ナメクジによる畑での被害
ナメクジは春から秋にかけて発生し、野菜の新芽や若い葉、花、果実の部分などをかじって食べます。軟らかい部分を好み、硬くなった葉や茎などはあまり食べません。特にアブラナ科の野菜が好きで、キャベツや白菜などの結球野菜は、その中まで侵入して食べてしまうこともあります。キュウリやイチゴなどの実をかじって穴をあけてしまうこともあります。
ナメクジってどんな生き物?
ナメクジは昆虫の仲間ではなく、カタツムリと同様に陸生の貝の仲間で、殻は進化の過程でなくなってしまったと言われています。昼間は日光を避けるために、日陰や石の下などに隠れており、夜間に活発に活動します。雑食性の生き物で、野菜以外にも落ち葉や虫の死骸なども食べます。発生時期は3〜10月ごろで、特に梅雨時期以降に増え、多湿な場所を好みます。また酸性に偏った土壌をより好むと言われています。
ナメクジはどうやって増える?
ナメクジの寿命は2〜3年で、冬や夏は土の中や落ち葉の下などで過ごし、春や秋に卵を産みます。オスやメスの区別がない雌雄同体の生き物で、他の個体と交尾をした後、どちらとも卵を産みます。直径1ミリほどの大きさで半透明の丸い卵を、一度に20〜50個程度、一生で200個ほど産むと言われています。枯葉の下などの日陰でじめじめとした場所に産むことが多いです。
ナメクジの天敵は?

ナメクジの天敵、コウガイビル
ナメクジの天敵には鳥類やカエルなどが挙げられます。また、コウガイビルという、頭が扇型になった細長いミミズのような生き物も天敵です。見た目はナメクジに近いものがありますが、ナメクジに巻きついて食べてしまいます。またハエの仲間でもヤチバエ科やクロバエ科のものなどはナメクジの体内に卵を産み付け、寄生します。
ナメクジの予防法
虫対策を考える場合は、まずその虫が発生しにくいような環境を整えることを考えます。そうでなければ駆除したとしても、またすぐに発生してしまうためです。
ナメクジが発生しにくくする方法としては以下の2つが考えられます。
① 風通し・日当たりを良くする
② 土壌を中性に近づける
① 風通し・日当たりを良くする
ナメクジは湿気のある日陰を好みます。特に梅雨時期など雨の多い時期は、野菜の間引き・剪定(せんてい)を行い、できるだけ日当たりと風通しを良くしておきましょう。
② 土壌を中性に近づける

木灰はカルシウムが多く、酸性土壌を中和する力がある
ナメクジは特に酸性土壌で発生しやすいと言われています。ナメクジが発生しにくく、多くの野菜が育ちやすいpHは6.0〜6.5程度の弱酸性です。酸度計などで実際に計り、pHがこれより低い場合は、アルカリ性資材を使って中性に近づけていきましょう。家庭菜園で使いやすいアルカリ性資材としてはカキ殻などを原料とする有機石灰や、木を燃やしたあとの木灰があります。これらの資材は使いすぎによって土が硬くなったり、アルカリ性に傾きすぎるといった失敗が起こりにくいためオススメしています。
ナメクジへの対処方法
ナメクジの被害が多く見られる場合や、被害が予想される場合の対処方法を3つご紹介します。
① 捕殺する
② トラップを仕掛ける
③ 忌避効果のあるものをまく
① 捕殺する
動きが鈍いので、見つけた場合は簡単に捕まえることができます。ナメクジを駆除する方法としては塩をかける方法が有名ですが、これは塩でなくても砂糖や重曹などの浸透圧の高い粉状のものであれば脱水させることができます。ただし水分が抜けて小さくなるだけで死なない場合もあるようです。また熱湯をかけるという方法もあります。ただいずれも畑にまきすぎると野菜や土に悪影響がある場合もありますので、注意しましょう。
② トラップを仕掛ける
ナメクジは夜行性のため、明るい昼間に全てを見つけるのは難しくなります。そのためナメクジを捕まえるためには、トラップを仕掛けておくという方法が有効になります。おびき寄せるエサとしてはビールや米ぬかが有効だと言われています。ビールの飲み残しや米ぬかを水に溶いたものなどを空き缶などの容器に入れておき、溺れさせて殺します。ただそのまま飲み逃げされる場合もあるので、揚げ物などで使った油なども合わせて入れておくと、窒息する、またはツルツル滑って登れなくなるためより効果的です。
③ 忌避効果のあるものをまく
ナメクジを殺すのではなく、近寄らないようにする方法です。お酢や竹酢液、木酢液などが効果があると言われています。100〜500倍程度、水で薄めてナメクジが来そうな場所に散布します。これらを濃い濃度でかけるとそれだけ効果は上がりますが、野菜にも悪影響が出ますので注意しましょう。
梅雨時期はナメクジ予防をしっかりしよう
ナメクジは少数であればそこまで問題になる生き物ではありませんが、一度発生しだすと夜行性ということもあり、昼間に全てのナメクジを発見するのが難しいため厄介な存在となります。特に梅雨時期はナメクジが好むような湿気の多い環境になりやすいので、風通しや日当たりには注意しましょう。