トヨタ生産方式が農業を変える。経営改善をサポートする『豊作計画』とは

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トヨタ生産方式が農業を変える。経営改善をサポートする『豊作計画』とは

トヨタ生産方式が農業を変える。経営改善をサポートする『豊作計画』とは
最終更新日:2020年03月10日

自動車業界の生産管理ノウハウを、農業の場に応用。一見結びつかないようなサービスを、トヨタ自動車株式会社が農家向けに展開しているのを知っていますか。その名も『豊作計画』。いま、このサービスを導入し、生産性を高めている農家が増えています。一体どのように活用し、成果を上げているのか。生産性向上の仕組み、そしてトヨタがサービスに込める思いを探るために、ユーザー農家が集まるイベントを訪れました。

計画策定から問題の見える化、さらには解決までサポートする『豊作計画』

そもそも生産性とは一体なんでしょうか。

生産性とはアウトプット(産出量)をインプット(投入量)で割ったものであり、費用対効果とも言われています。農業において生産性を高めるには、インプットにあたる人件費や肥料などの資材費、設備投資の無駄を無くしていくことが大切です。

無駄はルーティーンになりがちな作業工程の中に潜んでいるもの。そこで、まずは生産物の作業計画を立て、日々の作業を記録し、作業の進捗や実績をデータとして見える化します。このようにして見つかった問題点を改善していくことで、農業の生産性を高めていくのです。

記録と改善は繰り返し継続していくことが重要ですが、慣れないうちはなかなか大変な作業。そんな農家の負担を軽くし、丁寧にサポートしていくのが『豊作計画』です。

2014年にスタートしたトヨタの『豊作計画』は、IT管理ツール「豊作計画」の提供と同社スタッフによる「現場改善」の二本柱で、農業の生産性向上を目指すサービスです。

「豊作計画」では、登録内容を基にした作業計画の自動作成機能をはじめとし、日々の作業内容を記録する日報作成機能、作業進捗を圃場ごとに表示する機能、そして蓄積されたデータをさまざまな角度で分析する機能が搭載されています。

圃場ごとに色分けすることで、進捗が分かりやすくなっている

問題を改善する場面では、トヨタが自動車事業で培った生産管理手法や、改善ノウハウを応用したアドバイスをスタッフから直接受けることができます。

「問題をきちんと改善するには、実際に働く人の意識が重要です。こちらで改善策を指示するのではなく、問題の見つけ方を示したり、解決するためのアイデアを提供することを心がけています」と話すのは、アグリバイオ事業部農業支援室 室長の喜多賢二さん。『豊作計画』の最大の特徴は、現場の問題に農家自身で気づき、改善していくことを目指す点にあるのです。

アグリバイオ事業部農業支援室 室長の喜多賢二さん

スーツ姿の農家が、名古屋の超高層ビルに集結! どんな改善に成功した?

導入した農家は、どのような気づきから改善に結びつけているのでしょうか。ユーザー農家が集まるイベントがあるということで参加してみました。

『豊作計画』では農業関係者間の情報共有、意見交換の場が年に1回設けられています。2020年2月4日に行われたイベントでは、44の農業経営体のほか、自治体や農業協同組合の関係者など約170名が全国から集まりました。

ポスターセッション形式で行われた改善事例のプレゼンを見ていると、各農家が『豊作計画』を使って大小さまざまな改善に成功したことが伺えます。例えば整理整頓ができていなかった農家は、道具の定位置を決めることで、作業スタートがスムーズに。また、イチゴの選果作業工程の見直しにより廃棄率を低減させたところも。作業工程に潜んでいた問題が『豊作計画』により可視化され、生産性向上へとつながったようです。

その中でも一際大きな成果を上げた農家に、取り組みの詳細を具体的に伺いました。

改善に終わりはない! 6年目の挑戦を続ける(株)六星の『豊作計画』

株式会社六星(石川県白山市)は、100名以上の従業員を抱え、160haの田んぼを管理する県内でも有数の大規模農業経営体です。生産だけでなく加工・販売まで手がけている同社では、安定した質と量の米を作ることが求められます。

大きさの異なる圃場を複数管理する同社は、生産性向上のため圃場ごとの作業ムラを無くす必要がありました。

「まずはコンバインでの収穫作業に着目し、各圃場の作業時間を一覧にしてみたら、小規模圃場では作業時間のばらつきが、大規模圃場では基準時間を大きく超える圃場があることが分かりました」と、振り返るのは営農課の佐藤 元さん。

営農課の佐藤 元さん

原因を分析すると、「収穫前の落水作業が完結していない」「機械トラブルの頻発」の2つが大きく影響していることが判明。そこを問題点として、 “なぜ問題が起こっているのか” を更に分析することで、「進捗管理」や「作業基準」に根本的な原因があることが分かりました。

「そこで、『豊作計画』のシステムを使ったりメンバーで話し合って基準を作ったりと、自分たちで対策を立てて実行しました」

改善するにあたって佐藤さんが重視したのは、誰もが同じ水準で取り組めることと、継続していけること。作業の意味づけを徹底したり、入力方法のルールも設定し、従業員が取り組みやすい環境を整備しました。これにより収穫にかかる時間のばらつきが軽減し、所要時間を従来の7割程度まで削減することに成功。回避可能な機械の故障は、まったく発生しなくなりました。

経営者と現場の意思疎通を重視し、大きな成果を上げた六星は、報告会の後半に行われた代表発表にも選出され、参加者の前で発表を行いました。熱心に聞き入る参加者からは、自社でも生かそうと次々に質問が飛び出しました。

「発表後に『どうやって成功したのか』という質問を受けましたが、どんなに良い改善策でもコミュニケーション不足では結果に結びつかないと思っています。今後も経営方針を全員で共有し、改善に取り組み続けます。うちでは2015年から『豊作計画』を利用していますが、改善することでまた新たな改善の芽が見えてきて、やるべきことはまだまだあるんだなと気づきます」と佐藤さんは笑いながら話してくれました。

穀物中心から、適応品目の拡大へ! 『豊作計画』が広げる農業の可能性

ITツール「豊作計画」は、更なる農業の発展に向けて2020年4月にリニューアルされます。

これまで水稲農家を主な対象としていた「豊作計画」は、野菜や果樹にも応用したいとの要望を受け、「受注、出荷、在庫管理」に対応できる機能や、その他オプションを強化する3つの「豊作計画」を開発。従来の穀物中心の「TypeA」、野菜・果樹・畜産・林業等向けの「TypeB」、ABを統合させたバージョン「TypeC」から選択できます。

「弊社の掲げる “いい町・いい社会づくり” という方針を実現するためには、地域を支える産業である農業を発展させていくことが重要です。我々はこれからも『豊作計画』で地域の発展に貢献していきます」と喜多さん。

幅広い農業分野で、働く人々自らが生産性向上に向けてアクティブに取り組んでいける『豊作計画』は、日本の農業界において今後ますます必要とされていくでしょう。

【お問い合わせ】
豊作計画サポートセンター
TEL:0120-59-8039(平日9:00-17:00 ※12:00-13:00除く)
MAIL:bj-housaku@mail.toyota.co.jp

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