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家庭菜園初心者にオススメ! 8月に植える野菜5選【畑は小さな大自然vol.86】

家庭菜園初心者にオススメ! 8月に植える野菜5選【畑は小さな大自然vol.86】

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。8月は夏真っ盛りですが、畑ではもう秋冬野菜の準備や、種まき・植え付けが始まる時期です。今回はそんな中いち早く種まきや苗の植え付けができる野菜を5つ選んできました。いずれもプランターでの栽培も可能な野菜です。種まき前の土づくりなども早めに行うことが必要になってきますので、今回ご紹介する内容を参考にして秋冬野菜の計画を立てていきましょう

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8月は種まき、植え付け時の乾燥対策が大切

8月は気温が高く、種まきや植え付けを行うイメージがあまりないかもしれませんが、土の乾燥対策さえ気をつけていればさまざまな野菜の種まき、植え付けが可能な時期です。今回のオススメ野菜もそれぞれ乾燥対策をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

ニンジン


ニンジンは虫にもやられにくく育てやすい野菜ですが、発芽しにくい点だけには注意が必要です。特に夏まきの場合は土が乾燥しやすいので保湿に気を配りましょう。

種まき時期:7月中旬〜8月中旬ごろ
収穫時期:11〜2月ごろ
(関東以南の中間地基準)

土づくりのポイント

ニンジンなどの根菜類を育てるときは、土づくりの際に注意が必要です。肥料を入れすぎたり、未熟な堆肥(たいひ)を入れることで、根分かれや土壌病害虫の被害にあいやすいためです。ある程度土づくりが進んでいる場所や前作で堆肥を入れている場合は、無肥料で育てた方が丈夫で肌の奇麗なニンジンになります。堆肥を入れる場合は、臭くない完熟したものを使用し、種まきの1カ月前には混ぜ込んで土になじませます。

覆土は薄く、鎮圧をしっかり

ニンジンは深さ1センチほどの溝をつくり、そこに2〜3ミリ間隔で筋まきしていきます。ニンジンは丈夫で育ちやすい野菜なのですが、発芽させるのが難しいので注意が必要です。まず初めに注意しなければならないのが被せる土の厚さ。ニンジンは発芽の時に光を必要とするため、土を被せすぎると発芽しません。5ミリほどうっすらとタネが隠れて見えなくなる程度の厚さで土を被せます。

そしてもう一つの注意点は、ニンジンはセリ科で発芽に多くの水分を必要とするにもかかわらず、種の殻が非常に硬くて、中に水分が浸透しにくい点です。かといって種まき後に水やりをすると葉ばかりが大きくなりやすく、根がしっかりと伸びてくれません。そこで地中の水分をできるだけ維持するため、覆土した後にしっかり土を押さえる鎮圧という作業を行います。これをしているだけで発芽率が大きく変わります。その上からもみ殻や稲わら、イネ科の雑草などをうっすらと地面が見える程度に被せるとさらに乾燥を防げるのでオススメです。1週間以上雨が降らない場合は、さすがに乾燥しすぎるのでたっぷりと水やりをしましょう。

間引きと収穫のポイント

本葉1〜2枚の頃に間引きし、根元が1〜2センチ間隔になるように間引いていきます。その後適宜隣同士の葉が重ならない程度の間隔になるように間引いていきましょう。最終的に10〜15センチほどの間隔まで間引きます。間引いたものはそのまま炒め物やかき揚げなどで食べるとおいしいです。収穫の判断は根元部分の大きさを見て判断します。2月ごろにはトウ立ちといって花芽のついた茎が伸びてきてしまうので、それまでに大きくなったものから少しずつ収穫していきましょう。

プランター栽培のポイント

プランターで栽培する場合は根の短い品種が簡単なのでオススメです。プランターに種まきする場合は、種まきの前に水やりをして土を湿らせておきます。種まき後は新聞紙を1枚被せておくと乾燥を防げます。1週間前後で発芽するので、それまでは水やりをせず、発芽が始まったらすぐに新聞紙を取り除きます。

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秋ジャガイモ


ジャガイモは春だけでなく、品種によっては秋にも栽培可能です。栽培も簡単なので少しでも植えていると重宝します。

種まき時期:8月中旬〜9月上旬ごろ
収穫時期:11月ごろ
(関東以南の中間地基準)

土づくりのポイント

ジャガイモもニンジンと同じように、肥料の入れすぎや未熟な堆肥を入れることで、土壌病害虫の発生や生育不良につながります。できるだけ肥料分は少ないほうが病害虫が発生しにくくなりますので、土づくりがある程度進んでいる場所や前作で堆肥を入れている場合は、無肥料または少肥で植え付けましょう。堆肥を入れる場合は1カ月ほど前に土に混ぜてなじませておきます。

秋ジャガは切らずに植える

春に植え付ける場合はジャガイモの種芋を切って植えることが多いですが、秋ジャガの場合は気温が高いのでこれをしてしまうと種芋が腐ってしまう可能性があります。できるだけ種芋は切らずに植えましょう。

間引き・土寄せのポイント

芽が出て20センチほどになった段階で、太くて丈夫そうなものを残して間引きを行います。芽が多いと芋の一つ一つが充実しないためです。一般的には1つの種芋から1〜2本になるよう間引くのですが、僕は少し小さめのものがたくさん収穫できる方がうれしいので、3〜4本に間引いています。

また、芽が出て以降2〜3回に分けて土寄せを行い、芋の緑化を防ぎます。地上部が枯れ始めたら収穫の目安となります。

プランター栽培のポイント

ジャガイモはプランターでも栽培しやすい野菜です。とにかく日当たりが大切なのと、肥料の入れすぎに注意が必要です。

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キャベツ


キャベツは葉物野菜の中でも虫に食べられやすく、肥えた土を必要とするので栽培が難しい部類に入ります。ただポイントさえ押さえておけば初心者でも十分に栽培できますのでぜひチャレンジしてみてください。

苗の植え付け時期:8月中旬〜9月中旬ごろ
収穫時期:11〜12月ごろ
(関東以南の中間地基準)

土づくりのポイント

キャベツは比較的肥えている土を好みます。完熟堆肥を植え付けの2〜3週間前に混ぜ込み、土づくりをしておきましょう。また水はけの悪い土では病気が発生しやすくなりますので、高畝にしたり、もみ殻くん炭などを混ぜ込むなどして水はけを良くしておきましょう。

植え付けのポイント

キャベツは種からでも栽培できますが、苗づくりは初心者には難しく、丈夫な苗を植えることがとても大切ですので、苗からの栽培をオススメします。植え付けは株間30〜40センチほどで行います。夏時期はとても乾燥しやすいので、苗はあらかじめ水を1〜2センチほどはったタライなどに入れて、しっかり給水させておきます。植え付け時も水やりを行い、雨の前後や曇りの日、夕方ごろなど日差しの強くないタイミングで植え付けましょう。

害虫対策が大事!

キャベツは害虫にやられやすい野菜の一つで、特にチョウやガの幼虫に注意が必要です。その対策としてまずは苗の葉の裏に卵がついていないことを確認し、成虫に卵を産み付けられる前に防虫ネットで囲んでしまいましょう。さらにチョウやガの幼虫が苦手な香りを発するとされるキク科のレタスを混植すると効果的です。

プランター栽培のポイント

キャベツはプランターでも栽培可能です。この場合も害虫対策が大切になりますので、防虫ネットをあらかじめ用意しておくとよいでしょう。

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リーフレタス


レタスは大きく分けると結球する玉レタスと結球しないリーフレタスの2種類がありますが、より栽培が簡単なのがリーフレタスです。葉物の中では虫の被害にもあいにくいのでオススメです。

種まき時期:7月下旬〜9月上旬ごろ
苗の植え付け時期:8月中旬〜10月中旬ごろ
収穫時期:11〜12月ごろ
(関東以南の中間地基準)

土づくりのポイント

植え付けの1〜2週間前には完熟堆肥を入れておきます。レタスはpH6.0〜6.5の弱酸性の土壌を好みますので、酸性の土は中和する必要があります。石灰資材の中では有機石灰が効き目が穏やかで失敗が少ないため初心者向けになります。また木灰も石灰分が多いので、同様の効果が期待できます。

種まき、植え付けのポイント

レタスは種からでも苗からでも栽培できますが、より簡単なのは苗からで、植え付けて1カ月ほどで収穫を始められます。種でまく場合、夏は気温が高すぎて発芽率が落ちてしまうので注意が必要です。ガーゼなどに包んで12時間ほど水に浸しておき、絞った後、ガーゼごとポリ袋などに入れて冷蔵庫に2〜3日入れておくと発芽しやすくなります。

葉を一枚一枚収穫

レタスを収穫する時は根元から株ごと収穫してもよいですが、小さい葉を4〜5枚ほど残して、大きくなった葉を外側から一枚一枚収穫していくと長期間楽しめるのでオススメです。しばらくすると小さい葉がまた大きくなって、繰り返し収穫できます。畑から食卓までが近い家庭菜園ならではの収穫方法です。

プランター栽培のポイント

プランターでもレタスは簡単に栽培できます。土の水分が多すぎると根腐れを起こしやすいので、水のやりすぎには注意します。土が乾いてくると色が白っぽくなってきますので、できるだけ土が乾燥しているのを確認してから水やりをするようにしましょう。

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ミニゴボウ


ゴボウは通常栽培期間が長い野菜ですが、根の短い品種であれば短い期間で収穫できます。

種まき時期:3月中旬〜9月中旬ごろ
収穫時期:7〜12月ごろ
(関東以南の中間地基準)

土づくりのポイント

ゴボウもニンジンと同じように肥料のやり過ぎや完熟していない堆肥の使用には注意が必要です。根分かれや土壌病害虫の発生につながりやすくなりますので、種まきの1カ月前には土に混ぜ込みなじませておきましょう。

種まきのポイント

夏時期に種まきする場合は、収穫までが早い根の短い品種を選びましょう。深さ1センチ程度の溝を掘り、1センチ間隔で筋まきします。殻が硬く発芽の難しい野菜なので、一晩水につけてからまくと発芽しやすくなります。発芽する際に光を必要とするので、覆土はタネが隠れる程度の厚さにしておき、その後しっかりと手で土を押さえて鎮圧します。

間引きのポイント

隣の株と葉が重ならない程度に適宜間引いていきます。間引きが遅れると成長が遅くなり、病害虫にもやられやすくなりますので、少し寂しいなと感じるくらい大胆に間引いてしまいましょう。間引き菜は根の部分だけでなく、葉や茎も柔らかくておいしいです。

プランター栽培のポイント

プランターで栽培する場合もミニゴボウがオススメです。発芽させるのがまずは難関ですので、水につけてから種まきしましょう。種まきの前に水やりを行って土を湿らせておき、覆土後に新聞紙を一枚被せて乾燥を防ぐと発芽しやすくなります。

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種まき時はできるだけ雨を待とう

種まきの後は極力水をやらない方が根の張りがしっかりした丈夫な野菜になるので、1週間以上全く雨の降らない場合は除いて雨を待ちたいところです。日差しの強い晴れの昼間はできるだけ避け、雨の前後や曇りの日、夕方などに水をやったり、鎮圧をしっかり行ったり、種まき後にもみ殻や稲わら、イネ科雑草を被せたりするなど、乾燥対策を行いましょう。

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そーやんの「畑は小さな大自然」シリーズ
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暮らしの畑屋そーやんが、自然の生態系の仕組みを利用しながら楽に野菜づくりができる方法などを伝授します。害虫や雑草などのお悩みも、このシリーズを読んでスッキリ!

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