移住促進に力を入れ続ける徳島県海陽町
「就農FEST」をきっかけに移住者が生まれた海陽町
徳島県海陽町は、自治体・企業・農協など、それぞれが移住とその後の仕事や生活を支える取り組みに力を入れています。
海陽町は2018年12月15日に「就農FEST」との合同イベントとして大阪で移住説明会を行いました。
12月の説明会では、町内唯一の高校である海部高校が取り組む「地域みらい留学」について熱心に聞く親子の姿がありました。都会を離れて自然豊かな環境に身を置きながら、ITを活用して都会と変わらない最先端の授業を受けられる、同校の地域留学に関心を持ち、結果として入学を決意したそうです。
自治体・企業・農協が一体となって呼びかけ
移住者を広く受け入れ、各地で説明会を行っている海陽町が、再び9月7日に就農イベント「マイナビ就農FEST」にて、移住説明会を行いました。
今回は、自治体として「徳島県海陽町」、移住者の職場として福利厚生も手厚い「徳島かいふ自動車学校」、阿波尾鶏のブランドでも広く知られる「丸本グループ」、そして就農を栽培指導・販売面などをサポートする「かいふ農業協同組合(JAかいふ)」の4つのブースが出展しました。
海陽町ならではの働き方を!
就農者にも手厚いサポート
海陽町では、手厚いサポートが就農希望者に用意されています。
海部郡内の行政やJAかいふが行うのは、きゅうり栽培技術を1年間で座学と実践研修から身につける「海部きゅうり塾」。
現在、6期目となる好評を得ている取り組みです。卒業後は、ビニールハウスのレンタルがあり、すぐに営農が始められます。育てたきゅうりはJAかいふへ出荷できるため、売り先の不安も軽減されることでしょう。
ある卒業生の実績では、就農1年目、17aの養液栽培で、いわゆる手取り所得が460万円となっています。
「海部きゅうり塾」を運営する方々は、「就農する方は、勉強熱心でいろいろな作型を試してみたりしています」と話します。
海陽町の農林水産課の乃一圭司(のいち・けいじ)さんは「作付面積を広げたいなど熱心な方も多い一方で、半農半Xを楽しみたい方もいらっしゃいます。そうした方は農業でそこまで大変な思いをして稼ぐのではなく、Xの部分を増やしています。『移住前より、生活が楽しい』と言う方もいらっしゃいますね」と話します。
農業以外の時間を増やしたい方には、作物が軽く、小面積でも収益があげやすいオクラや菜の花を勧めるなど、その人の生活にあった作物を提案しています。
移住者受け入れ体制が整っている企業
徳島かいふ自動車学校を運営する株式会社海部自動車学校の代表取締役、横山敦(よこやま・あつし)さんは次のように話します。
「長崎から移住した方もいらっしゃいます。『海が綺麗』で気に入ったのだとか。つい昨日は、大阪に住む20代の方からも相談のご連絡がありましたね」
同校では、水道光熱費も無料の社宅を完備するなど、移住者に嬉しいサポートがあります。また、隙間時間を使ってサーフィンをする社員もいるなど、海陽町ならではの働き方があります。
同じく、企業としてブース出展したのは、丸本グループの株式会社丸本。
「8月から移住してきたご夫婦が当社で働いてくれています」と話すのは、日和昭仁(ひわ・あきひと)さんです。
グループ従業員数は600名超で、地域最大級の雇用を生む丸本。移住者の職の受け皿としても大きな役割を担う会社の一つです。
日和さんは、海陽町の自然の魅力を次のように話しました。
「通勤では、町の中央を流れる海部川沿いを車で走ります。毎日のように走りますが、飽きません。同じようでも、毎日の空模様が違っていて、毎日違う景色があります」
この海部川沿いなどをコースとするマラソン「徳島・海陽 究極の清流 海部川風流(ふる)マラソン」は、ランナー満足度5年連続1位(「RUNNET」大会ランキング)を獲得し県外からも高い評価を得ています。
海陽町へ“波乗り移住”しよう
移住説明会や電話で気軽に問合せ
9月7日の移住説明会では、どのような相談があったのでしょうか。
「50代の男性が移住のご相談にいらっしゃいました」と海陽町役場 主事の岡智美(おか・ともみ)さん。「徳島の伝統文化である藍染めの原料、藍の栽培を紹介したところ、興味を持っていただけたようです。実際にご連絡先などをお伝えしました」
移住希望や相談事があれば、移住説明会や、役場への電話でも受け付けていると話します。
「今日、出展している会社はもちろんですが、藍染めの会社や、バラの生産販売を行うバラ園などおすすめの会社もあります。気になった先があれば、メールで情報などをお送りしますし、見学のセッティングなどもします。具体的な希望がなくても、ひと通り、見学ツアーで回っていただくこともできますよ」
移住を検討する段階で、働ける場所や町全体を案内してもらえるのは、心強い限りです。
深く広くあたたかな、町と自然と人
サーファーが多く訪れる海陽町。波に惚れこんだ移住者が、地域の農家を手伝い、半農半サーフィンというライフスタイルを実現することもあります。
知人がいなくても、農業ならば生産部会で、企業へ就職すればその会社で、定期的な集まりが、地元コミュニティに入っていくきっかけになります。
海陽町は自殺率が全国的に見てもかなり低く、中でも旧海部町と呼ばれる地域は自殺率が全国一低いと言われています。それには、「いい意味で空気を読まず」「よそ者を歓迎し」「学歴肩書よりも人を見て」「悩み事を抱え込まず」「ゆるく助け合い」「自分の価値観を大切にする」地域性に理由があるそうです。
「海陽町には、過剰な干渉はしないけれど困ったときには手助けをしてくれる環境があります。移住してくる方は、自分なりのペースで地域に溶け込んでいくと良いかもしれませんね」と岡さん。
地域が持つ“波”に乗ることは移住のコツかもしれません。そのような思いで、海陽町に訪れてみると、より深く広く、そしてあたたかな町と自然と人に出会えることでしょう。
徳島県 海陽町
海陽移住促進会議
〒775-0295 徳島県海部郡海陽町大里字上中須128番地
TEL 0884-73-4156 FAX 0884-73-3097
E-Mail:machimirai@kaiyo-town.jp
※お電話、メールでのお問い合わせ時は「マイナビ農業を見た」とお伝えください。
移住者インタビューをはじめ、町民の暮らしがわかる「海陽くらし」
マイナビ農業 過去記事①
海と太陽とサーフィンと人情と。~徳島県海陽町に移住しよう!
マイナビ農業 過去記事②
“海と太陽と生きる町”徳島県海陽町が大阪で移住説明会を実施!【イベントレポート】