生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜タマネギ編〜【畑は小さな大自然vol.50】
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生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜タマネギ編〜【畑は小さな大自然vol.50】

連載企画:畑は小さな大自然

生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜タマネギ編〜【畑は小さな大自然vol.50】
最終更新日:2019年09月10日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。私たちの食卓に欠かせない野菜のひとつがタマネギではないでしょうか。長期保存が可能でさまざまな料理に使えるため、とても便利な野菜ですが、家庭菜園では栽培の難しい部類に入ります。特に有機栽培や自然農法では難度の高い野菜になりますし、水持ちが良い粘土質な畑でよく育つものの過湿を嫌うなどデリケートな側面も持ちます。この難しいと言われるタマネギをうまく栽培するためのコツは、その原産地の気候や特性を知るとよりはっきり見えてきます。コツを押さえてタマネギ栽培に生かしていきましょう。

タマネギの生まれ故郷は?

アフガニスタンの首都カブールの景色

タマネギはアフガニスタン周辺の中央アジアが原産という説が有力のようです。そこからエジプト、地中海沿岸へと渡り、ヨーロッパ、アメリカを経て日本へ伝わったとされています。1870年代に北海道で春まき用品種の栽培が始まりましたが、今のように日本の食卓へ広まったのは戦後、食事が欧風化されてからになります。

アフガニスタン周辺は山岳地帯が多い大陸性気候の地域で、放射冷却によって朝晩は冷え込みやすいため、一日の寒暖差が10〜15度と大きいのが特徴です。標高が高い地域が多いため冷涼な気候ですが、夏は最高30〜40度まで気温が上がることもあります。例えばアフガニスタンの首都カブールは、高度1800〜1900メートルほどあり、夏の気温は30〜40度まで上がりますが、冬は氷点下10度まで下がることもあります。比較的冬は雨量が増えますが、基本的には雨は少ないため乾燥しています。

タマネギはこの原産地において、気温が下がり雨量も比較的多くなる秋から春にかけて生育していたと思われます。乾燥している地域ではありますが、山の雪解け水による地下水を求めて深く根を伸ばし、水分や養分を得ていたのではないかと考えられます。

タマネギが長期保存可能なのは原産地の気候によるもの?

タマネギの原産地と考えられるアフガニスタン周辺の夏の高温と乾燥は、植物にとってとても厳しい環境となります。そのためその期間をいかに乗り越えるかが、その地域で生き残るために大きなポイントだったと考えられます。タマネギは気温が高い時期になるとエネルギーを節約するために休眠し、種や球の状態で高温時期を乗り越えようとします。食卓においてタマネギが重宝される理由の一つに、冷蔵庫に入れておかなくとも長期保存可能であるという特徴があげられると思いますが、これは原産地の厳しい夏を乗り越えるために身につけたものなのかもしれません。

タマネギの生まれ故郷から考える栽培のコツ

タマネギを栽培する際には、原産地の環境をいかにその畑で再現するかがポイントになってきます。アフガニスタン周辺の特徴は主に以下の2つです。この2つの特徴からタマネギ栽培のコツを詳しく解説していきます。

タマネギの生まれ故郷の特徴

①山岳地帯の冷涼な気候で一日の寒暖差が大きい
②雨量が少なく乾燥しているが、地下水が流れる

①山岳地帯の冷涼な気候で一日の寒暖差が大きい

タマネギは冷涼な気候を好み、寒さには強いですが、暑さには弱いため、高温になると休眠します。そのため基本的には秋まきして春〜初夏に収穫するのが普通です。ただし北海道などの寒冷地では越冬が難しいため、春まき栽培が多いです。また一日の寒暖差が大きい気候を好み、味もおいしくなると言われています。
寒さには強いものの、大きく育ちすぎた状態で寒さに当たると春にトウ立ち(花芽のついた茎が伸びること)して、芯の硬いタマネギになります。そのため苗は太さ4~6ミリくらいのものを選び、太すぎるものは避けます。また植える地域や品種に適した時期より早く植えたり、肥料(特に窒素成分)をやりすぎたりしても成長が進みすぎて、トウ立ちの原因となりますので注意します。

②雨量が少なく乾燥しているが、地下水が流れる

タマネギの原産地は雨量が少ない乾燥した気候ということもあり、過湿な環境は嫌うものの、水に溶けた状態の栄養素を多く必要とします。タマネギは深く根を張ることができるので、山のミネラルを多く含んだ地下水から豊富な栄養素を得ていたのでしょう。

その環境を日本の畑で再現するためには、水もち・水はけがよく肥沃(ひよく)な土壌が必要となります。化成肥料での栽培は栄養素が水に溶けやすいため、割と容易に大きくなりますが、有機肥料での栽培の場合は、土作りの進んだ肥沃な場所でないと難しいです。畑の中でも特に野菜の育ちが良い場所を選んで植えましょう。土質としては砂質よりも粘土質の方が水持ちがよくて保肥力も高いため、タマネギの栽培に適しています。砂質土壌の畑では牛フン堆肥(たいひ)や雑草堆肥、腐葉土などを入れ、時間をかけて少しずつ土壌改良して保水力と保肥力を高めていきましょう。またビニールや雑草・落ち葉・ワラなどで土の表面を覆い、土を保湿することも大切です。

小さいタマネギは翌年に植え直して再利用しよう

タマネギの栽培と言えば、種や苗で始めることが多いと思いますが、タマネギは収穫後の球の状態で原産地での厳しい夏を越して、秋になるとそこからまた芽を出して翌年大きくなるというサイクルでも生きていました。家庭菜園でタマネギを作ると、ピンポン球くらいの小さい球ができることがよくありますが、このサイクルを利用して、そのまま風通しの良い場所で保存し、8〜9月ごろに植え直すのもオススメです。するとそこからまた大きくなったり、分けつして数が増えたりします。12月ごろには新タマネギとして収穫できます。いきなり球全体を土に埋めると腐ることもあるので、根の部分を浅く埋め、しっかりと根付いたら、頭が軽く見える程度に土を被せましょう。

今回ご紹介したようにタマネギの原産地の環境について知ることで、タマネギ栽培のコツが見えてきたと思います。原産地の環境をイメージしながらぜひおいしいタマネギ栽培にチャレンジしてみてください。

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