野菜の病気図鑑〜根こぶ病編〜【畑は小さな大自然vol.62】

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野菜の病気図鑑〜根こぶ病編〜【畑は小さな大自然vol.62】

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野菜の病気図鑑〜根こぶ病編〜【畑は小さな大自然vol.62】
最終更新日:2020年02月07日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。野菜がうまく育たない時の原因として、肥料不足・栄養不足を考える人が多いと思います。それももちろんありますが、土の栄養が十分に足りていても根にトラブルがあり、うまく栄養や水分を吸収できていない可能性があります。特に深刻な根のトラブルとして、根こぶ病菌に寄生されている場合があります。この根こぶ病にかかると野菜の生育は止まり、日中は特にしおれるように元気がなくなってしまいます。今回はこの根こぶ病の特徴や対策方法について、詳しく紹介していきます。

根こぶ病の症状とは?

根こぶ病はカブ、ハクサイ、キャベツ、コマツナ、ミズナなどのアブラナ科の野菜がかかる病気で、その名の通り根に多くのコブができます。これによって根からの栄養や水分の吸収が悪くなり、成長不良を起こします。初期症状として日中は茎や葉がしおれるようになり、夕方になると回復するということを繰り返します。日中は葉からの水分の蒸散量が多くなる一方で、根こぶ病により十分な水分を根から吸収できないためです。アブラナ科野菜の中でもキャベツ、ハクサイ、カブ、ブロッコリー、チンゲンサイなどは特に被害が出やすく、ダイコンにはあまり被害は出ません。

根こぶ病の原因と特徴

根こぶ病菌は植物の根に寄生する原生生物です。寄生した植物の細胞から栄養を吸い取るため、植物の成長は止まります。野菜だけでなくナズナやタネツケバナなどのアブラナ科の雑草にも寄生します。この根こぶ病菌は生きた植物細胞にのみ寄生するため、枯れた作物残渣(ざんさ)などでは増殖しません。ただし休眠胞子が土に残ることで、土壌伝染するため、一度発生すると10年間はその圃場(ほじょう)で根こぶ病が発生する可能性があると言われています。
 
根こぶ病が発生しやすい気温は20〜25度で、5〜9月ごろによく見られます。畑の土が乾燥している状態では発生しにくいですが、水はけの悪い場所や雨の多い時期に発生しやすくなります。またpH4.6〜6.5の酸性土壌で発生しやすく、pH7.2以上のアルカリ性土壌では発生しにくいと言われています。

根こぶ病とネコブセンチュウ害の違いは?

ネコブセンチュウのコブは根こぶ病よりも小さい

根こぶ病を発症した野菜は根にコブができ、生育不良を起こしますが、似たような症状はネコブセンチュウという土壌害虫によっても発生することがあります。その見分け方としては、2つのポイントがあります。まずは根こぶ病はアブラナ科植物にしか発生しませんが、ネコブセンチュウはアブラナ科以外にもナス科やウリ科をはじめとして多くの植物で発生します。もう一つは根こぶ病の場合は根の中心部分が大きく肥大し、親指以上の太さになることが多いです。ネコブセンチュウの場合はコブが小さく、それがたくさん根についているような形になります。

病気は3つの要素が重なった時に発症する

根こぶ病に限らず、野菜の病気は3つの要素が重なった時に発症します。それは①抵抗性、②病原体、③環境の3つです。野菜がその病気に対する抵抗性を持っておらず、病原体に感染し、病原体が増えやすい環境に野菜があるという3つの要素が揃うと、病気が発症します。そのためこの3つの要素に対して総合的に予防・対策を行うことが、野菜の病気対策を考える上で重要になってきます。

根こぶ病の予防と対策

根こぶ病の予防・対策としての方法を①抵抗性、②病原体、③環境という3つのアプローチから考えると以下の3つが出てきます。

①根こぶ病に抵抗性を持った品種を利用する

根こぶ病に抵抗性を持ったCR品種と呼ばれるタネが売られています。CRはClubroot Resistantの略で根こぶ病耐性を意味しており、基本的にはタネの袋に記載してありますので、確認して購入しましょう。

②根こぶ病の病原体を持ち込まない・広げない

根こぶ病は土壌中の休眠胞子によって伝染します。根こぶ病が発生した畑の土を他に持ち運んだり、靴に付着した土によって根こぶ病菌が持ち込まれることがありますので注意しましょう。根こぶ病が発生した株は、発見次第すぐに根から引き抜きます。そのままにしておくとその株が枯れる前に休眠胞子を多く放出する可能性があります。

また根こぶ病が多く発生する場合は、太陽熱を利用して、地温を一時的に高温にすることで土中の休眠胞子を減らす方法も有効です。基本的には夏の気温が高く、晴天が続きそうな時期に行います。太陽熱消毒を行いたい場所であらかじめ土作りと畝立てを行ったあと、たっぷりと土全体に水をかけます。そのあと透明なビニールをその上にかけて、風などで飛ばないように端に土をかけて固定し、2〜3週間待ちます。そのあとは耕したりせず、その上に種まきや苗の植え付けを行います。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

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また、土壌中の休眠胞子を減らす方法として、おとり植物を利用するという方法があります。このおとり植物にはダイコン、ハダイコン、エンバクなどがありますが、これらの作物は休眠胞子に感染はするものの、コブはできないため、そこからまた休眠胞子が増えて拡散するということがありません。つまり休眠胞子をお掃除してくれますので、根こぶ病が発生した後の畑ではこれらの作物を植えると、休眠胞子を減らすことができます。

③根こぶ病菌が増えにくい環境を作る

根こぶ病菌が増殖しにくい環境にするためには以下の3つの方法が考えられます。

  1. 土壌を中和する
  2. 水はけを良くする
  3. 輪作する

根こぶ病はpH4.6〜6.5の酸性土壌で発生しやすく、pH7.4以上のアルカリ性土壌では発生しにくいと言われています。そのため土壌が酸性に傾いている場合は石灰資材などを用いて中和することで、根こぶ病の発生を抑えるという方法も考えられます。ただし実際はほとんどの野菜がpH6.0〜6.5の弱酸性土壌を好むため、アルカリ性土壌にすると根こぶ病は発生しなくても野菜はうまく生育しない、という点には注意が必要です。土壌を中和する際には木灰や有機石灰などが効き目がゆっくりで極端にpHが上がらないため、失敗しにくくオススメです。 

また土壌水分が多い条件下でも根こぶ病は発生しやすくなります。水はけの悪いところでは畝を高くしたり、畑の周囲に溝を掘るなどして水はけを良くしましょう。また連作すると土壌中の根こぶ病菌はどんどん増えていきます。手遅れになる前に、アブラナ科野菜の場合1〜2年は期間をあけて連作にならないように計画して作付けを行いましょう。

基本となる土づくりも大切

土壌には根こぶ病菌のような野菜の害になる菌もいますが、野菜にとって必要な微生物も数多くいて、とても複雑な生態系を築いています。この生態系のバランスが取れていると、突出して特定の病原菌だけが大発生するというリスクが低くなっていきます。病原菌を根絶しようとしてむやみに殺菌剤などを大量に使ってしまうと、土壌生態系のバランスを損ねてしまう可能性があり、他の問題を招きますので注意しましょう。根こぶ病が発生した圃場でも慌てずに、今回ご紹介した対策とともに、普段から基本となる土づくりを大切にすることが病気の予防にもつながります。

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