酪農大家族を24年追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』(4/27公開)の遠藤監督と高校生が対談

マイナビ農業TOP > ライフスタイル > 酪農大家族を24年追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』(4/27公開)の遠藤監督と高校生が対談

ライフスタイル

酪農大家族を24年追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』(4/27公開)の遠藤監督と高校生が対談

酪農大家族を24年追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』(4/27公開)の遠藤監督と高校生が対談
最終更新日:2019年07月12日

高校図書館から発信するフリーマガジン「ch FILES」と「どっこいしょニッポン」とのコラボ企画、今月は4月27日(土)より公開される、岩手県で山地酪農を営む家族を24年間追ったドキュメンタリー『山懐に抱かれて』を取り上げます。感情豊富な吉塚家のお父さんと家族の絆に感動したch高校生スタッフが、監督の遠藤隆さんと対談しました!

「山懐に抱かれて」の遠藤監督と高校生が対談

――遠藤監督は、なぜこの酪農家族を撮り始めたんですか?

遠藤 はじめはまさか24年も追っていくことになるとは思ってはいなかったんですが(笑)、僕はテレビ岩手の報道部で農業問題を取材していて、「山地(やまち)酪農」を実践されている吉塚家のお父さんに山地酪農を取材しようと思ったのが始まりでした。地元では放送の回を重ねるごとに視聴率が上がって、このコーナーが人気になって。

――そうだったんですか!

遠藤 それで続くうちに、24年(笑)。毎月1泊2日で撮りに行って、家に泊まってごはんも一緒に食べて。すべての撮影は1000時間に及びます。吉塚のお父さんは千葉県出身なんだけど、東京農業大学在学中に猶原先生と出会って、山地酪農に出会ったんですね。

――山地酪農って、今回初めて聞きました!

遠藤 山地酪農というのは「千年家」と言われ、一度形ができればその牧場では牛が1000年飼えるという理想の酪農なんだけど、唯一の弱点が、お金にならないことなんです。

――吉原家も10年間は電気がないプレハブ生活でしたもんね。

遠藤 このお父さんは「そんなこと何の問題でもないじゃないか」という考えなんだけど、あまりにも借金がかさんでしまっていよいよ立ちいかなくなってしまった時に、お父さんと僕と二人三脚で牛乳のプライベートブランドを始めようと決めました。本当に大変だったんだけど、僕も報道をやっていたからテレビのニュースで流したり、いろんな方々に賛同してもらって。あのお父さんは頑固親父なんだけど、やるとなったら一生懸命で、頭も下げるんです。この白と黒のパッケージデザインができた時も、「ホルスタインそのものだ」って感動して泣いちゃって(笑)。

――酪農の面も興味深いですが、大家族のドキュメンタリーとしてもすごかったです。子供たちと向き合う時もいつもまっすぐで、いつも感極まって泣いているお父さんとか。監督はこの24年間で一番何を感じましたか?

遠藤 一番間近で見てきて、この家族の頑張りからは、僕自身が何かピンチに陥った時に“こんなことで挫けてちゃだめでしょ”と思えるエネルギーをたくさんいただきました。

――この家族の中に入ったら、全員がぶつかり合ってるから、自分も人ごとではいられなくなりますよね。

遠藤 そうなんです。映画の中でも山地酪農にこだわるお父さんと息子が酪農に対する考え方の違いでケンカしているシーンがありますが、そのうちの何度かは僕とお父さんがケンカしていて、そこに息子が参入してきたものもあったり。

――遠藤さんがもう家族の一員になってる(笑)。子供たちが生まれるところから大人になるところまで見ていたら、私たちも子供たちのことをすごい知っているような気になりました。

遠藤 今回、映画にする直前のテレビ版で文化庁芸術祭賞をいただいたんですが、その受賞評として「いつしか画面の前で、家族の一員になっている自分に気づかされる」と言っていただいたことはとても嬉しかったですね。

――子供たち7人がみんなしっかりしていて、小さい頃から農場の仕事を手伝ったり、お母さんを手伝うために食事を作ったり。お姉ちゃんが高校生の年齢の時にすごい手際良く料理作ってる姿にも感動しました!

遠藤 不思議と子供たちは、小さい頃から自分にできる仕事を探すようになるんです。これには驚きましたね、誰に教えられたわけでもないのにね。

――牛乳も生産者の方のことを思って大切に飲みたいなと思ったし、あとはチーズがすごい食べたくなりました!

遠藤 今「グラスフェッド」といって草だけを食べている牛がすごく貴重なんだけど、「料理の鉄人」で優勝したこともある有名なシェフが吉塚さんの牛に惚れ込んで田野畑村に住み着いちゃったんですよ。今年五男が高校を出て、ここにコックさんの修業に入るんです。四男は北海道の牧場でチーズ作りの修業をして帰って来て、今、田野畑牛乳を使ってチーズを作っています。

――みんなそれぞれ成長しているんですね! あと、食事前に全員で声を揃える挨拶のシーンは、日本人として大切なことを思い出させてくれる気がしました。

遠藤 「おじいちゃん、おばあちゃんありがとう。お父さんお母さんありがとう。都ちゃん、公太郎君、恭次君、令子ちゃん、純平君、雄志君、壮太君、牛さんありがとう。頂きます、どうぞ召し上がれ」という挨拶ですね。今は孫も11人増えたから、なかなかごはんが食べられない(笑)

――「誰か忘れそうだよね」みたいなことおっしゃってましたもんね!

遠藤 あれ、実際に忘れてるの。最後の「牛さんありがとう」が抜けてるんです(笑)

映画情報

『山懐に抱かれて』
監督:遠藤 隆
ナレーション:室井 滋
出演:吉塚家のみなさん(吉塚公雄、吉塚登志子、浅野 都、吉塚公太郎、吉塚恭次、山崎令子、吉塚純平、吉塚雄志、吉塚壮太、吉塚和夫、吉塚 淑)、他

4/27(土)より全国順次公開

岩手県のローカル放送局・テレビ岩手が開局50周年記念事業として製作した長編ドキュメンタリー。1994年から岩手県内のニュース番組などで放送されてきた人気TV番組シリーズに追加撮影や再編集を加えて完成。山地酪農を実践する吉原一家の24年間の中に、酪農に向き合う家族の成長と絆が映し出される。

©テレビ岩手

ホームページ
映画「山懐に抱かれて」【公式サイト】

この記事を書いた人

記事提供元
どっこいしょニッポン
どっこいしょニッポン
どっこいしょニッポンは、日本の畜産を応援するWEBマガジンです。「はたらく」「たべる」「くらす」「つながる」この4つの軸で畜産業界を盛り上げます。現場で働く畜産関係者から食育や就農に興味がある一般消費者や学生まで、幅広く畜…

関連記事
【新潟・村佐喜農場】3代目流の仕事の向き合い方『ワークアズライフ』とは
【新潟・村佐喜農場】3代目流の仕事の向き合い方『ワークアズライフ』とは
新潟県三条市で3代続く村佐喜農場。アメリカンフットボールチームのキャップをかぶり、着崩したつなぎの足元にはお気に入りのスニーカー。ひと目では酪農家に見えない出で立ちで作業をするのは、2018年4月に農場の跡を継いだ、3代目の…
最新技術を使った酪農? バイオサイエンスの視点で考える酪農の面白さとは
最新技術を使った酪農? バイオサイエンスの視点で考える酪農の面白さとは
命を育む酪農の仕事というと、「長年の経験と勘が大事」……そんなイメージが強いかもしれません。しかし、テクノロジーの導入により、働き方は大きく変わりつつあります。 茨城県小美玉市で約130頭の乳牛を家族4人で飼育をする保田牧…

特集
酪農のお仕事最前線
酪農のお仕事最前線
広大な自然に囲まれ、牛が相手の心に優しいイメージがある酪農の仕事。しかし、命を扱うからこそ大変なことが多いのも事実です。実際のお仕事事情から最近の新しい働き方、チーズ工房など事業の可能性まで、酪農に興味を持った方が知っ…

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE

関連記事

タイアップ企画

カテゴリー一覧