アイスプラントを種から育苗する
プチプチの食感と塩気が独特!
アイスプラントは南アフリカ原産の多肉植物です。塩分濃度の高い地域でも生育できる塩生植物の一つで、葉や茎の表面に塩分を隔離するための水泡ができるのが特徴。フランス料理の食材として用いられることもあるそうで、近年注目が高まっている野菜の一つです。
少し珍しい野菜を育ててみようと思って入手した西洋野菜の種のうち、スイスチャードはプランターに直まきして比較的簡単に育てられると、前回の記事でお伝えしました。
一方、アイスプラントを種から育てる場合、ポットで育苗する必要があるよう。というのも、種が非常に小さいのです。今回購入したものはまきやすいようにコーティングが施されていましたが、もともとの種が小さいので出てきた芽もゴマ粒より小さいくらい。これを大きく育てるのはなかなか大変です。
種のまき方と育苗方法
3号ポットを3つ用意して土を入れ、4粒ずつ種をまきました。5日ほどで芽が出ましたが、出たのはまいた種のうち半分程度。さらに、本葉が出てちゃんと育ったのはわずか2つだけ。発芽率が低く、また芽が小さいので、種まきはポットよりセルトレイなどの方がよかったかなと思いました。
苗は育苗用のカゴに入れたまま育てていたのですが、60日ほど経ってようやく植え付けられる大きさに育ちました。
初心者は苗を購入するのがおすすめ
初心者は苗を購入するのが断然おすすめです。じつは育苗中に見つけて購入した苗があるので時間を早回しするつもりでお見せします。
購入時点では3号ポットから大きな葉がはみ出るくらいの大きさでした。これを5リットルほどの小さなプランターに2つ植え付け。1カ月もすると、プランターからはみ出るくらいに大きく育ちました。
塩水をまくといい?
普通の培養土で育てただけでも成長につれ水泡が浮かび上がってきましたが、塩味を利かせるためには食塩水を投与するといいとも聞きます。その濃度や頻度には諸説あるようですが、参考までに、2種類の苗のタグに書かれている栽培方法を要約するとこうなっていました。
苗A:「水2リットルに10グラムの食塩を溶かした塩水を、水やり3〜5回に1回くらいの頻度」
苗B:「濃度0.5%程度の塩水を週1回以上の間隔。葉が縮れてきたら投与をやめる」
「グラム」や「%」で示されていて分かりにくいかもしれませんが、塩小さじ1杯(5ミリリットル)が6グラムなので、大ざっぱに計算すると1リットルに小さじ1杯弱程度でよさそう。この濃度で塩水を作って与え、様子を見ながら調整することにしました。
どんな食感がする? 味や食べ方は?
さて、植え付け1カ月後にはプランターからあふれるくらいに育ったアイスプラントですが、少しずつ収穫して食べてみることにしました。まずは味見と、ドキドキしながら少し刈り取って口に入れると、食感はプチプチのシャクシャクでほんのり塩味!
うーん、何かに似ている……と考えたところ、塩味やプチプチ食感が沖縄料理で定番の“海ぶどう”に近いのではないかと思いました。ならばと、まずは三杯酢で食べました。クセもなくさっぱりしていて、これが一番簡単でした。
他によかったのは、生ハムと一緒に盛り付けてレモンとオリーブオイルを回しかけるだけのサラダや、サクサクの天ぷら。野菜自体に塩味があるので、味付けはシンプルでほとんどいらないと感じました。
今度は炒めたらどうかと思い、ペペロンチーノにしてみましたが、プチプチ食感はなくなるものの塩味と歯ごたえは残っていて、これもまたアリでした。
試す前に育ててしまう! 野菜との新しい出会い方
プチプチでシャクシャクの食感とほんのり塩味が特徴的なアイスプラントを栽培して食べました。なかなか試す機会のなかった野菜でしたが、簡単においしく食べられてうれしい発見でした。
スイスチャードに続いてまた一つ、新たな野菜と出会うことができました。試す前に自宅で育ててみる。こんな出会い方があるのもベランダ菜園の楽しみなのかなと思います。
◆次回、恐れていたあの害虫がベランダに襲来……!?