確定申告とは?
個人事業主は、自分で確定申告をする必要があります。
自ら生産した農作物を販売して得た所得は「農業所得」といい、農業所得を得た場合は
青色申告または白色申告のいずれかの方法で確定申告をします。どちらの方法でも必要なのは、その年の所得金額を算出することです。
今回は、新米農家さんと一緒に青色申告に必要な決算書を作成するシーンに沿って、書き方を解説します。
農家
税理士
確定申告は、1年間の所得金額とそれに対する所得税を計算した結果を税務署に申告し、所得と税額を確定させることをいいます(※)。
その年の所得を確定させるために、個人事業主は自分で所得金額を計算し、その所得を確定申告書に記載します。
※ サラリーマンや年金受給者など、一定の方は確定申告の提出が必須ではない場合もあります。
青色申告による場合は「青色申告決算書」、それ以外の場合(一般に白色と呼ばれています)は「収支内訳書」に計算金額の詳細を記載し、確定申告書と共に税務署へ提出します。
青色申告のメリット
農家
税理士
※ 「設備投資税制」「相続税・贈与税の税制特例」などの税制上の特例を受けるためには青色申告が条件となるものがたくさんあります。
取引を記帳し、その記帳に基づいて正しい申告を行う制度をいいます。青色申告するためには、期限内に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
農家
税理士
農家
税理士
決算書を経営計画に生かしていきましょう。
将来の展望を明確にし、そのための行動を計画することをいいます。
決算書を作成すると、決算書が読めるようになっていきます。1年間の経営結果と資金の流れが把握できるようになり、経費や利益の予測をたてられるようになります。
当初の計画がどのくらい有効であったかを検討し、その翌年以後の経営戦略を練ります。
他にも、例えば販売価格の設定や販路拡大のために割ける経費などが計算できるようになります。
農家
税理士
青色申告決算書の書き方
青色申告決算書は全部で4ページあります。
こちらからダウンロード・印刷できます。
手書きで提出する場合には、提出用にボールペンで清書し、コピーを1部ずつとり、コピーを自分用の控えとすると便利です。控え用は、提出用と一緒に税務署へ提出し(郵送の場合には切手を貼った返信用封筒を同封)、収受印をもらってください。
- 収入金額
- 経費
- 各種引当金・準備金等、青色申告特別控除額、所得金額
税理士
収入金額から、それを得るためにかかった経費や控除額を差し引いた金額が「所得」です。
家族給与(青色事業専従者給与)や青色申告特別控除などを控除する前の、右上の「㊱差引金額」が本当の農業経営の「もうけ」と思っていただければよいです。
①~⑥は収入金額です。決算書2ページ目の数字を転記します。
㉒雇人費、㉜㉝の棚卸高、㊶専従者給与も2ページ目の数字を転記します。
⑳減価償却費は3ページ目の数字を転記します。
㊼青色申告特別控除額は4ページ目の数字を転記します。
収入金額
1ページ目の左上は、収入金額を記載します。
①販売金額には販売後まだ入金されていない売り上げも記載してください。
②家事消費・事業消費は自家利用のことです。
③雑収入は販売収入以外の収入や事業分配収入などを記載します。
決算書の2ページ目に内訳を記載し、合計額の数字を転記します。内訳は次回の記事で紹介します。
経費
1ページ目の左下から真ん中にかけて、経費を科目ごとに記載します。
科目ごとに分けて書くことで、経営分析ができるようになります。具体的には予実管理を行い、経営改善できるようになります。
減価償却費は3ページ目から転記してください。
生活費は経費になりません。プライベートで使った支出と事業のために使った支出とが混ざらないようにしてください。
各種引当金・準備金等、青色申告特別控除、所得金額
決算書1ページも終盤です。
㊲貸倒引当金は、現実的にはあまり使われません。
㊶専従者給与は、2ページ目の内訳合計から転記します。
㊸準備金等の特例を受ける場合には㊸などの空欄に記載してください。
㊼青色申告特別控除額は、4ページ目から転記します。
収入金額から経費等を控除し、青色申告特別控除額等を控除した㊽の金額が、本年の農業所得の金額となります。
次回以降解説する、収入と経費その他の詳細を計算し、決算書の1ページ目に転記をします。確定申告書の作成にとりかかる前に青色申告決算書を完成させていきましょう!
次回は、計上漏れしやすい収入や、節税対策といわれている家族給与について解説します。