アグリテック×AIによる飼料の自家配合でもうかる畜産! 資源の地域循環とコスト削減も

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アグリテック×AIによる飼料の自家配合でもうかる畜産! 資源の地域循環とコスト削減も

アグリテック×AIによる飼料の自家配合でもうかる畜産! 資源の地域循環とコスト削減も
最終更新日:2020年02月07日

豚肉1キロを生産するには7キロの穀物を必要とするという 。それだけ養豚における飼料穀物のコスト割合は高い。だからこそ、ここにメスを入れればもうかる養豚が実現できる――。飼料の自家配合プラントの構築と飼料マネジメントを行うことで、畜産での手間とコストを削減する仕組みづくりをする株式会社コーンテックの吉角裕一朗(よしかど・ゆういちろう)さんに話を聞いた。

【プロフィール】
吉角裕一朗(よしかど・ゆういちろう)

株式会社コーンテックおよび株式会社吉角(旧社名:益城電池)代表取締役。
1982年熊本県生まれ。高校卒業と同時に上京し、格闘技の高田道場の門をたたくが、ケガで格闘家の道を断念。自動車の再生バッテリーのインターネット通販事業、海外展開も含め次々と成功させ、アグリテック×AI技術で2019年に株式会社コーンテックを設立。
著作として「まだ、都会で貧乏やってるの?」(学研マーケティング)、「『まだない仕事』で稼ぐ方法」(ワニプラス)などがある。

畜産飼料のほとんどは輸入に頼っている

日本の食卓に肉は欠かせない食品となっているが、肉を生産するには牛や豚に与えるエサ(飼料)が欠かせない。当然ながら大量の飼料を必要とし、そのほとんどはトウモロコシなどの穀物が占めている。現在の日本の畜産飼料の自給率は約25%(2019年、農林水産省「飼料をめぐる情勢」より) 。ほとんどは海外からの輸入に頼っており、吉角さんによると「日本はほかの国の土地を借りて飼料を作り、家畜に食べさせている状態に近い」という。飼料の価格は国際情勢にも左右され、畜産農家を悩ませる。畜産経営全体に占める飼料のコストは約60%にもなる。
その畜産飼料の課題に飼料の自家配合プラントの設計と建設、さらに飼料配合のコンサルティングでメスを入れる仕組み作りをしているのが、吉角さんが2019年に設立した株式会社コーンテックだ。
「輸入飼料は割高です。この飼料のコストを下げられればインパクト大きいですよね。そのためにビッグデータを活用して、より良い飼料を自家配合(畜産農家ごとに配合飼料を作ること)することを考えました。農業はデータ化されずに感覚でやっている部分が多いと感じます。僕はテック関係のことをやっていたので、データをもとに何がどんなことに影響しているかを見て、飼料の配合ができる仕組みを作りました」と吉角さんは自信を見せる。
コーンテックは、自社が建設する飼料配合プラントにAIとIoTを導入することで、複雑な飼料の配合設計を可能にした。これまで経験がなければ難しかった飼料の配合が誰にでも可能になったという点も、この仕組みの利点だ。

コーンテックのプラントを導入している大規模な養豚場

エコフィードの活用で地域内循環

「豚は人間の食べるものなら何でも食べられるんですよ。だからエコフィードは十分活用できます」と言う吉角さん。食物残渣(ざんさ)を活用して家畜の飼料「エコフィード」とすることは各地で進められているが、その成分もデータ化したうえで配合飼料に混ぜることで、ブタに最適な栄養バランスの飼料を作ることができるという。
「人間は一日にものすごい量のゴミを出しています。パン工場のパンの耳とか、しょうゆの搾りかすとか。世界でフードロスをゼロにするためには、一定量の家畜は必要だと思いますね。例えば、鹿児島だったら焼酎を作るためのサツマイモの搾りかすがたくさん出る。それをブタが食べて、ブタが出したフンを堆肥(たいひ)にして畑にまく、といった地域循環の事例もたくさん出てきています」(吉角さん)
同時にエコフィードの活用は飼料コストの削減にもつながる。株式会社吉角の一部門として扱っていたころから累計して約100のプラントを納入しているが、このような取り組みを重ねることで、飼料のコストを約3分の2にすることを実現しているという。

人手不足も解消し、養豚はもうかる産業に

コーンテックのプラントの外観

コーンテックのプラント設備は、ほぼ自動で24時間稼働する。人が関わるのは飼料の原料を入れたときにボタンを押す程度のことで、「配合のことは○○さんしかわからない」といった属人的な作業は発生しない。また、24時間作業ができるということは、1日8時間労働の従業員が付いて動かすのと同じ量の作業を、3分の1の大きさのプラントで可能にするということでもある。
「人手が要らないので人手不足の解消になり、人件費の削減になりますから、さらに養豚農家さんの利益率が上がります」(吉角さん)

日本における畜産は常に人手不足の分野だが、吉角さんによれば、今後は変わってくるかもしれないとのこと。「畜産の歴史が長い欧米では、畜産のロボティクスは非常に進んでいます。いわゆる3K(きつい・汚い・危険)の部分を人がやらなくてもよくなっているんです。実際のところ、かなり利益をあげている畜産農家もいますしね」とすでに畜産の利益率向上の可能性を見据えている。
「今後、畜産の就業人数は少なくても済むようになっていくでしょう。そのためには機械化のための知恵が必要です。それを進めるような他業種からの新しいプレイヤーがやってきて、ゲームチェンジしていきますよ」と語る吉角さん自身が、一番のゲームチェンジャーなのかもしれない。

画像提供:株式会社コーンテック

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