探す

農家になる方法

まず、農家のなり方には3つのルートがあり、「先代の農業を継ぐ」「農業法人に就職する」「開業する」に大きく分けられます。

その中で、今回はダンナの経験談を交えつつ「開業する」場合をお話しするのですが、開業する場合でもさらに3つのルートがあり、①先代の元で農業の経験を積み、新たに開業、②農業高校や農業大学校で学んだ後に開業、そして③農業法人や個人農家に弟子入り(就職)して学び、開業する方法があります。

今回は「③農業法人や個人農家に弟子入りして学び、開業する方法」にスポットを当て、紹介します。

師匠の探し方

自治体によっては農家が就農希望者を研修生として受け入れ、指導農家を「農業師匠」とするなど、その普及に力を入れている場合もあります。

まずは地域の農業公社や農業会議による総合的な就農相談窓口「新規就農相談センター」で相談してみましょう。その上で、役所の農政課やJAで師匠を紹介してもらうことをおすすめします。

直接師匠のところに出向き、弟子入りする場合でも、農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)の交付を受けることは可能なため、地域の就農窓口で相談すると良いでしょう。

例:ダンナの師匠の探し方

イチゴ農家になったダンナの場合は、学生時代に自転車で九州一周中、たまたま、宮崎県日南市北郷町に立ち寄り、地域の方々の生き様に憧れ、まず「移住」を決意。その後、大学中退するまでの1年間、いくつかの段階を踏み「イチゴ農家」になる決断にいたりました。

1. ファームステイの実施
学生時代に農業サークルの代表をしていたダンナは、東京の学生50人を日南市北郷町に連れてきて「ファームステイ」を実施。その中で地域との親交を深め、農家以外の方とも出会う機会を得ました。

2. 全国の農家を巡る
日南市への移住を決断し、大学中退を決意。農業に興味はあったものの、「農家」になるか、「農業体験コーディネーター」になるか悩み、まずは情報収集のために全国の農家を見て回りました。

3. 作物を決め、師匠を決める
全国の農家めぐりをしている最中に、あるイチゴ農家の元でイチゴに運命を感じ、イチゴ農家になることを決断。移住先として決めていた日南市北郷町でイチゴ農家を営む方に、弟子入りを志願しました。

詳しくはこちら
漫画「宮崎に移住した農家の嫁日記」【第58話】いちご農家に憧れる
漫画「宮崎に移住した農家の嫁日記」【第58話】いちご農家に憧れる
大学を中退後たった20万円を握りしめ、宮崎でIターン就農したいちご農家の「たいぴー」と、お調子者の旦那に振り回される漫画家の嫁じょ「あかねまる」。夫婦のドタバタな日常を“現役・農家の嫁”が描いた、新感覚4コマ連載!

師匠選びのポイント

  • 自分がどんな農業をしたいのか、なんの作物を作りたいか明確にしてから師匠を探す
  • なるべく自分が目指すスタイルに近い営農をしており、独立を応援してくれる師匠を探す
  • 農業法人に就職する場合は、複数の法人を比べて選ぶ

2. 家を探す

不動産屋がある場合の家の探し方

・不動産屋
民間の不動産屋がある場合、物件情報がWebサイトなどに載っている場合がありますが、直接出向いて相談した方が希望にあった物件に巡り合えるでしょう。

・空き家バンク
増えつつある空き家の賃貸物件や売買物件の情報を、自治体や民間が公開しています。
昔ながらの古民家や広い庭付きの家にひかれる人にはおすすめですが、大幅な改修が必要など、状態の悪い物件もあるので慎重に。

・市営住宅
自治体によっては、移住希望者向けに市営住宅を貸し出しています。単身者は条件を満たさないと入居できないなど、ルールがあるので確認しましょう。

不動産屋がない場合(例:ダンナの家の探し方)

ダンナの場合は、不動産屋さんのない町に移住を決めてしまいました。当時は独身だったため、市営住宅に住むこともできず、知り合いを通して家探しをすることに。
予算が月1万円だったため、見つけてもらった物件は難あり(風呂なし、ガスなし、ボットン便所、地デジチューナーなし、仏壇あり、クローゼットに前に住んでいた人の荷物あり)。
しかし、独立してからは、また知り合いに新しい物件を紹介してもらい、無事にガス付きの家に引っ越しました。

家探しのポイント

電気、ガス、下水道など、都会暮らしでは当たり前に存在していたものが、地方の不動産には備わっていないこともあります。物件を契約する前に、しっかりとチェックしましょう。携帯電話の電波の入り易さも、現地で確認したほうが良いでしょう(私は2年縛りのWi-Fiを契約後に、移住先で電波が入らないことに気が付いてガクゼンとしました)。

3. 畑を探す

一般的な畑の探し方

  • JAに相談する
  • 役所の農政課に相談する
  • 地域の方に人づてに紹介してもらう

例:ダンナの畑の探し方

・農地選びの方法
各地区の有力者に、空いてる畑はないか、自分の足で聞いて見て回った。

・ダンナの条件
初期投資を抑えるために、ハウス付きの畑(居抜き物件)

・紹介された候補地

  1. ハウスがきれいだが、みかんが枯れる土で、山奥にある
  2. ハウスはマンゴー仕様の高スペックだが、崖の上で井戸がなく、規模拡大ができない
  3. 日当たり良好、小屋つきだが、10年以上使われていない耕作放棄地でゴミ屋敷、ハウスは使えるが古い、井戸が隣の人と共用

結果的にダンナは③の「ゴミ屋敷」を選びました。その理由は、自力でゴミを片付けることさえできれば、畑としては条件が良かったからだそうです。

畑探しのポイント

・空き畑が以前何に使われていたのか、どうして空いているのかを確認する
空いているのは、何かしらの欠点がある可能性が高い。

・家から通える距離か
通勤場所は近いに越したことはありません。また、天候によっては、すぐに畑を確認する必要があるため、片道車で10分以内だと便利でしょう。

・完璧な状態を求めない
自分の理想とする土壌を初めから求めても、それが手に入る可能性はほぼありません。畑に目星をつけたら、理想の状態にむけて、どれだけ自分が手を加えられるかを計算しましょう。

番外:嫁がなぜ移住をし、農家に嫁ぐ決心ができたか

移住を決心できた理由

金なし、技術なし、学歴なし。正直、こんなダンナとは絶対に結婚したくなかったです(笑)。それでも結婚・移住を決断できたのは、お金がほとんどないダンナでも、知り合いが一人もいない土地で、2年間生き延びていたから。それだけ温かい人たちのいる地域でなら、私もうまくやっていけるのだろうと思いました。これから地方に移住を考えている方は、その地で活躍する移住者がいるかどうか、いたらなぜ生活できているのかを、実際に会って聞いておくといいでしょう。

移住するまでにやってよかったこと

・一見、農業に関係のない技術をつける
移住するまで、私は広告制作職に就き、ライターやデザイナーの仕事をしたり、趣味でチョークアートのプロ資格を取得したりしてきました。そのため、移住後は農園の広報やデザイン全般を担当しています(それが仕事としても成り立つようになりました)。一見、農業に関係のないように見える技術でも、生かし方次第では農園に広がりが持てると実感しています。

・移住先の求人を扱う会社に、事前相談する
経済面の不安は精神衛生上よくないもの。特に新規就農で、嫁が農業に専業する必要がない場合、閑散期だけでも他の稼ぎ口があると安心です。移住先の求人を扱う会社に、事前に相談しておくだけでも、精神的に余裕ができます。

・国内、国外問わず、一人旅をする
「どんな場所でも、生きていける」という自信ほど、自分を支えるものはありません。私は一人で国内でゲストハウス巡りをしたり、結果的に30カ国ほど旅をしたり。旅ではなくてもいいのですが、一度でいいので知り合いのいない地で、一人で生き延びる経験をすることをオススメします。

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