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農業経営者必見! トヨタ×石川県の事例から見る収益力UPの秘訣

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農業経営者必見! トヨタ×石川県の事例から見る収益力UPの秘訣

世界農業遺産「能登の里山里海」をはじめ、豊かな自然に恵まれた石川県。全国一の伸び率で農地集積が進む同県は今、経営規模の急速な拡大により、さまざまな課題に直面しています。自動車生産で培った生産管理ノウハウを農業に応用する石川県とトヨタの収益力向上プロジェクトを紹介します。

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山積する課題。人材育成が経営存続の鍵となる

石川県がトヨタとのプロジェクトに乗り出したのは2014年。県内各エリアの5法人から始まり、現在は県全域で14の法人が参加しています。

稲作と兼業農家の割合が比較的高い石川県では高齢化と後継者不足の理由から、近年兼業農家を中心に離農が進み、農家数の減少率では全国平均を大きく上回ります。その一方で、離農した農家の土地を請け負うなどして30~50haの大規模法人が急増し、農地集積が進行。規模の拡大を続ける農業法人は今、従業員のマネジメントや労務管理、作業管理など、さまざまな課題に直面しています。

「石川県の農業産出額は全国43位。額だけ見れば決して農業県と言える規模ではないものの、近年は大規模化や多角化する法人が目立ち、この傾向は今後更に進展すると予想されます。競争力をより強化していくには、従来とは異なる視点でのサポートが必要でした」と、いしかわ農業総合支援機構(以下INATO)の武内昭也アドバイザーは話します。

高級ブドウの『ルビーロマン』や大玉梨の『加賀しずく』、原木シイタケの『のとてまり』など、特色ある農産物のブランド化を推進する石川県。全国から見れば少量多品目栽培である同県では、経営を存続させていくために将来的な人材育成につながる施策の実施が急務でした。トヨタとの事業は、そうした事情を抱える石川の農業にとって大きな打開策の一つになるとの期待で始まりました。

「一緒にやる」の精神で、カイゼンを根付かせる

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左からINATOの武内昭也アドバイザー、島田翔平アドバイザー、石川農林総合事務所の栂宗一郎主任技師

トヨタ生産方式では、現場におけるムダを徹底的に省き、原価低減を図って収益力の向上を目指します。生産者にとっては従来の面積生産性(収量増)重視の考え方から、利益重視の考え方へと大きく転換する取り組みです。具体的には、作業工程や作業の進捗、生産コストなどを「見える化」すること。さらに、『現場改善』でカイゼン活動を農業経営体自身で進められるようにスタッフがサポートします。カイゼンを繰り返し、生産性の向上や人材育成、経営体質を強くすることが狙いです。

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INATOの島田翔平アドバイザーは、「経営者は従業員に指示するより自分でやった方が早いと思っています。しかし、いざ指示を出す際、作業の基準や手順が決まっていないとうまく指示が伝わらずミスが発生します。従業員にとっても『次に何をすれば良いのかわからない…』といった悩みにつながります。そうした実態を把握し、従業員それぞれの力を最大限発揮できるように作業を見直していくことが重要です」と解説します。

立ち上げ当初から携わり、現在は普及員として中心的な役割を担っている石川農林総合事務所の栂(とが)宗一郎主任技師は、「これまでは技術的指導などを通じて『考える農家』の育成に努めてきました。このプロジェクトでは現場の仕事の進め方に着目し、生産者のみなさんと一緒に考え、現場の課題解決のために動きます。カイゼンを続ける風土やしくみをつくることを重視しています」と振り返ります。

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石川県内で行われた農業カイゼン指導の様子。管理ボード等を使いながら作業進捗を確認します

日常の業務に加えてカイゼン活動を行うのは、最初は負担に感じるかもしれません。「やるべきことをやり切れず、カイゼンがなかなか定着しない法人も多い」と栂主任技師。しかし、継続的に活動を行い、現場がうまく回り始めた法人は目に見えて収益が上がったほか、「休みがとれるようになった」など、喜びの声も聞かれるようになりました。「休みなんて取れない」という固定概念を自ら覆し、従業員の働き方もカイゼン。倉庫に眠らせたままの農薬の余りや稼働率の低い農機に対する目も、次第にシビアになっていきます。

「農業は再現性が乏しく、さまざまな状況で高度な判断力と実行力が求められます。面積が増えれば増えるほど経営者がすべての指示を出すのは難しい。だからこそ作業の標準化が有効だったと実感しています」(武内アドバイザー)

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地域にカイゼンを定着。次のステージを目指す

2020年6月、石川県とトヨタは『いしかわ耕稼塾 農業カイゼン塾』を新たに開講。第1回のセミナーでは参加した4法人に向けて、トヨタ生産方式の基礎知識と農業現場で発生しがちな状況についてレクチャーを行いました。

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セミナーでは、トヨタによるレクチャーのほか、INATOの島田アドバイザーによる県内の農業情勢の解説が行われました

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農業現場の課題について議論する参加者。ペアを作り、ワークシートを活用しながら改善点を探りました。写真中央はレクチャーを行ったトヨタの平井達也シニアエキスパート

奥能登地区で米を栽培する粟蔵水稲株式会社の宇羅恒雄さん・恒一さんは、作付面積の拡大とともに従来のやり方に限界を感じ、プロジェクトに参加しました。

「毎年離農する人が増えて、予想以上に請け負う面積が多くなり、当初18haだったのが今は40haに。なかなか計画通りに進まないのが現状ですが、これを機にいろいろと見直していきたいです」(恒雄さん)

「新しい従業員が増えると、指示の出し方やトラブルが発生した時の対処など、これまで身内で通用していた伝え方では限界があります。誰でも仕事のやり方がわかるように整えていきたいです」(恒一さん)

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作付面積の拡大に伴い、今後の経営のあり方を模索中の宇羅恒雄さん(右)、恒一さん(左)

農業を経営という視点で捉え、生産性の向上を目指すトヨタと石川県の収益力向上プロジェクト。今年度は、カイゼンの“定着”を目標に掲げ、法人間の連携も強化し、更なるステージを目指していきます。
(取材協力/公益財団法人いしかわ農業総合支援機構)

【問い合わせ先】

トヨタ自動車株式会社 『現場改善』サポートセンター

〒471-8571 愛知県豊田市トヨタ町1番地
MAIL:bj-housaku@mail.toyota.co.jp
TEL:0120-59-8039(平日9:00-17:00 ※12:00-13:00 除く)

【事業内容】

・農業経営体向け『現場改善』サービスの提供
・地域農業組織・自治体への農業生産性向上のための包括的支援

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※お問い合わせの際は「マイナビを見た」とお書き添えください。

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