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農業用ドローンを活用してできることとは?

農業用ドローンを活用してできることとは?

ドローンの活用は農業界のトレンドの一つですが、実際に何をできるのかご存知でしょうか。圃場を歩き回っていた労力を減らせることが第一のメリットであるものの、更に具体的には、どんな作業がドローンでできるのでしょうか。農薬や肥料の散布、解析…。機種の進化も相まって、その利便性は上がり続けています。今回はドローンの販売やスクール運営をしている、株式会社アークステーション 代表取締役の猪俣敏一(いのまた・としかず)さんにドローンの活用についてお話を伺いました。

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人手不足・高齢化…ドローンが課題改善ツールの一つに

「ドローンは、いろいろな使い方が期待されています」と話すのは、株式会社アークステーション代表取締役の猪俣敏一(いのまた・としかず)さん。

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新潟県の米農家出身である、猪俣敏一さん

同社は、2017年に新規事業としてドローンの販売や撮影、測量等を開始しました。2019年には新潟県上越市でドローンの販売店舗「ドローンテクニカ」をオープンしました。ドローンのメーカーであるDJIやXAGの正規販売代理店であるほか、フライトスクールの運営やコンサルティングなど、ドローンに関することについて幅広く相談できる窓口になっています。
2019年には、農林水産省の「スマート農業」を推進する実証事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の実証地一つ、新潟県上越市の取り組みを、ドローンの運用面でサポートしています。

「差し迫った課題は高齢化と人口減少。既に農業従事者さんは高齢化が進み、更に人口減少が進めば、一人当たりの体への負担は確実に重くなります。すると、生産性や品質が落ち兼ねません。ドローンはそれらの改題改善ツールの一つになっていきます」と猪俣さんはドローンの有効性について話します。

ドローンを活用して誰でもできる農業を

ドローンを農業に活用するに当たって、まず思い浮かぶのが、農薬散布ではないでしょうか。
例えば、水稲の農薬散布を、業者へ外注して無人ヘリコプターで行っている方なら、その作業をドローンに代えることが考えられます。
外注の場合、コストがかかったり、外注先により散布タイミングが決められてしまうこともあるため、自分の圃場にとって本当に防除に適したタイミングであるとばかりは限らないでしょう。
こうした課題は、ドローンを使用することで解消できます。自身で運用することで、外注先のスケジュールにとらわれることなく散布できるからです。

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完全自動飛行・完全自動散布可能なP30(XAG)

そうは言っても、“飛ばすのに技術がいるのではないか”と生産者の方によく聞かれるそうです。
「飛ばすことは簡単です。難しいのは、『まっすぐに飛ばし、圃場の終端で正確に折り返す』ことです。ですが、当社で扱うXAG社の機種は、GNSS RTKという測位システムにより、高精度で飛行位置をコントロール、かつ完全自動飛行ができます。スマートフォンのアプリからボタンを押すだけで、勝手に飛んでくれます。歩き回る必要もありませんから疲れません。一人で、誰でも簡単に飛ばせるから、若い方や女性の方が、農業に関わるきっかけになるのではと思っています」。

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スマートフォンでドローンを操縦

分析、肥料散布も可能に!? 近い未来にできること

ドローンは年々、進化しています。
近年、待望されているのが、生育管理のための、圃場解析による経験知の集約です。
「何十年も経験がある方は、色を見ただけで作物の状態が分かるでしょうけれど、農業を始めて数年の若い人にとってそれはなかなか難しい。そこでXAG社では、撮影写真などのデータを集めて、AI(人工知能)での分析により収量予測が立てられるような実験が進んでいます。過去のデータから統計的な傾向を知ることによって、ベテランの農家さんと同じような生育管理ができる可能性も出ています」と猪俣さんは期待しています。

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上空から、圃場の撮影を行えば、成育度合いが色ムラによって一目瞭然。色ムラから成長し切れていない場所が分かれば、そこだけ追肥して、生育を均等に合わせることで収量を上げることも可能でしょう。また病気の発見も可能で、被害が拡大しないうちに特定の位置のみ農薬散布が行えます。

更に、その追肥もドローンによって行えるように、機種は進化していきます。
「2019年は農薬(流剤)散布だけでなく、肥料(粒剤)の散布ができるユニットも発売されました(XAGのP30用)。これによって、追肥が容易になります。効率的かつ正確な追肥ができれば、更に収量を上げることも考えられます」
作業しにくい圃場の中心部分や炎天下での作業も、ドローンが代わって行うことで容易に可能となります。作物の生育を均一化できれば、歩留まりも良くなって、収益アップが見込めることでしょう。

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10kg粒剤散布装置

「ドローンを使って、楽して儲かる農業をしてもらいたいという気持ちが強いです。できなかったことができるようになり、できることによって収穫・売上が上がる。やらない手はないのではないのでしょうか」と猪俣さんは力強く話してくれました。

ドローンを活用した「楽して儲かる農業」を全国へ

現在は、新潟県上越市の店舗を旗艦店とする同社ですが、今後は更にパートナーを増やして全国展開を考えているそうです。
「お客様の近くでサポートができるようにしたいのです。日本全国に農業はありますが、1店舗だけでは、いざというときにすぐに行けないこともあります。我々1社ではカバーしきれない。ですから、パートナーとなっていただいた特約店の方が、お客様の近くで見守っていただけるような体制を築いていきたいですね」
2020年は上越市で引き続き、先述のプロジェクトのサポートをするという同社。農業の将来を見据え、その知見を生かそうと活発に動いています。

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ドローン活用範囲は稲作に留まらず、畑作、果樹、花き、酪農および林業等いろいろな場面で活用が進むことが期待されています。今後農業にもIoTを活用することでビジネススタイルは変わっていくことが予想されます。

【問い合わせ先】
■株式会社アークステーション
〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町51番地1 読売横浜ビル8階(本社)
TEL:045-263-9021(代) FAX:045-263-9026
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■ドローンテクニカ
新潟県上越市富岡539-7 上越ウィングマーケットセンター内
TEL:025-520-7634
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