スイカの栽培カレンダーはこのようになります。
5月に植え付け、7~8月の夏休みシーズンに収穫です。スイカ栽培は接ぎ木苗をおすすめしますし、一株だけでも広いスペースを専有するため一袋の種を購入すると広大な面積を必要としますので、5月の植え付け時に必要な分の購入苗を利用しましょう。
スイカの土づくり~畑の準備~
スイカの栽培には大きな面積を必要とします。ネットにはわせて空中に仕立てるのであれば普通の野菜と同じ面積でよいですが、地面にはわせるのであれば畝幅2.5メートル、一株あたり80センチ程度の株間隔が必要になるので、それを見越して植え付ける場所を選びましょう。
今まで何も植えていなかった畑であれば、植付2週間前には1平方メートルあたり堆肥(たいひ)10キロと苦土石灰100グラムを土に混和してよく耕し、1週間前には元肥に化成肥料50グラムを混ぜて畝を立てておきましょう。
ただ、普段から作付けしていて肥料成分が土に残っている畑を利用する場合は、堆肥だけにしておいて、1回目の追肥から肥料を与えるようにしても構いません。そちらの方がうまくいく場合も多いと思います。
立てた畝にはマルチシートを張っておくことをおすすめします。
スイカの植え付け
スイカを植え付ける際は、仕立て方にもよるのですが、畝の真ん中ではなく、通路側に寄せて植え付けましょう。
摘心などの管理作業がやりやすくなる他、追肥を通路にばらまくだけで届くようになり、作業性が良くなります。
スイカの摘心とつる管理~仕立て方~
スイカを植えて、最初に伸びてくるメインのつるのことを「親づる」と呼びます。親づるの節々から発生するわき芽のことを「子づる」と呼び、更にその子づるから発生するわき芽を「孫づる」と呼びます。
親づるを利用する方法もあるのですが、今回は分かりやすいように、果実を子づるだけに着果させる一般的な方法をお伝えします。
まず、親づるの葉っぱが6節(葉と葉の間隔を1節として計算します)のところで先端を切ってしまいます。こうすることで親づるはそれ以上伸びることができなくなってしまい、子づるへと未来を託します。
いくつか子づるが成長するのですが、元気の良い3本を残して、他の子づるは根元から切除します。
この3本の子づるのどれかに大玉1個の実をならすのが今回紹介するスイカ栽培となります。2果収穫する場合は4本の子づるを用意します。小玉スイカの場合は、それぞれのつるに1個ずつ、4個以上収穫することも可能です。
つるの先端を20センチ間隔で並べて、葉にしっかり光が当たるように配置します。葉に光が当たるほど、スイカは甘くなります。
スイカの追肥
はじめてのスイカ栽培の場合は、順調に成長しているように見えれば、花が咲き始めたことを確認するまでは追肥は控えましょう。花が咲き始めた頃に1回目の追肥を化成肥料で一握り程度、2回目の追肥は、果実の大きさがテニスボール大のときに同量を、マルチを外すか穴を開けて畝の中に散布します。植え付けを通路際にした場合は、通路にばらまいておけば大丈夫です。
スイカの授粉
黄色いスイカの花が咲き始めたら、まずはそれが雌花か雄花かを確認しましょう。雌花の場合は、花の根元に小さなスイカが確認できます。1番最初の花が雌花だった場合は、もったいないようですが摘み取ってしまい、2番目の雌花に授粉させます。
1番目が雄花だった場合は摘み取らずにとっておき、次に咲いた雌花にちょんちょんと接触させて人工授粉をおこないます。
高品質なスイカを望みたい場合は、15~20節の位置に咲いた雌花に着果させましょう。
スイカの収穫は授粉後の日数で判断します。必ず授粉した日を記録しておきましょう。
スイカの摘果
スイカは、授粉が成功した分だけ収穫することができますが、1玉に限定することで大きく丸く、甘いスイカにすることができます。そんなに大きなものは一回で食べられないという場合は、ならせる数を増やしてもよいでしょう。
摘果のタイミングは、授粉後10日。大玉スイカをつくる場合はテニスボールくらいの大きさになったとき、3本のつるから最も形の良いものを一つ選抜し、残りを摘果します。
4本のつるに2玉でも充分に大玉スイカの大きさになります。
玉まわし
スイカは玉の全面に日光がまんべんなく当たらないと奇麗に色がつきません。授粉後20日頃から日が当たっていない面を上に向けて全面に日が当たるように角度を変えます。スイカの玉の下にわらなどを敷いて座布団を用意し、転がらないように納めておきましょう。
スイカの収穫適期
スイカの収穫タイミングははじめての栽培では難しいと思いますが、1~2日ずれるだけでも食味に大きく影響するので重要です。種袋や苗に書いてあった日数を明確に守ることをおすすめします。おおよそ40日前後であることが多いと思いますが、適期になると、果実根元の巻きひげが半分くらい枯れこんでいて、玉に光沢が出てきます。
スイカを甘くする方法
スイカを甘くしあげるために重要なことのうち、分かりやすいのは水管理です。水を与えるタイミングを管理できれば、おいしいスイカになりやすいのです。といっても露地栽培になるとどうしても天候の運任せになりますが、授粉後30日以降、水切り(水を与えない)状況を作ることができれば、分かりやすく糖度が高くなります。
また、肥料が効きすぎると糖度が上がらないので、過剰投与だけはしないように気をつけましょう。
スイカが割れる理由と対策
せっかく育ってきたスイカが割れてしまうとショックですが、非常に相談の多い内容です。
露地栽培の場合、主な原因は雨によって急激に水分を吸ってしまうことによります。あくまで急激な水分量の増加が原因ですので、定期的な水やりで、乾燥が続いている状態をつくらないことが大切です。甘くするために水を切って栽培していると、この可能性が高くなってしまうので、甘いスイカをつくるには、常にリスクを伴います。ビニールハウスがあればよいのですが……。
また、直射日光が当たることで割れてしまうケースもあります。色をつけるためには直射日光が必要ですが、授粉後30日までは葉の影から顔を出す程度にしておくとよいでしょう。鳥獣害を防ぐ効果も併せて、ネットやコンテナなどを果実に被せておく人も多いです。
生育初期にしっかりと根を張らせ、植物を元気にしておくことも大切です。水を与えずにストレスをかければ甘くなる、というだけの単純な話ではなく、適正な範囲で生育初期は可愛がり、いざ果実の糖度があがるタイミングになったら一気に水分ストレスをかけるとよいでしょう。
以上がスイカのつくり方です。皆さんも我が家のスイカで夏を彩ってみてはいかがでしょうか?