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耕作放棄地とは?増えている理由・放棄地の活用アイデア・補助金制度など解説

耕作放棄地とは?増えている理由・放棄地の活用アイデア・補助金制度など解説

現在、農業者の高齢化や若者の農業離れなどによって「耕作放棄地」が増加しているといわれています。具体的に耕作放棄地とは、どんな土地のことを指すのでしょうか。
ここでは、耕作放棄地の概要のほか、利用方法や補助金制度などについてご紹介します。

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耕作放棄地とは?

耕作放棄地とは、「もう利用されていないが、過去に作物が育てられていた土地」のことを指します。

農林水産省では、耕作放棄地を「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する意思のない土地」と定義しています。

これは5年ごとに行われる農林業センサス(農林業施策の企画・立案・推進のための調査)で、農家などの主観に基づいた回答により把握されます。

なお、「不作付地」や「遊休農地」は、少なからず耕作を行っている土地や、今後耕作する見込みのある土地が含まれるため、耕作放棄地とは異なります。

耕作放棄地が増加している原因としては、農業者の高齢化や若者の農業離れなどが挙げられます。

耕作放棄地の増加は農地の減少にもつながるため、食料自給率低下の原因にもなります。

耕作放棄地が増えている理由は?

高齢化

高齢化が進むにつれて、耕作放棄地が増加しているという問題が指摘されています。高齢化により、農地の管理や作業に必要な体力を持たない農家が増加しているのです。耕作放棄地が増加することで、土地の荒廃や生態系の破壊などの問題が発生しています。

耕作放棄地は、地域の景観にも悪影響を与えています。放置された耕作放棄地は、草木が伸び放題になり、雑草や野草が生い茂ってしまい、周辺の景観を損ねることになるのです。

高齢化による耕作放棄地の増加は、農業や地域社会にも大きな影響を及ぼす問題です。地域の人々や関係者が協力して、この問題に取り組んでいくことが求められています。

利益の低さ

利益が低いことが原因で、耕作放棄地が増加しているとの指摘もあります。農業の収益が低下する主な要因として、農産物の価格が低下していることが挙げられます。

国内外での競争が激しくなり、農産物の市場価格が低下することで、農家の収益も低下してしまうのです。また、農業に必要な資材や設備費用の高騰により、耕作放棄地が増加することもあります。

収益を確保することが困難になり、耕作放棄地に転換する場合も珍しくありません。

問題を解決するには、生産性や市場価格の向上など、農業における収益性の向上が求められています。

また、農家の経営状況をサポートするための支援策の充実や、地域の活性化に向けた取り組みなども必要です。

害獣による被害

日本には農業が盛んな地域が多くありますが、害獣による被害が深刻化し、耕作放棄地の増加につながっているケースも少なくありません。代表的な害獣としては、イノシシやシカ、ウサギなどが挙げられます。

農作物を食い荒らしたり、農地を荒らしたりすることによって、農家の生活や農業の継続が脅かされてしまうのです。農地が荒らされることによって、土壌が荒れ、肥料や水分が逃げやすくなってしまいます。

そのため、農作物の生育が悪くなり、収穫量が減少するという悪影響も出てしまうのです。

農家の収入減少につながり、農業そのものが成り立たなくなってしまうこともあります。

害獣駆除には、人手が必要であり、コストもかかります。害獣によっては繁殖力が高く、駆除してもすぐにまた増えてしまうこともあるのです。

耕作放棄地が増えて土地が荒れてしまうと、二次災害が起こる可能性もあります。耕作放棄地を防止するためには、害獣駆除に取り組むことが必要不可欠です。

増え続ける耕作放棄地が抱える課題は?

耕作放棄地の面積は、どのくらい増え続けているのでしょうか。

農林水産省が2017年に発表した「荒廃農地の現状と対策について」によると、耕作放棄地の面積は年々増加しており、1975年の13万1000ヘクタールから2015年には42万3000ヘクタールとなっています。

この数字が示すとおり、耕作放棄地の増加はかなり深刻な状況といえるでしょう。

それでは、耕作放棄地が増加することによって、どのような問題が発生するのでしょうか。

食料自給率が低下してしまうこと以外にも、次のような問題が発生するリスクが高まります。

田畑の状態悪化が進む

農地として利用されなくなったとしても、土壌の質を維持するためには適切な管理が必要となります。耕作放棄地となり、農地としての機能を維持するための管理が行われなくなってしまうと、土壌の質はどんどん悪化し、作物が育つために必要な栄要素が失われてしまいます。放置する期間が長くなるほど田畑の状態悪化も進み、農地に戻すことが難しくなるでしょう。

他の農地にも悪影響を与えやすい

耕作放棄地には、害虫や雑草が発生しやすくなるため、周囲の農地の作物にも被害が及んでしまう可能性があります。また、鳥獣も現れやすくなり、近隣の民家や住民にまで被害を与える恐れがあることから、生活に影響を及ぼす問題となっています。

耕作放棄地の活用アイデアは?

作業負担の少ない作物に切り替える

農業生産において、作業負担の少ない作物に切り替えることは、労力やコストの削減、収穫量の増加など多くのメリットがあると考えられます。

耕作放棄地を活用して、作業負担の少ない作物に切り替えることは、持続可能な農業を実現するための重要な手段の一つとされています。無農薬・有機農業などは、作業負担の少ない作物を栽培することが求められる場合が多く、作物の切り替えで活用されることも多いです。

例えば、大豆や麦などの穀物類、ネギやキャベツなどの野菜類などが挙げられます。肥料や農薬の使用量が少なく、手間のかからない栽培方法があるため、作業負担が軽減されます。

また、一度に大量の収穫ができるので、収穫期間が短く済むことも利点です。

地域の特性に合った作物を栽培することで、地域ブランドの形成や地産地消の推進にも繋がります。

作物を切り替える場合は、作物の種類だけでなく、地域の気候や土壌に合わせた適切な栽培方法の確立が必要です。

栽培にあたっては、農家の技術や知識の向上も求められます。そのため、行政や関連団体が農家に対して、情報提供や技術指導をおこなうことも必要です。

体験型農園を開設

耕作放棄地を活用する方法の一つとして、体験型農園を開設することが挙げられます。

体験型農園は、農業に触れる機会の少ない都市部に住む人などが、農業体験を通じて農業の魅力や知識を深めることができる施設です。一般の人々が、野菜の収穫や畑の手入れなど、実際に農業をおこなうことができます。

農業技術や知識を伝えることができるため、次世代の農業人材を育てるのにも役立ちます。地域の農業の継続性が高まり、農業に参入する人が増える可能性もあるのです。

また、体験型農園は、食育にも貢献することができます。

参加者が手掛けた作物は、その場で調理して食べることも可能です。自分で作った野菜を食べることで、食品についての関心が高まり、健康的な食生活を促進することができます。

太陽光発電を導入

耕作放棄地を活用する方法として、太陽光発電の導入があります。太陽光発電は、太陽の光を利用して電力を発生させることができるため、環境に優しく、再生可能なエネルギーとして注目されています。

耕作放棄地を利用することで、地域のエネルギー需要を賄い、再生可能エネルギーの普及に貢献できるのです。

太陽光発電は、大規模な発電所から、小規模な屋根設置型まで、さまざまな形態があります。建設にあたっては、地元の自治体や住民との協議が必要となる場合もあるため、無断で設置しないよう注意が必要です。

太陽光発電所を建設することで、地域の電力需要を賄うことができます。

また、余剰の電力は、電力会社に売電でき、副収入を得ることも可能です。農業と並行して、地元の再生可能エネルギーの供給源となることが期待されます。

また、発電所周辺には、植栽や草刈りなどの維持管理が必要となるため、地元の雇用創出にもつながります。

耕作放棄地を再生するためには?

耕作放棄地の利用方法としては、再び農地として活用するか、農地以外の用途で活用するという2つが考えられます。

農地以外の用途では、駐車場や宅地用の土地として貸し出すといった方法がありますが、農地を転用できるかどうかは、立地条件や転用後の用途によって異なるため、条件によっては転用が認められないケースもあります。

また、耕作放棄地となっている農地を農地として貸借および売買する場合には、農地の所在する市町村の農業委員会の審査を受け許可を得る必要があります。そのため、無許可での貸借や売買は無効となってしまいます。

耕作放棄地を借りられるサービス

土地を農地として売却する場合、相手も農家でなければならないため、誰もが気軽に農地を購入し、農業を始めることはできませんでした。

しかし、2014年度から全都道府県に設置された「農地バンク」のような仲介サービスを利用することで、農家ではない人も、農地を借りることができるようになりました。

農業をリタイアして農地を貸し出したいと思っている農家や、新規就農のために農地を借りたい人などが、公的機関を通じて貸し借りができるため、双方が安心して利用できます。

農地を借りるためには、都道府県別の公募状況を確認の上、農地バンクが実施する「借受公募」に応募する必要があります。

耕作放棄地再生のための補助金

農業者が耕作放棄地で農業を再開する場合、再生作業や土づくり、必要な設備や施設の整備といった取り組みを支援するための補助金「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」を利用することができます。

また、地方自治体によっては、耕作放棄地再生のための補助金制度を用意しているケースがあります。制度の有無や金額は自治体によって異なりますが、地域の自治体の補助金制度について確認してみることもおすすめします。

耕作放棄地の再生費用はいくらくらい?

耕作放棄地再生にかかる費用は、10aあたり10万円〜25万円程度と言われています。

再生費用には、土地改良や植栽、施設の設置、管理費用なども含まれます。耕作放棄地の再生費用は、地域や目的によって異なりますが、多額の費用が必要となる場合があります。

一般的に、耕作放棄地を再生するために必要な費用は、地元の自治体や関連団体が負担することが多いです。

地元の支援や補助金、国の支援などを活用すると、費用負担を軽くすることができます。

耕作放棄地の活用の方法を知ろう

耕作放棄地の概要やその利用方法、補助金制度などについてご紹介してきました。耕作放棄地は、所有しているだけでも固定資産税が毎年発生してしまうため、売ったり貸し出したりするなど、有効活用するのがおすすめです。

また、あらかじめ耕作放棄地のリスクを知っておくことで、早期に有効活用できる方法を探るなど、対策を考えるきっかけにもなるはず。

まずは、どんな土地の利用方法があるのかを知り、自分の状況と合わせて選べるようにしておくことが大切です。

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