地域に適した野菜を知る
北海道のような寒いところでゴーヤが育ちにくいように、地域によって気候や土が異なるので、育てやすい野菜や特産品も変わっていきます。僕が移住していた滋賀県ではマクワウリという小さなメロンのような野菜が特産でした。例えば京野菜と呼ばれる、京都特産の野菜は多くの農家が作りますが、滋賀県のマクワウリは栽培に少し手間がかかる上、認知度も低いため、特産品といえど作る農家も少なかったです。そのため価格競争が起こることなく、売れやすかったのを覚えています。
信頼できる農業仲間を作る
道の駅で野菜を販売するには、農業組合に入らなければなりません。そして農業組合では会合が行われるので、積極的に参加しましょう。農業組合の中には歴40年のベテランの方なども在籍しているので、信頼できる人を見つけられると心強いです。特に若い人で農業をやっている人は少ないので、積極的に会合に参加したり話しかけたりすると可愛がってもらえますね。
僕も実際に会合で仲良くなったベテラン農家の方からよく「困ったことはないか?」と電話がかかってくるようになって。そこで「3月からこれを植えようと思っているのですが、どう思いますか?」と話すと、「それはあんまり売れないから、こっちの方がいいぞ」とアドバイスをもらったりしていました。特に初年度ではわからないことも多いので、地域で長く農業を行っている方からのアドバイスはすごく勉強になりましたね。
協力隊のネットワークを作る
地域おこし協力隊はみんな抱えている問題は基本的に同じなのに、自分だけで解決しようとしてしまう人が多いんですよね。そして地域おこし協力隊は年に1回しか集まる日がないので、全然情報交換ができません。そこで同じ地域の協力隊同士でFacebookでつながり、すぐに連絡が取れるようなメッセンジャーグループを作りました。
グループの中には農業赴任の人だけでなく、いろんな人が集まっていて、定期的に集まるようになりましたね。グループの人数はおよそ20人まで増えました。地域おこし協力隊は任期が最大で3年。3年目にもなると2年分の経験や知見を持っているので、台風などのトラブル対策なども聞けてとても助かりました。
作るのは簡単。売り先、売り方を考えよう
今の時代はインターネット上に野菜の育て方が書かれた記事はたくさんありますし、YouTubeにも動画が上がっているので、作ること自体は正直簡単です。とはいえ、作ったものをただ置いていても売れないので、売り先や売り方がかなり大事になってきます。
例えば夏になると夏野菜はみんな大量に作るので、価格競争が起こってナスが3本まとめて100円くらいで売っていることも普通です。めちゃくちゃ安いですよね。さらに初年度だと農業を始めたばかりなので、ベテランの方々が作った形の良い野菜と同じように販売しても勝てるわけがありません。そこで僕はフリマアプリを活用して販売していました。フリマアプリはベテランの方々がほとんど使わないので、どんどん売れていきましたね。
また、僕はスティックテイストという野菜も作って販売していました。名前だけだと何なのかわからない人も多いと思いますが、ナスの一種です。よくスーパーなどで見かけるような紫色一色のナスとは違って、紫色に白い部分が混ざったようなまだら模様をしているのが特徴。こういった特殊な野菜はみんなどのように調理すればいいのかわからないので、興味はあっても売れにくい傾向にあります。なので調理しやすいようにレシピを書いて貼っていました。そしてみんな珍しいスティックテイストの前で立ち止まるので、「これは自分が作ったんですよ」と声をかけると、ほぼ100%売れます。販売されている野菜に生産者の名前や顔写真が載っていることはあっても、販売所に生産者が実際にいることはほぼないので、高確率で買っていただけますね。このように他の人と違うことをすると目につきやすく、買ってもらえる確率がグッと上がるので、売り方はよく考えましょう。
まとめ
今回は、地域おこし協力隊として農業赴任して思った4つのことを解説しました。地域おこし協力隊では協力隊同士や地域の人とたくさん交流して、情報交換するのが大事ですね。赴任したばかりのときはどのようにしたらいいかわからないと思うので、この記事が少しでも参考になればうれしいです!