「農業は夢のある仕事」3Kのイメージが変わった瞬間

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「農業は夢のある仕事」3Kのイメージが変わった瞬間

「農業は夢のある仕事」3Kのイメージが変わった瞬間
最終更新日:2020年03月17日

就農5年で祖父母から農業経営を譲り受け、経営拡大に奮闘している若者がいます。新潟県長岡市の金子健斗(かねこ・けんと)さんは、子どもの頃は農業に良いイメージがなく、継ぐつもりもなかったそうですが、今では農業経営に無限の可能性を感じているといいます。イメージが変わった背景には何があったのでしょうか。現在の挑戦と共に話を聞きました。

農業は「自由で夢のある産業」

――金子さんが農業を継ごうと思ったのはいつですか?

農業大学校を卒業する時です。高校は普通科に通っていましたし、当時は「農業は休めない3K(きつい、汚い、危険)の仕事」だと思っていました。実際に米農家である祖父母の農作業を手伝っていて、大変な仕事だと感じていました。
高校卒業後の進路は、他業界への就職を見据えて考えていたのですが、リーマンショックの影響が尾を引いて就職の見通しが暗く、「実家が農家だし、農業大学校に行こうか」と軽い気持ちで進学しました。祖父母が米農家ということで稲作経営を専攻しましたが、継ぐと決めていたわけではありません。

――入学する時はまだ3Kのイメージだったのですね。

そうですね。でも入学して農業を体系的に学ぶなかで、少しずつ農業の魅力を知りました。
特に衝撃的だったのが、授業の一環で行ったアメリカの農業研修です。そこには私が知っている3K農業はありませんでした。農家はちゃんと経営をしながらも、笑顔で楽しそうにしていたんです。輝いている農業経営者を見て、「もしかして農業って、やり方によっては楽しいし、儲かるんじゃないのか?」と思い始めました。

アメリカ研修にて

卒業後は農業法人で1年間研修し、その後2週間は新潟県が実施する「農業青年等国際交流推進事業」に参加して、ブラジルの農場を視察させてもらいました。新潟県にいると水稲ありきの農業経営を考えてしまいますが、違う国で違う作物の経営を見ると、やり方も様々。大きな可能性のある産業だと再確認できました。ブラジルから戻って就農する時はとても前向きでしたね。

目と耳で学びを繰り返す

――2013年に就農し、わずか5年で事業継承されましたね。不安はありませんでしたか?

祖父母を中心に農作業をしていましたので、早いタイミングで引き継ぐことは就農の時点で覚悟していました。そのため、1年目こそ祖父母が主導でしたが、2年目からは自分で工夫しながらやりました。当然上手くいかない事もたくさんあり、4年目までは、恥ずかしいくらい失敗しましたね。とにかく県内外の先輩の話を聞いて、機会をいただければ農地を見学させてもらい、参考にできそうなやり方を取り入れる。今もそれを繰り返しています。

――栽培技術を磨きながらの農業経営はご苦労もあると思います。農家のネットワークはどうやって築いているんですか?

地域の農家組織「新潟県農業改良クラブ」と、全国の若手農業者が集う「全国農業青年クラブ(日本4Hクラブ)」に所属しているので、そこで出会った先輩農家方に勉強させてもらっています。令和1年度までは新潟の組織で会長を、全国の組織では副会長を務めているので、出会いの機会も増えました。

また、個人的に興味を持っているのは石川県の農業者さんです。同じ北陸地域で、家族経営から法人化して経営拡大をしている方や、ユニークな経営をする農家が多い印象があります。お話を聞いていると、きっと私が5年後10年後に悩むことを、この人たちは既に悩んで解決してきたんだろうなあ、と感じます。そのくらい、先を走っていると感じます。

全国農業青年クラブ(日本4Hクラブ)のリーダーたち

7年で農地を倍に。拡大する理由とは

――金子さんもこの7年間で作付面積を10ヘクタールから20ヘクタールに拡大され、販路も新しく開拓されるなど、経営者として挑戦されていますね。

農繁期以外はほぼ一人で農業をしているので、収量を増やし、販路を工夫することで利益を出しています。その他にも日頃の小さな改善、例えば30キロの米袋で出荷していたのを1080キロ入るフレコンに変えて袋詰めの作業を簡略化したりと工夫をしています。
農繁期もなるべくお手伝いを雇わずに済むよう、省力化と効率化は気を付けていますね。
将来的には規模をもっと拡大したいという思いもあるので、農業法人としての経営も勉強しています。

――今までの家族経営を維持するのではなく、拡大を目指しているのですね。

この7年で拡大した農地は、高齢化などによって離農される農家さんから任せていただいた土地です。きっとこれからもお声がけいただくことが増えると思います。先祖代々の大切な農地を託してくれようとしているのに、私個人の限界を理由に断りたくない。規模拡大は、農地をしっかり受け継ぎたいという思いから目指しています。

若手農業者の仲間たちと

――個人の経営だけでなく、広い視野で考えられているのですね。最近は、農業技術に関するプロジェクトクトにも携わっているそうですね。

「農業MOT (Management of Technology)プラットフォーム」の立ち上げに参加させていただいています。ざっくり言うと、農家の目線で必要な技術、設備、機械や仕組みを作るための産官学連携プロジェクトです。
私たち農家は、メーカーが開発したものを“買うか、買わないか”の2択しかありません。多機能で高額だから買えなかったり、買っても使いこなせないという悩みもあります。
農家の現状に合った農業技術を、色々な立場の方と作っていきたい。そのために、新しい勉強もしています。

――農業に悪いイメージを持っていた時からは、考えられないくらい楽しそうに農業をされていますね!

笑顔で農業経営をされている魅力的な先人たちのおかけです。実際、農業は同じことの繰り返しではなく、気候や価格など周辺環境が変化するなかで、成功と失敗を繰り返しながら工夫ができる、とても楽しい仕事ですよ!

――希望を感じるお話の数々、ありがとうございました!

【参考リンク】
全国農業者青年クラブ(日本4Hクラブ)

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