トンネル専用の高機能フィルム
トンネルに使われる一般的なフィルムの素材には、おもに「農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)」、「農PO(農業用ポリオレフィン系特殊フィルム)」、「農ポリ(農業用ポリエチレンフィルム)」があります。
農ビ、農PO、農ポリのなかで特に保温性・密閉性に優れているのが農ビで、現在、トンネル専用として市販されている高機能フィルムは、ほとんどが農ビに特別な加工を施したものです。一般的なフィルムより少々価格が高くなりますが、その性能の良さから導入する農家が増えています。
保温性強化フィルム製品
1. サンホット(三菱ケミカルアグリドリーム)

画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
ベテラン農家から定評があるというサンホット。農ビに特殊な保温剤が練りこまれていて、トンネル内の気温と夜間の地温を高く保ちます。春どりレタス栽培などによく使用されている製品です。露地トンネルはもちろん、ハウス内トンネルとしても使用できます。
2. ハイホット トンネル用(タキロンシーアイ)

画像提供:タキロンシーアイ株式会社
ハイホット トンネル用はタキロンシーアイ独自の特殊配合による農ビです。吸収した熱を外部へ逃がさないよう遠赤外線透過率が抑えてあり、一般的な農ビより保温性に優れています。防滴性能も強化してあり、作物に結露水が落ちるのを抑制します。保温性が高いので、露地トンネルに向いています。
作物のヤケを低減するフィルム製品
3. パールメイト(タキロンシーアイ)

画像提供:タキロンシーアイ株式会社
パールメイトは高散乱光タイプの農ビで、トンネル内に入る光を散乱させ、作物にあたる光をソフトにします。急激な温度変化を抑制し、作物のヤケを低減する効果があります。ベタつきが少ない農ビのため、換気のための開閉作業もラクに行えます。保温性にも優れ、トンネルはもちろん、ハウスにも使用可能です。
病害虫対策フィルム製品
4. カットエース トンネル用(三菱ケミカルアグリドリーム)

画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
カットエース トンネル用は紫外線をカットする農ビで、病害虫の発生を抑制する働きがあります。葉や茎の生育を抑える紫外線をカットすることにより、作物の育成促進が期待できます。保温性も良く、メロン栽培などに使用されています。
マルチ専用の生分解性フィルム
地温調節や雑草抑制などを目的に張られるマルチフィルム。一般的な素材はポリエチレンですが、近年は、土中で分解される「生分解性マルチ」が普及してきています。回収する手間が省けるうえ、使用済みプラスチックが出ないというメリットもあり、環境にも優しいマルチフィルムです。
マルチにはさまざまな色があり、寒い時期は、一般的に黒マルチが多くの農家で使われています。透明マルチには雑草の生育を抑える抑草効果がなく、黒マルチは抑草効果に優れています。
生分解性マルチフィルム製品
5. カエルーチ(三菱ケミカルアグリドリーム)

色は、透明、黒、銀ネズの3色展開(画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社)
通常のマルチフィルムとほとんど同じ機能を持ちますが、展張から徐々に土壌中で分解がはじまります。使用後にマルチフィルムを土中にすき込むだけなので、マルチフィルムの回収に手間がかかるトウモロコシやキャベツ、イモ類などの栽培に特におすすめです。
べたがけ、トンネル用の不織布
寒い時期の被覆資材として、露地栽培でもハウス栽培でも重宝するのが不織布。べたがけはもちろん、トンネルにも使えます。不織布も製品によって機能性に差がありますので、寒さ対策には高い保温力を持つ不織布を選ぶと良いでしょう。
保温性に優れた不織布製品
6. パオパオ90(三菱ケミカルアグリドリーム)

画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社

画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
高い保温力を持つパオパオ90。光線透過率が約90%と高く、作物に必要な光を十分に取り込むことができます。通気性が良く蒸れにくいのも特徴です。

パオパオシリーズには、太陽光線の波長をコントロールする青パオパオもあります。作物に合わせて製品を選んでください(画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社)
* * *
被覆資材はどんどん進化しています。効果的なものを上手に使えば、安定生産や高品質化が見込めます。マイナビ農業では被覆資材の使い方や張り方も紹介していますので、ぜひそちらもチェックしてください。
取材協力・画像提供:
三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
タキロンシーアイ株式会社