ちだの酪農に対するイメージ
みなさんの酪農に対するイメージはどんな感じですか?
ちだはこんな感じでした。
- 牛の乳を搾るのがメインの仕事
- 牛がかわいい♡
- 生き物相手だから、あんまりお休みなさそう
- とれたての牛乳でチーズとかバターとかアイスクリームとか作る
忙しいながらもかわいい牛を相手に、素敵な自然の中での健やかな仕事
牛乳、という大きなポテンシャルを秘めた原材料をマーケットニーズに応じて加工販売するクリエイティブな仕事
テンション上がりますね。
なので
北海道で「酪農ヘルパー」体験をして記事を書いてみませんか?
と言われた時には二つ返事でOKしました。
酪農ヘルパーとは、酪農家さんがお休みなどを取る時に代わりに酪農仕事をする人。
求めに応じていろんな牧場に行って仕事をします。
が
お気付きの通り
ちだのふわっふわで
あまっあまなイメージは
ばっさばさ覆されました
そんなに覆さなくても……
体験でお世話になった青柳牧場さん
今回酪農ヘルパー体験でお世話になったのは、北海道は南幌町(なんぽろちょう)というところにある青柳牧場さんです。
南幌町はこの辺。北海道の真ん中あたり。
青柳牧場はおじいさんと息子さんのお二人がメインで運営されています。
青柳勝治(あおやなぎ・かつじ)さん
青柳勝(あおやなぎ・まさる)さん
こちらが牛舎
青柳牧場には牛が70頭ほど。うち、乳を搾れるのは40頭ほどです。
繁忙期などにはパートさんや酪農ヘルパーさんにお手伝いをお願いしますが、基本はお二人だけ。
これがハンパない。
どうハンパないって?
こうです。
ちだ、酪農の仕事を一日体験する
それでは、酪農の一日を追ってみましょう。
当日、期待と緊張で胸がいっぱいになりながらちだは目覚めました。
その時、朝の4時半
そう、4時半起き。
なぜって?
酪農の仕事は
5時半から始まるから。
特別じゃないんです。
毎日朝の5時半から仕事が始まるんです。
とんでもなく眠い!
まだ仕事をしていないのに、早くもポイント1が出現しました。
ということで、仕事の開始です。
勝治さん、勝さんにご挨拶をして、意気揚々と聞きます。
ちだ
勝さん
ちだ
勝さん
ちだ
勝さん
ということで、搾乳の前に掃除とエサやりをします。
あ、牛の香り。
さすがに気になります。
が、むしろ気合が入るというもの。
いざ!酪農!!
まずは、エサを置く場所をキレイに!
続いて、牛の排せつ物と汚れた敷きワラをお掃除。
排せつ物を溝にゴリゴリ落とすと、溝がウィーンと動き出します。
排せつ物と敷きワラはそのまま牛舎の外へ!!
なんて便利!!
続いて、新しい敷きワラを入れてあげます。
大量の敷きワラは、ギューっと丸まっているので、それをゴロゴロっとほぐします。
ゴロゴロしたら、新しいワラを牛の股の間あたりに入れていきます。
ちなみに巨大な丸まった敷きワラはこんな感じで保管されています。
続いてエサやり。
エサやりは勝さんが掃除と同時並行で行います。
その際、エサの量や与えるエサの種類を牛一頭一頭に合わせて調整しています。
エサは大きく分けて3種類与えます。
1. 糖分やカルシウムなどの栄養補助食品
2. 干し草や飼料用トウモロコシ、乳酸菌などを混ぜて作ったオリジナル配合飼料
3. 干し草
これはどの牛も平等に食べてOKなので、ちだもお手伝いできます!
ここまで終わって、ようやく搾乳の開始です。
ちなみに、すでに朝の7時半過ぎ。
掃除とエサやりで2時間以上かかります。
さて、いよいよ搾乳です。
勝さん
この作業を一頭ずつ繰り返します。
勝さん
乳首を拭いて、試し搾り。
ミルカーをつけて、搾乳!
最後に、消毒。
この一連をひたすら繰り返します。
ミルカーは牛舎に張り巡らされたパイプを通って、牛乳を保管する容器に集められます。
すごい仕組みだ!
にしても
超眠い!!
全ての搾乳が終わったのは朝の9時半ころ。
早朝から実に4時間に及ぶ作業でした。
ちだ
勝さん
じゅう……ろく……??
よ……じ……????
そう、酪農の仕事は
朝と夕方の二部制なんです。
7時間あくやーん!
7時間!?
あ、
強烈な
睡魔……
帰る家もないちだは、着の身着のまま公共施設で眠りました。
16時半、ここから夕方の仕事が始まります。
ちだ
牛が食べる飼料を育てるための畑仕事をしたり、牛ふん堆肥(たいひ)の管理や移動があったりなんだかんだやることがあるんです。
本当に忙しい時にはトラクターを走らせながらおにぎりを食べる、なんてこともありますね。
勝さん
ちだ
夕方の仕事はどんなことをやるんでしょうか。
掃除、エサやり、搾乳ですね。
勝さん
ここで、よく考えていただきたいです。
朝の仕事は5時半から9時半ころまでおおよそ4時間かかりました。
ということは、夕方も同様に16時半から20時半ころまでかかることになります。
ちだの場合は
4時間 + 4時間
で8時間の労働時間です。(うち、間に7時間休憩)
ですが、勝さんの場合は
4時間 + 7時間 + 4時間
で15時間の労働時間になります。
えっ
えっ??
ちだとか、朝の仕事終わっただけで眠くてへろっへろだったのに?
夕方の仕事も、勝さんは朝と変わらず淡々とこなします。
お父さんの勝治さんも同じように。
勝治さんが元気すぎるので、いろいろ聞いてみました。
ちだ
勝治さん
ちだ
病気になると、牛乳の質が劣化して出荷できなくなったり、牛の命に関わることもあるんだよ。
勝治さん
ちだ
そこで、乳脂肪分とか細胞の数とかが数値になって出てくるの。
で、その数値次第で牛乳の販売価格が変わるんだ。
勝治さん
ちだ
エサの質や量もだし、牛舎が清潔に保たれているか、も影響するから掃除も大事だし。
だから、毎日の仕事がサボれないんだよ。
勝治さん
ちだ
そして、その時がやってきました。
20時
この日の全ての作業が、終了したのです。
終わった瞬間、ちだはスタンディングオベーションしましたよ。
ずっと立ちっぱなしだったけど。
拍手喝采ですよ。
一人で。
やっと終わった、という気持ちもあります。
ですが
これを毎日やられている、その事実に、一人スタンディングオベーションです。
- 酪農の朝は、早い。
- 搾乳は、酪農の仕事の一部にすぎない。
- 朝と夕方の仕事のインターバルが7時間ある。
- 搾乳は、365日毎日2回しなければならない。
- 仕事が価格に反映されるので、さぼれない。
酪農は人手が足りない? 実際どうしてる?
酪農の仕事って、本当に大変。
そして人手も足りてない。
どんな人に来てほしいのか、聞いてみました。
ちだ
あとは、他のところで1年経たず辞めてしまったという例もあるのでなるべく長く続けてくれる方がいいですね。
勝さん
ちだ
うちに来てくれてるのは26歳のヘルパーさんです。
前、腰を痛めた時にはとってもお世話になりました。
ただ、1日8時間働いてもらって料金が2万円程度するのでそんなに頻繁には頼めないですけど。
勝さん
ちだ
勝さん
ちだ
希望する方があまり多くない業界で、かつ定着率も低いとなると現場は確かに人材確保が厳しいですよね。
にしても、酪農ヘルパーさんの単価がかなり高め。
話によると「酪農ヘルパー」という仕事を生業(なりわい)にして生活されている方もいらっしゃるそう。
そういう酪農業界への入り方もあるんですね。
酪農ヘルパー体験をしてみて、偽らざる感想
酪農に抱いていたイメージと現実のギャップ再確認
改めて、体験前のちだの酪農に対するイメージを振り返り、現実と照らし合わせてみます。
牛の乳を搾るのがメインの仕事
➡搾乳は酪農のごくごく一部。 なんなら畑仕事だってある!
牛がかわいい♡
➡かわいいだけじゃない。酪農は命をいただく仕事。オス牛は生まれて2、3週間ほどで市場へ。メス牛も乳を5年ほど搾って出が悪くなったら肉牛として販売、という現実。
生き物相手だから、あんまりお休みなさそう
➡あんまりとかじゃない。
365日、1日2回の乳搾りが必須。
とれたての牛乳でチーズとかバターとかアイスクリームとか作る
➡「毎日牛乳を搾る」ということだけでも非常に大変。
そこへさらに人や機械に投資する?
簡単なことじゃねぇっ!!
体力だけでは乗り切れないかも
ちだは182cm/82kgで半年ほど前から農業を始めました。
「体力には自信があります!」
というタイプです。
それでも
- 早朝から夜までの仕事で、インターバルが長い
- サボっちゃうと牛乳の品質に跳ね返る
ということから、ちだが毎日仕事としてやるには、体力的にも精神的にも厳しいな、という思いがあります。
ぶっちゃけ
めっちゃきつい!!
しかし、逆転の発想をしてみます。
- 昼間のインターバルが自由に使える!
- 一つ一つの仕事に意味があって、やりがいがある!
ということも言えます。
酪農は本当に大変でした。
今酪農に携わられている方々は本当に尊敬に値します。
牛乳高いとかもう言いません。
ヨーグルトもチーズも生クリームも、ありがたく頂戴します。
いやー、疲れた。
北海道観光なんかしなくていい。
寝たい。
以上、酪農ヘルパー一日体験記でした Zzz……
勝治さん、勝さん、お忙しいところありがとうございました!